「疲れているのに眠れない」「眠ろうとすると目がさえてしまう」といった睡眠の悩みは、経験した人でないとわからない辛さがあるものです。仕事が忙しかったり、運動をしたりして疲れているはずなのに、なかなか眠れない時があるのはどのような原因があるのでしょうか。
ここでは、疲れているのに眠れない原因と対処法にくわえ、質のよい眠りを実現するために普段から心がけたいポイントなどについて紹介しています。眠れなくて困っている方はぜひ参考にしてみてください。
疲れているのに眠れないのはなぜ?
疲れていても眠れない原因として、就寝する直前に交感神経が活発になってしまっている可能性があります。交感神経は日中活動している時や、目覚めのシャキッとした感覚の時に活発にはたらくものですが、この交感神経が昂ぶったままになっていると、疲れを感じていてもなかなか寝付けないことが多いのです。
交感神経が昂ぶる原因としては、以下のようなものが挙げられます。
ストレス
プレッシャーや悩みなど、日常生活で強いストレスを感じていると交感神経が昂ぶってしまい、眠れない原因となってしまいます。
緊張感
緊張感はストレスによってもたらされることもありますが、スリルを感じる映画やゲームなどでも緊張感が高まり、交感神経を刺激してしまうことがあります。
就寝直前の運動や入浴、まぶしい光
就寝直前にトレーニングやスポーツをしたり、熱いお湯を使って入浴したりするのも、交感神経を刺激する原因となります。また、朝に日光を浴びることで交感神経が活発になり目覚めるように、夜間にまぶしい光や強いライトを見続けることも交感神経の昂りを助長し、寝付けない原因となることが多いのです。
こうした習慣や原因に心当たりがあって眠れない場合は、どのような対処法があるのでしょうか。
疲れているのに眠れない時の対処法
ストレスや生活習慣によって交感神経が刺激され、ベッドに入っても眠れない夜が続く際には、以下の方法を試してみましょう。
深呼吸をする
交感神経が活発になっていると、無意識に呼吸が浅くなりがちです。交感神経を鎮めてリラックスするために、10回程度深呼吸をしてみましょう。
4~5秒かけて鼻からゆっくりと息を吸い、5~6秒かけてゆっくりと口から息を吐き出すことを繰り返すと、気持ちが落ち着いて眠りに入りやすくなります。
温かいものを飲む
お腹がほっこりと温まる程度の熱すぎない飲み物を1杯飲むのも、昂った神経を鎮めるリラックス効果が期待できます。
コーヒーや紅茶などのカフェインを含む飲み物や強いアルコールなどは避け、カフェインレスのハーブティーやホットミルク、温めた豆乳などを飲むのがおすすめです。
ハーブティーを選ぶ場合は、安眠効果があるといわれるカモミールや、鎮静作用のあるローズ、レモンバームなどを選ぶとよいでしょう。
ストレッチで筋肉をほぐす
寝る前の激しいスポーツや筋トレはおすすめしませんが、ゆったりと筋肉をほぐすストレッチなら、緊張をやわらげてリラックスする効果が期待できます。
布団やベッドに横になった状態でできるストレッチ運動を以下にご紹介しますので、眠れない時や体が緊張していると感じる時に試してみましょう。
・全身をほぐすストレッチ
- 仰向けに寝る
- 寝た状態で、ゆっくりと背伸びをするように両手を上に伸ばす
- 両足も伸ばして、20~30秒キープ
・手足の緊張をゆるめるストレッチ
- 仰向けに寝る
- 寝た状態で、両手と両足を体から90度くらいの高さまで上げる
- 両手と両足をそのままブラブラと動かす動作を30秒程度続ける
いずれのストレッチも無理せず、痛いと感じる場合は伸ばす力や上げる角度をゆるめておこなうようにしましょう。「少し痛いけど気持ちいい」と感じる程度でおこなうのがポイントです。
上記の対処法は、どれも緊張やストレスをほぐして、リラックスするのに有効です。就寝前の習慣に取り入れることで、より入眠がスムーズになるでしょう。
良質な眠りのために普段から心がけたいポイント
眠れない時の対処法以外にも、普段の生活で心がけたいポイントを意識することで、良質な睡眠につなげることができます。以下に挙げる行動を毎日意識しておこなうようにしてみましょう。
太陽の光を浴びる
日光が射す朝に目覚め、日が落ちる夜に眠るというサイクルは、本来人間の生活に「体内時計」として備わっているものです。日中に太陽の光を浴びることで体内時計が正常にはたらき、夜になると眠りにつきやすくなります。
長時間直射日光にあたる必要はありませんが、室内にいる時は窓のカーテンやブラインドを開け、できるだけ自然光を取り入れるようにしましょう。
体内時計が正常にはたらくと、朝に日光を浴びてから約14時間後に睡眠に入れるようになるといわれています。遮光カーテンや窓のないオフィスなどで自然光を浴びない生活習慣になっている場合は、意識して朝に太陽の光を浴びる習慣をつけるとよいでしょう。
就寝前にスマートフォンやテレビを見ない
就寝直前までスマートフォンやテレビを見ていると、画面から発する強い光に刺激されて交感神経が活発になり、興奮や覚醒作用があらわれやすくなります。
特にスマートフォンやパソコン、タブレットなどの画面から出る光は「ブルーライト」と呼ばれ、睡眠を抑制するなど、目に悪い影響を与えるとされています。眠りにつくギリギリまで何かしている習慣がついている人は、ベッドや布団に入ったら画面を見たり読書したりする代わりに、ストレッチをおこなうようにしてみましょう。
就寝直前に強い光を見ることを避けるだけでも、よりリラックスして眠ることが可能となります。
「眠らなくては」と思いすぎない
「眠らなくてはいけない」、「こんな時間まで起きていて、寝坊したらどうしよう」など、眠れないことに不安を感じすぎてしまうと、余計眠れなくなる悪循環を招きがちです。
たとえ睡眠時間が短くても、スッキリと目覚めて日中に眠気が来ることもないようなら、自分の体には十分な睡眠が取れているのかもしれません。眠れないことをあまり気にせず、自然な眠気が来るまでリラックスして夜を過ごすようにするとよいでしょう。
まとめ
疲れているのに眠れない原因には、ストレスや緊張が残っているほか、寝る直前に運動や入浴するなど、交感神経が活発になる行動をしている可能性が考えられます。
眠れない時の対処法として、温かい飲み物を飲んだりストレッチをしたりするほか、日中には太陽の光を浴び、寝る前にスマホやタブレットを開かないといった習慣をつけることも良質な睡眠に役立ちます。あまり「眠らなくては」と思いすぎずに、短時間でもリラックスして眠れる時間を取れるとよいでしょう。