50代から日本語教師を目指す。そう決意したきっかけや新たな学びがくれた感動を修了生にインタビューしました。

定年後は、世の中に
貢献できる活動を

テレビの仕事を通じ気づいた
「伝わる言葉」の大切さ

私は2017年まで、関西のテレビ局に勤務し、国内外の報道や宣伝の仕事などに携わってきました。キャリアの中で、海外支局の管理業務をした際、現地スタッフの日本語の上手さに驚かされ、外国の方はどうやって日本語を勉強するのだろうと興味を持ったことが、定年後に日本語教師養成講座に通う きっかけになりました。

ヒューマンアカデミーを選んだのは、先に日本語教師を志した先輩が勧めてくれたからです。日本語教育能力検定合格を目指す一方で、2018年に大阪梅田校で開講した「やさしい日本語」指導者養成講座も受講し、外国人と日本人、双方をつなぐスキルを身に着けました。

日本語教師として、日本語を伝える
プロとして、日本人も導きたい

検定に合格した後は、いくつかの日本語学校で講師を務めるほか、大学生にキャリア形成の指導をしています。また、日本語教師の仲間たちと「チームやさしい日本語」というグループを立ち上げ、その運営に携わっています。

「やさしい日本語」とは〝在住外国人や高齢者、子ども、障がいのある方など、少し日本語がわかりにくい人にも、理解しやすく工夫された日本語のことです。

1995年1月17日の阪神・淡路大震災を契機に生まれた取り組みで、たとえば「避難所(evacuation spot)」という言葉が分からなくても「小学校に逃げてください」なら通じる外国人が、日本にはたくさん暮らしているのです。

日本語教師として、懸命に日本語を学ぼうとする外国人を導き、やさしい日本語講師として「どういいかえたら伝わるか」を知る人の輪を広げる。定年後は世界に貢献できる仕事をしたいと願っていた私の、新しい生きがいです。

オンライン授業
やってみました!講師編

久東 明日香講師(銀座校・新宿南口校担当)
神戸大学・大学院留学中に日本語教師の資格を取得
2004年からヒューマンアカデミーで教壇に立つ

今では一般的になってきたオンライン授業。日本語教師養成講座でオンライン授業を担当している久東講師にオンラインで学ぶメリットについてお聞きしました。

オンラインならではの
気づき・学びが可能性を広げる

対面では気づかなかった
オンライン授業のメリット

「長年、教室の反応を見ながら指導してきたので、オンライン授業が中心になった当初は、やはりちょっと抵抗がありましたね」

そう語るのは、銀座校・新宿南口校で指導を行っている久東明日香講師。授業に使ってきた教材を、オンラインで使えるよう手直しする難しさなど、まさに試行錯誤しながら対面とオンラインの授業を両立しています。

久東講師のオンライン授業

「年齢層にもよりますが、学生さんの順応は早かったです。2020年の秋は“コロナだから仕方なく”という反応でしたが、最近では“コロナでなくてもオンラインで”と考えている人が多いのではないでしょうか。通学にかかる時間や手間がないというラクさはもちろんですが、対面でもオンラインでもしっかり学べると分かった、という受講生からの評価でもあるので嬉しいことです」と久東講師。

受講生だけでなく、講師側にもオンラインで初めて気づいたメリットがあるそうです。「教室での対面授業では、積極的に発言できる人、できない人がどうしてもいます。でもオンライン授業なら、誰でもチャットで気軽に投稿してくれる。
これまで促しても引き出せなかった意見が可視化され、そうかこの人はここでつまずいていたのか、と分かるようになりました」

オンラインも対面もできる
講師が求められる社会に

 「それになにしろ、オンラインならお互いマスクをしなくてもいい。日本語教師は発声や表情なども重要なコミュニケーション要素ですから、互いの顔が見えるのはありがたいことです」。そんな風に、オンライン授業ならではの気づきを教えてくれました。

日本語を学びたい。けれどコロナ禍で来日が難しい。通学が難しい。そういう人にとっても、インターネットを介して講義が受けらえるオンライン受講は大きなチャンス。ならば講師も、そのニーズに対応しなければと、久東講師は改めて実感しているようです。

 「対面へのこだわりやITに対する苦手意識で、オンライン授業を避ける受講生や講師は、アフターコロナの時代には活躍できなくなる気がします。逆に、対面にもオンラインにも対応できれば、修了後の門戸はグッと広がるでしょう。

私も最初は躊躇していましたが、今ではすっかり馴染みました。自分がこんなにパソコンやネットを活用できるようになるなんて、嬉しい変化です」長いキャリアを誇る久東講師も、コロナをきっかけに変わった世界に、しなやかに順応しています。

私が50代〜日本語教師
目指したわけ

佐藤 紫乃さん
佐藤 紫乃さん
  • 2020年、ヒューマンアカデミー梅田校修了
  • 現在は外国人雇用・就労支援事業に従事

外国人の人たちの「働く」を
応援したい

私が日本語教師養成講座に通ったのは、すでに20年携わった司会業からキャリアチェンジをし、キャリアコンサルタントとして働いて5年が経ったときでした。若者就労支援をしていたとき、訪問する先々で外国人の人たちが働いている姿を見て、外国人の人たちの就労をサポートしたいと思うようになりました。また、彼らはどのように日本語を学ぶのだろうと関心を持ったのが養成講座に通ったきっかけでした。

そして通学中、「やさしい日本語」に出会いました。「これだ!」と思い「やさしい日本語指導者養成講座」も受講。一緒に働く日本人と外国人とのコミュニケーション手段として、とても有効なツールだと思いました。なぜなら、就労支援においては、働く側だけでなく、受入側の理解やサポートも必要だと感じていたからです。

養成講座修了後は、元同僚と就労支援事業の準備を開始。それと並行して、外国人技能実習生の受入れをする監理団体で働く機会にも恵まれ、現在は技能実習生と企業様のサポート業務に携わるほか、外国人留学生に特定技能試験の対策講師も務めています。今後は、立ち上げた事業を展開し、外国人の人たちのキャリア支援を行っていきたいと考えています。

以前は「セカンドキャリア」ということを強く意識していましたが、年齢にこだわることなく、関心のあることを大切にして進んでいけばよいのではないかと思っています。日本語教師は多様な働き方ができるところも魅力だと感じています。

小松 一幸さん
小松 一幸さん
  • 2015年、ヒューマンアカデミー西大寺校修了後、ヒューマンアカデミー日本語学校大阪校で講師を務める
  • 2016年から中国山東省・聊城大学外国語学部日本語学科講師

高まる海外の日本語教師需要
定年後も中国で教鞭をとる

「私は大学を卒業後、34年間、奈良で小学校教諭をしていました。国際都市ですから海外にルーツを持つ生徒も多く、彼らや親御さんと対話するうち、いずれ日本語教師を目指してみたいと考えるようになったんです」

小学校を辞した小松さんは、すぐにヒューマンアカデミー西大寺校に入学。元教師だけに、教えることには慣れているつもりでしたが、日本語教師の講義や実習は驚きと新発見の連続だったそう。

「発音・文法といった基礎の基礎から、日本語とはどんな言語なのかを徹底して教えていただいた1年間は、もう楽しくて楽しくて」と、学生に戻って学んだ日々に声を弾ませます。

「修了後はヒューマンの就職サポートを活用し、2年間、ヒューマンアカデミー日本語学校大阪校で教壇に立ちました。その後、2016年に3万人の学生を擁する中国の名門・聊城大学で、ただ一人の日本語講師として働き始めたんです」

定年後、家族を残してただ一人での海外赴任。しかし小松さんは前向きでした。
「日本に留学したい。サブカルチャーを楽しみたい。他の言語より進級や就職に有利…動機がなんであれ、日本語を学びたい中国の若者は急増しており、とても真面目です。当然、教える方も、その熱意に応えたくなりますよ」

現在コロナ禍で帰国中であり、オンラインで授業を行っている小松さんですが、また活気あふれる大学に戻る日を楽しみにしています。

ロゴ

オンラインイベントレポート

子どもの日本語教育に
かかわるには?

日本では昭和から平成、そして令和に時代が移りゆく中で海外からの移住者が増え、「日本語教育」への関心が高まってきました。日本に移住する外国人が増えるほど、日本での生活や児童の学習環境に対して各自が抱える問題が顕著に現れています。
日本語教師は悩みを抱える外国人の人々に、日本語教育という面からどのようにサポートができるのか。今回は2021年8月22日、一般社団法人日本語研究会が主催するオンラインイベント「子どもの日本語教育にかかわるには?」で発表された、日本語教育の第一線でご活躍されている方々のお話を、レポート形式で一部お届けします。

基調講演

子どもの日本語教育の向かうところ

村澤 慶昭氏 武蔵野大学教授

今回のイベントでは3つの事例報告をしていただきました。それを踏まえて、私たちは今後どのように「子どもの日本語教育」に関わるべきかを考えていきたいと思います。武蔵野大学にて「しあわせ研究所」というものがあり、私は「外国に繋がる子どもたちは幸せか・子どもたちを取り巻く人々は幸せか」というテーマで考えてみました。

東京都の江東区では外国人ルーツを持つ方や外国人登録者の方が3万人ほど暮らしています。これらの人々はかつて、地域に散在していたものの現在では集住化しており、日本語指導が必要な児童生徒が増えました。私たちはそこをどうやって地域の支援と繋げるかということを考えていて、留学生として日本語を学んだ外国人が、移住してきた外国人の児童・生徒に日本語を教える等の取り組みを行っています。では、日本語の支援が必要な子どもたちは日本語が上手になれば幸せになれるのでしょうか。

ある保育園でのお話です。全く日本語を話せない子どもが泣いていて、周りの大人がどれだけ話し掛けても言葉が壁となり原因が特定できませんでした。しかし、日本語が話せる同郷の子を連れてきて聞いてみたら解決したのです。この例でみられるように子どもにとって「言葉」は非常に大きな問題で、私たちはこれに対して「日本語教育」という部分で外国人の児童・生徒に対し、先ほどの事例紹介で先生方にご紹介いただいたように様々な方法でアプローチしていくことが重要になるでしょう。

日本語研究会の今後の活動について

伊藤 健人氏 日本語研究会代表理事(関東学院大学教授)

日本語研究会は、言語や文化が異なる人々が互いに尊重し、より良い関係が築ける社会づくりを目指し、その立役者となる日本語教師の支援を行うため、主に「キャリア支援・研究開発及び助成・交流促進」の3つの活動を進めている一般社団法人です。
今後もオンラインでの1時間程度の講演会や、会員の皆様の実績を発表頂くシンポジウムの開催を予定しています。是非会員の皆様の積極的なご参加をお待ちしております。

伊藤 健人

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