「ストレス社会」と表されることもある現代社会。疲れを癒してリフレッシュするための方法にはさまざまなものがありますが、そのひとつが、色の力を利用して行う「カラーセラピー」です。
本記事では、カラーセラピーとは何なのか? という基礎的なところから、それぞれの色の意味や効果、そしてご自宅で手軽に楽しめるセラピーの方法までをわかりやすく解説します。疲れが溜まっているときやリラックスしたいときに、ぜひ試してみてください。
カラーセラピーの基礎知識
カラーセラピーとはどのようなセラピーなのでしょうか。また、カラーセラピーにおいてそれぞれの色はどのような意味を持つのでしょうか。まずは、こうした基本的な事項を確認しておきましょう。
カラーセラピーとは
カラーセラピーとは、色が私たち人間に与える効果を利用して、心身のバランスを整えていくセラピーです。近年では医療・福祉施設の中にも、カラーセラピーを取り入れているところがあるようです。
カラーセラピーの起源は、古代エジプトで行われていた「太陽療法」であると言われています。日光を浴びることで健康を保つこの療法では、直接の日光浴だけでなく、色ガラスを通して日光を浴びるという手法も存在したようです。たとえば当時の神殿には部屋ごとに色の異なるガラスが使われ、部屋によってさまざまな色の光が差し込むように作られていたとされます。
古代エジプト以外にも、古代インド、古代ギリシャやローマ、そして中世ヨーロッパまで、世界各地において「色に力がある」という考えが広く支持されてきました。ルネサンス期以降、カラーセラピーはいったん治療現場から姿を消しますが、『光と色の原理』の著者であるアメリカの医師エドウィン・バビットなど、色彩を科学的に研究する人は存在しました。そして1970年代以降、ニューエイジ思想の盛り上がりに伴って代替療法がブームとなり、カラーセラピーの療法が体系化されていきます。
現代では、これまでに編み出されたさまざまな体系をもとに、色彩心理学の考え方も取り入れながら、カウンセリングとヒーリングを一連で行うというシステムでカラーセラピーが行われています。
現代のカラーセラピーの手法には、広く使われている「6ベーシック」、イギリス式の「オーラライト」、カナダ式の「センセーション」など、いくつかの種類があります。
カラーセラピーにおける色の意味
上で述べた通り、現代のカラーセラピーにはさまざまな手法がありますが、色の持つ根本的な意味はどの手法でもほぼ共通しています。
それぞれの色が持っている主な意味は、次の通りです。
- レッド:やる気、パワー、勝利
- オレンジ:陽気さ、活力、友好
- イエロー:明るさ、無邪気さ、自分らしさ
- グリーン:調和、平穏、リラックス
- ターコイズ:浄化、知性、リフレッシュ
- ブルー:静寂、冷静さ、誠実さ
- インディゴ:直観、思慮深さ、静寂
- バイオレット:高貴さ、想像力、洞察力
- ピンク:愛、美しさ、優美さ
- ダークブラウン:あたたかみ、深み、安定
- クリア(ホワイト):清潔さ、祈り、完全性
色の意味について、詳しくは以下の記事もぜひチェックしてみてください。
カラーセラピーの効果
カラーセラピーを受けることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。
色を見たときに目から入ってくる光は、神経系や内分泌系を刺激します。中でも自律神経への働きが注目されており、たとえば、赤い壁の部屋にいるときと青い壁の部屋にいるときでは、赤い壁の部屋にいるときのほうが体温や脈拍数が上がるという実験結果が報告されています。
したがってカラーセラピーでは、活力を得たいときにはレッドやオレンジを、心を落ち着けたいときにはブルーやバイオレットというように、それぞれの色が持つ意味や効果を利用して心身をうまくコントロールすることが可能です。
また、プロのセラピストのもとで受けるカラーセラピーでは、心の浄化作用も期待できます。セラピストのもとで行うカラーセラピーでは、はじめに自分が気になる色を選び、その色をもとにして、過去や現在の話をセラピストに打ち明けていきます。自分の選んだ色が目の前にあると、自分の感情を吐き出しやすくなるという効果があります。そうして話していくうちに、自分のことを客観視でき、心に整理がつけられるのです。
カラーセラピーのやり方
カラーセラピーは本来、プロのセラピストのもとで行うものですが、その考え方を生活に取り入れて手軽に取り組むことも可能です。今回は、自宅でできるカラーセラピーとして、3つの方法をご紹介します。
ファッションに色を取り入れる
まずは、日々のファッションの中で色の力を借りるという方法です。その日に身につける洋服やアクセサリーの色合いを工夫してみましょう。ネイルや小物を新しくするのもおすすめです。また、下着などの見えない部分で色を取り入れるのも良いでしょう。
全身をほぼ一色でコーディネートするのは、あまりおすすめできません。なぜなら、それぞれの色にはプラス面だけでなく、それを裏返したマイナス面も存在するからです。差し色を入れるなど、2~3色をバランス良く配置するようにしましょう。
花を飾って生活に色を取り入れる
自宅やオフィスなどに花を飾って、色の力を取り入れるのも効果的です。
「前向きになりたいときには黄色い花」「自分に自信を持ち、意志を貫きたいときには赤い花」「リラックスしたいときには水色の花」「リフレッシュしたいときには白い花」など、シーンに合わせてさまざまな色の花を選んでみましょう。
この方法では、ドライフラワーや造花ではなく、生花を飾るのがおすすめです。なるべくよく目につく場所に飾ってみてください。
待ち受け画面の色合いを工夫する
よりお手軽な方法が、スマートフォンやタブレット、パソコンなどの待ち受け画面を利用するというものです。
こうした情報機器の待ち受け画面は、一日の中で目にする頻度が高いのではないでしょうか。そこで、先にご紹介した「色の意味」を参考に、待ち受け画面の色合いを工夫してみましょう。
設定後は、待ち受け画面を目にするたびに「この色にはこういう意味や効果があるのだ」ということを積極的に意識すると、より高い効果が望めるでしょう。
まとめ
カラーセラピーは、色の持つ効果を利用して心身のバランスを整えていくものです。その歴史は長く、現代では先人の知恵をもとにしてさまざまな手法が考案され、実践されています。
カラーセラピーには、それぞれの色が持つ意味を利用して、心と身体をコントロールできるという効果があります。自宅で手軽に取り組める方法もあるので、ぜひ試してみましょう。