マインドフルネスと瞑想を同じものだと勘違いしている方が多いようですが、正確には違いがあります。
マインドフルネスは、「目の前の物事に対して全神経を注いで集中している状態」のことなので、目をつぶって集中状態に入る姿から、瞑想も同じように思われがちです。
しかし、マインドフルネスと瞑想には目的の大きな違いがあります。
ここでは、勘違いされやすいマインドフルネスと瞑想について、目的や、効果の違いについて解説していきます。
そもそも、マインドフルネスと瞑想は目的が違う
マインドフルネスと瞑想は、それぞれに複数の定義や目的があり、互いに似ている点が多いため、「違いがわかりづらい」という方も多くいるでしょう。
マインドフルネスと、瞑想の一番異なる部分は「目的」です。
そこで、似ているようで異なるマインドフルネスと瞑想の目的について、以下で解説します。
マインドフルネスの目的
マインドフルネスは、日本マインドフルネス学会で「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」と定義されています。
また、マインドフルネスは、明確な利益を得ることを目的として行われます。
マインドフルネス状態に入るための手段として、頭の中に浮かんだ物事を書き写すジャーナリング法や、食事や飲み物を摂取する際にゆっくりと時間をかけるイーティング法などがあります。
GoogleやApple、ゴールドマンサックス、ヤフーといった大手企業でも、生産性やチーム力の向上、仕事の効率化などの具体的な利益を目的として、マインドフルネスを導入しています。
瞑想の目的
瞑想は、マインドフルネスとは違い、利益を求めず日々の仕事や家事、勉強などで疲労が溜まっている脳をリラックス状態にさせて、休ませる目的があります。
また、健康面や心理的な治療の一環で行われることもあり、その目的はさまざまです。
人間の脳は何もしていないときでも、仕事のことや日々の生活のこと、過去の出来事が次から次へと頭に浮かぶため、常に脳を働かせ考えてしまいます。
そうすると、頭に浮かんでくる考えごとにエネルギーを使ってしまい、自分自身に意識を向けることが非常に困難になってしまうでしょう。
つまり、頭に浮かんでくる余計な考えごとを排除し、脳を休ませることを一番の目的としています。
マインドフルネスと瞑想の効果の違い
実はマインドフルネスと瞑想の効果だけに注目すると、それほど大きな違いはありません。以下で具体的に解説します。
マインドフルネスと瞑想の効果
マインドフルネスと瞑想の共通する効果として、代表的なのが以下の6つです。
● ストレス軽減
● 睡眠導入効果
● リラックス効果
● 集中力向上
● 学習能力向上
● 記憶力向上
これらがマインドフルネスと瞑想に共通するもので、「効果」だけに注目すると類似する点が多くありますが、マインドフルネスと瞑想は、身体疾患の症状を根本から治すものではありません。
しかし、マインドフルネスや瞑想を行い精神状態が安定すると、身体的な回復など良い影響があるともいわれています。
どちらも大きな違いはない
マインドフルネスと瞑想の効果に大きな差はありません。
しかし、マインドフルネスには、その後の目的として利益や結果を求めている部分に違いがあります。
マインドフルネスは、仕事を効率的に進め、なおかつストレスを排除し生きていくための手段です。
マインドフルネスをビジネスに取り入れる企業も多く、以下のような効果がもたらされます。
● 生産性の向上
● 質の向上
● チーム力の向上
● 発想力の向上
● ハラスメントの防止
一方、瞑想にはこのように利益を求めず目的がないことから、マインドフルネスとは区別されています。
上記の内容を含めて、目的をしっかり理解したうえで瞑想とマインドフルネスを使い分けるのが理想です。
マインドフルネスは研究施設で効果が実証されている
マインドフルネスは目に見えない効果が多く、「効果は本当にあるの?」と疑問を抱く方も多いと思いますが、実際にマサチューセッツ工科大学(MIT)の「マインドフルネスセンター」の研究で効果が確認されています。
また、海外だけではなく、日本においても2013年に「日本マインドフルネス学会」が設立され、医学や心理学の方面でも注目を浴びています。
この日本マインドフルネス学会が開いている研修会は、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会によって臨床心理士資格取得後の短期研修会として認定されているほどです。
結果的に、マインドフルネスは実際に気持ちが落ち着くだけでなく、免疫力が上がったことも科学的に証明されており、その効果をもとに、海外では宗教なども関係なくマインドフルネスを医療として取り入れる病院も増えています。
まとめ
マインドフルネスと瞑想の効果は似ていますが、目的に違いがあります。
マインドフルネスは、日本マインドフルネス学会で「今、この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価をせずに、とらわれのない状態で、ただ観ること」とされており、結果を求め、仕事の効率化や具体的な利益を目的としています。
一方、瞑想は利益を求めずに疲労が溜まった脳をリラックスさせたり、休ませたりする目的や健康面の治療の一環として取り入れられるのです。
また、マインドフルネスは科学的な根拠をもとに効果が報告されています。
仕事の生産性を上げたいなど、明確な利益を目的としている場合は、マインドフルネスを取り入れることを検討してみましょう。