目次
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  1. 1. 発達心理学とは?
  2. 2. 発達心理学を学んで得られる3つのこと
  3. 1. 問題に直面したときの乗り越え方
  4. 2. 人間関係の改善
  5. 3. 人を精神的に支えられる
  6. 3. 発達心理学をビジネスシーンに活用する方法とは?
  7. 1. 第1段階:利己的・道具主義的段階
  8. 2. 第2段階:他者依存・慣習的段階
  9. 3. 第3段階:自己主導・自己著述段階
  10. 4. 第4段階:自己変容・相互発達段階
  11. 4. まとめ

発達心理学とは、人が一生を通じて心と体を成長・発達させ、変化していく過程を研究する学問です。

発達心理学を知って活用することは、自分や他人への理解を深め、ビジネスにおいても円滑な人間関係の構築や精神的な問題解決にとても有効です。

 

今回は、発達心理学とそれを知ることによって得られるメリット、ビジネスシーンでの活用方法を詳しくご紹介します。

発達心理学とは?

 

もともと発達心理学は、乳幼児期から幼児期、児童期、青年期へと成長して大人になるまでの過程が対象でした。しかし、近年ではさらに青年期、成熟期、老年期においても心理的発達は続いているという観点から、その変化が研究されています。

発達心理学では、この変化を4つのカテゴリに分けて見ていきます。

 情緒:喜怒哀楽などの感情のこと
 社会性:他者との関わり方や、人間関係の形成の仕方
 認知:自分の周りの環境や世界との関わり方、自分の考えや行動に対しての認知
 身体能力:運動能力や視力・聴力など、身体的な能力のこと

これらが成長・加齢の過程で変化していくことで、自分や人がなぜそういった行動をとるのか、なぜそのような感情を抱くのかなど、対人や物事に対する認知や理解も変化していく、ということを学ぶ学問なのです。

発達心理学を学んで得られる3つのこと

 

発達心理学で人間の成長・発達を学ぶことは、自分や他者への理解を深めることです。

これをビジネスで活用するにあたって、どのようなメリットがあるのかご紹介します。

問題に直面したときの乗り越え方

出来事に対し、人がなぜその行動をとるのか、なぜそう思うのかを学べるので、問題への取り組み方や乗り越え方がわかるようになります。もともとの性格だけでなく、人の心の成長段階への理解が深まり、広い視野で物事を見ることができるからです。

 

また、他人だけでなく自分自身への理解が深まるのも大きなメリットの一つです。意識の発達段階を知り、自分がどのレベルにいるのかがわかれば、問題に対してなぜ自分がそう思うのか、今後どのように成長していけば良いのかを客観的に理解できます。

人間関係の改善

自分を含め、人が持つ心の特性をより客観的に見ることができるので、人そのものを理解し、許容できるようになります。

「あの人はこういう人間だ」と決めつけることなく、心理的発達段階なのだととらえれば、人間関係の問題に対しても冷静に対処できます。

このような見方ができるようになると、人間関係の改善につながり、対人ストレスも徐々に減っていくでしょう。

人を精神的に支えられる

落ち込んでいる人の状態や要因を客観的に理解し、精神的なサポートができます。的確なアドバイスや、理解・慰めの気持ちを伝えることは、悩める人にとって大きな支えになります。

悩みの原因を、問題の表層だけでなく心理的な問題まで探ることでより深く理解し、さまざまな形で人に寄り添えるようになるのです。

発達心理学をビジネスシーンに活用する方法とは?

発達心理学をビジネスで活用するためには、「成人発達理論」を理解する必要があります。

成人発達理論は、人の意識は成人以降も成長・発達し続けるものとして、その意識レベルを4つの段階に分類しています。

 

  1. 利己的・道具主義的段階
  2. 他者依存・慣習的段階
  3. 自己主導・自己著述段階
  4. 自己変容・相互発達段階

 

それぞれどのような特徴があるのか、また、それぞれのレベルの人にどのような対応をしていけば良いのかを見ていきましょう。

第1段階:利己的・道具主義的段階

第1段階のレベルの人は、自己中心的で、自分勝手という特徴があります。自分の欲求や感情を最も重要視して、目的達成のために他人を道具のように利用することもあります。

相手の立場になって考えることができないので、相手がどのような感情を抱くか、周囲の人から見て自分の振る舞いがどう映るのかがわからないのです。

 

この段階の人をサポートするには、「そのとき相手の人はどのような気持ちだったと思う?」などと質問をして、相手や第三者の視点を養うトレーニングを重ねていくことが重要です。

第2段階:他者依存・慣習的段階

第2段階では、相手の視点になって考えられるようになり、他人の気持ちが理解できるようになります。

しかし、自分の意思や価値観といったものが未完成のため、自分で考えることなく他者の考えや習慣・ルールに依存して行動します。言われなければ動かない、書いてないことはやらない、という状態です。

 

このレベルにいる人には、「あなたはどう思う?」「なぜそう感じたの?」など、自分がどう思うのかを考えて言語化させるような質問を投げかけることをおすすめします。これを繰り返すうちに、徐々に「自分はこう思う」「こうやりたい」などの意見を出しやすくなってくるでしょう。

第3段階:自己主導・自己著述段階

第3段階になると、相手の視点になって考えることに加えて、自分の意見や価値観が確立されてきます。

すると今度は自分のなかの判断基準に縛られてしまい、新しい価値観や他人の意見を受け入れず、自分が正しいと思い込んでしまう傾向があります。

 

これを改善するには、今までの自分のやり方や考え方をもう一度見直すことです。今の価値観に行きつくまでの前提が本当に正しいかどうかを考え直し、自ら間違いに気付くことさえできれば、新しい価値観ややり方にも柔軟に対応することができます。

この作業を他人へ促す場合は、そう考える前提は何なのかを質問してみるのがおすすめです。

第4段階:自己変容・相互発達段階

第4段階では、今までの自分の価値観だけに縛られることなく、常に新しい自己へと刷新していきます。「自分とはこういう人間だ」と決めつけずに、時の流れや環境の変化に応じて自分自身も柔軟に変化していくものと理解しているのです。

他者との関係においては、互いに成長するためになくてはならない大切な存在ととらえています。

 

第4段階の人は頼りがいがあり、好感が持てるような人物像ですが、これに当てはまらないからと悲観することはありません。この4段階の違いは持って生まれた性質を意味するものではなく、単に発達段階の差であり、トレーニングを積めば誰でも意識レベルを成長させることは可能だからです。

まとめ

発達心理学は一生を通じた成長・発達を研究する学問であり、日常生活だけにとどまらずビジネスにも役立ちます。意識レベルの発達した人間が会社のなかに増えることで、コミュニケーションの円滑化、仕事の効率や生産性アップなど、たくさんの利益が期待できます。

 

意識の4段階は、人や自分がどのレベルにあるのかを知り、どのように発達させていけばいいのかを知るための指標となるものです。

仕事や人間関係に行き詰まってしまったときは、ぜひ発達心理学を活用して、円滑なコミュニケーションと精神の安定を取り戻しましょう。