長年続いた大学入試センター試験が廃止され、より思考力・判断力・表現力が問われる大学入学共通テストが始まったことが記憶に新しいことだと思います。
教育に関する話題の際に、海外の教育との違いが取り上げられることも多いですが、具体的にはどのような違いがあるのでしょうか。
今回は、海外の教育制度や特徴を日本と比較していきたいと思います。
日本の教育における特徴
日本の教育は、全員が同じレベルを目指して教育することが前提です。例えば、合格するまで何度もテストをしたり、全教科の成績をまんべんなく伸ばすことを目指したりするなどの特徴が挙げられます。
この教育方法によって、諦めず繰り返し取り組む姿勢を身につけ、努力によって能力を伸ばせると考えられています。また、日本の教育はできることが当たり前とされ、できないことは指導の対象となるといった特徴も存在します。
- 生徒が所属するクラス・教室が決められている
- 先生たちが集まる職員室がある
- 給食がある
- 生徒たちが教室や施設の掃除をする
- 行事ごとが多い
- 制服、体操着がある・校内校外で履物が変わる ※学校により異なります
生徒が所属するクラス・教室が決められていることで、常に生徒同士で行動をともにすることとなり、連帯感・協調性が育まれます。先生たちも、職員室があることで密に連絡を取り合うことが可能です。
欧米の学校などはカフェテリアで食事をするのが一般的ですが、日本の給食は栄養士が考えた献立であるため、栄養面においては優れているでしょう。また、給食という文化は、日本で広く浸透している“食育”という考え方が反映されているものだといえます。
また、掃除に関しても、海外では業者に任せることが主流となっています。一方、日本では自分たちが使っている教室や部屋を自分たちで掃除することで、生徒に責任感を持たせることができると考えられています。日本の街が比較的きれいに保たれているのは、国民性もありますが、この教育方法のおかげかもしれません。
日本の学校は、入学式、卒業式や運動会、文化祭など一年を通して多くの行事があります。行事という全体目標に向かって全員で取り組むことで、連帯感やチーム力、企画力などを育む機会となるでしょう。
制服・体操着があること、上履き、運動靴、体育館シューズと履物が変わるということも日本教育の特徴です。TPOに合わせて服装を選ぶ、日本の文化に大きく関係しています。
海外の教育と日本の教育における違い
日本語の“教育”は、英語で“エデュケーション”です。この言葉には“外へ導く”という意味があります。この言葉どおり、海外の教育は“教える”というよりも、“生徒一人ひとりの可能性を導き出す・個々の力を伸ばす”という意味合いが強いといえるでしょう。
海外では、日本のように“みんな一緒”の教育ではなく、生徒それぞれの能力に合わせた教育を行なうのが特徴的です。そのため、できないことを叱ったり注意したりすることよりも、それぞれの能力や才能を伸ばすことに重点を置いています。
先生や親が生徒の良いところをたくさん褒めることで、生徒は自分のできないことよりもできることに目を向けられるようになり、自信を持てることでしょう。
また、海外は日本でありがちな暗記型・知識詰め込み型教育ではなく、考えて導き出すことを重視した教育です。そのため、日本のような暗記力が問われるテストをすることはほとんどありません。
学校から課される宿題も、自分で調べたり考えたりしなければならないものが多く、決まった解答があるものよりも、いくつもの答えがあるような問題が出されます。暗記する力よりも、生徒自身の自主性・主体性を尊重し、学習への探究心を育むことを重要視しているといえるでしょう。
そして、海外では義務教育中であっても留年があることも、日本と大きく違う点です。日本では、どれほど成績が悪くても義務教育中に留年することはありません。良くも悪くも、生まれた年が同じ生徒は、同じ教育を受けることとなります。
海外では、できないことを強く批判されることは少ないのですが、進級できるレベルに達していないと学校や保護者が判断すれば、進級はできません。反対に、成績が優秀であれば、飛び級をすることもあります。年齢ではなく、個人の能力に応じた学年に配置するというのが一般的な考え方のようです。
ヨーロッパと日本の教育制度の違い
ヨーロッパは、世界トップクラスの教育レベルを誇る国が多いと有名です。ここでは、特にレベルの高い国の教育制度を紹介します。
フィンランド
プレスクールから大学院までの学費が無料で、給食費や文具代も支給されます。学校・家庭・行政が連携を取りながら、一体となって子どもを育てていく意識が強いことが特徴です。
義務教育は9・3・3制で、7歳から入学します。他人と比較するような教育はせず、授業においてのテストは行ないません。“自分のために勉強している”という意識を持たせる教育方針のためか、子どもの読書量が非常に多いのが特徴です。
オランダ
義務教育は5歳から18歳までで、ほぼ無償で受けられます。ネイティブでない子どもにも、教育を受けさせることも特徴です。しかし、5歳で必ず入学しなければならないわけでなく、成長に合わせて入学することができます。
また、学校それぞれの裁量が大きいことも特徴です。公立でも、独自のメソッドで教育を行なっているところも多くあります。子どもの能力や資質、本人の希望によって学習内容や方法を選択できるため、本人の興味や理解度に合わせて学習を進められるでしょう。
スウェーデン
基礎学校、高校、大学の授業料が無償で、奨学金などの制度も充実しています。また、日本のように大学卒業後に就職するのではなく、就職後に大学へ入学するというケースが多いようです。
高校や大学に入学する際、入試がないというのも大きな特徴で、入試がない代わりに学校の成績で合否が決まります。
アメリカ・アジアの教育事情と日本の教育との違い
次に、アメリカとアジアの教育事情と日本の教育を比較します。
アメリカ
各州の裁量によって、大きく制度が異なることが特徴です。義務教育の年数、小・中・高の修業年数のほか、カリキュラムや教科書、休日の設定まで各学校区が定めることとなっています。
学校区によって教育レベルが異なるため、住むエリアを教育レベルで選ぶ家庭も多いようです。
アジア・中国
中国は、世界規模で教育水準を測定する調査「PISA」2018年調査で、1位を獲得するほど教育の成果が高い国です。
教育課程は6・3・3・4制が基本となっていますが、経済的な地域差が大きく、地方に裁量が委ねられている面もあります。農村部などは、予算不足により5・4制をとっている地域もあるようです。
アジア・韓国
韓国は学歴社会の色濃い国の一つで、大学入試は戦争ともいわれるほど過酷とされています。11月中旬の木曜に実施されている「スヌン」は、日本の大学入学共通テストと同じ位置付けです。
韓国では社会現象にもなっており、ニュースでも取り上げられています。韓国の教育課程は6・3・3・4制で、日本と同じです。
まとめ
今回は、日本と海外での教育の違いについて詳しく解説しました。国によって教育方針や教育制度はさまざまで、比較してみると違いは明確です。日本の教育と海外の教育、手法は違ってもそれぞれに優れた点があります。
今、センター試験の廃止や小学校でプログラミング教育の必修化など、日本の教育は過渡期にあるといえるでしょう。海外の良い点などを参考にしながら、日本の教育がより良いものとなっていくことを願っています。
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