特別な資格や教員免許の必要のない日本語教師ですが、何も資格がないままに日本語教師になろうと思っても、とても難しいのが現実です。日本語教師になるために、どのような勉強をして、どのような資格を取ればいいのか、知りたいという方も多いことでしょう。
本記事では、日本語教師になるために取得しておくべき資格の紹介をはじめ、資格合格に向けた勉強の方法や、ポイント・コツを解説します。日本語教師になりたい方、日本語教師に興味のある方は是非チェックしてみてください。
日本語教師になる近道は資格取得がベスト
小中高校の教員であれば教員免許が必要ですが、日本語教師には特に定められている資格や免許がありません。つまり、何の資格や免許がなくても応募自体は可能です。しかし、多くの日本語教師の採用においては一定の基準が設けられています。どのような基準があるのか、以下で確認していきましょう。
基本的には日本語教師になるには「免許」ではなく「資格」
“教師”という言葉がつくので勘違いしてしまいがちですが、日本語教師に求められているのは免許ではなく、資格です。教員免許を持っていることはメリットになり得ますが、なくてもさして問題ではありません。
また、免許がなくても大学や大学院で日本語教育を主専攻として学士号や修士号を取得した方は日本語教師になれる可能性も高いといえます。大学や公的機関で日本語教師をしたい方は、大学や大学院で学んでいることが必須条件です。
日本語教師になるために持っておきたい資格とは?
日本語教師になるために持っておきたい資格は、以下の3つです。それぞれメリット・デメリットがあるので、自分に合った資格を選んで取得しましょう。もちろん、ひとつの資格を取得するだけではなく、複数の資格を取得するのも良いです。その分、日本語教師になる水準を満たしているとアピールできるので、採用される可能性も上がるでしょう。
- 日本語教育能力検定試験
日本語に関する知識を量る試験です。合格率は約23%と低く、難易度は高めです。受験は1年に1度のみと少ないですが、通学での学習が必須ではないので、独学や通信講座など自分のペースで勉強できるのがポイントです。かかる費用を抑えたい方にもおすすめです。
- 全養協日本語教師検定
日本語教師としての実践力も問われる試験です。知識の有無を問われる試験ではないため、問題集の丸暗記では対策できない難しさがあるのが特徴です。この資格のみ持っていても法務省告示校で日本語教師になることは難しいですが、採用時に最も重視される「指導力」がついていることをアピールできます。
- 文化庁届出受理の420時間以上の日本語教員養成講座
日本語の知識と指導力のどちらも身に付けることができるのが特徴です。国内外問わず、日本語教師の募集要項にこの資格取得を掲載しているところが多いです。受講資格や入学試験はありませんが、50万円以上の費用がかかります。様々なスクールが講座を開いており、自分に合った指導方法のスクールを選べるのがポイントです。
日本語教師の勉強のやり方・方法には何がある?
日本語教師になりたい場合、勉強には主に3つの方法があります。社会人や学生、主婦など、自分の置かれている環境などを鑑みて、どの方法で勉強するか決めましょう。
独学で勉強する
「時間がかかっても良いから、できるだけ費用を抑えて、且つ自分のペースで勉強したい」という方にぴったりなのが、独学です。かかる費用はテキスト代や受験料だけで、通学講座や通信講座に比べて安いのがメリットです。
ただし、試験の傾向と対策を全て自分で行う必要があり、何か疑問点があっても自分で解決しなければいけないのがデメリット。他の人に教えを請うことができないのは、時に大変な困難を生むことがあります。
日本語教師の通信講座で勉強する
全てを自分でこなす自信がないけれど、仕事や育児などで忙しいため講座に通うことができない…という方にぴったりなのが、通信講座です。プロの添削やアドバイスなどを受けながら、自分のペースで学ぶことができます。通学よりも価格が安いところが多いので、費用を抑えたい方にも良いでしょう。講座によっては受講者同士の交流ができるコミュニティサイトを開設しているものもあるので、気軽に質問や相談ができるのもメリット。
しかし、通学講座よりも終了までに時間がかかってしまうことが多いのがデメリットとして挙げられます。ほとんどの通信講座では、420時間以上の日本語教員養成講座を受講した証明になる「修了書」をもらえないというのも注意しておきたいポイントです。
日本語教師の通学講座で勉強する
日本語教師の通学講座で勉強するメリットは、講師から生の指導やアドバイスをもらえるという点です。その場でわからないことを解決できるのは、他の勉強方法にはないメリットといえるでしょう。さらに、通学講座であれば「420時間以上の日本語教員養成講座」を受講したと見なされるため、就職に有利に働きます。そもそもこの条件を応募要項に挙げている会社も多いので、単純に就職の選択肢を広げることになるでしょう。
通学講座で勉強するデメリットは、その費用と通学頻度が挙げられます。受講料として約50万円が必要になり、1週間に1度通学する必要があります。最短3ヶ月ほどで受講修了することもできますが、修了までの期間が短くなるにつれ通学の頻度は上がります。
日本語教師の勉強のポイント・おすすめの勉強法は?
それでは、具体的に日本語教師になるためにどのような勉強法を行えば良いのでしょうか。
押さえておくべき勉強法・勉強のポイントについて解説します。
受験勉強はいつから始めるべきか?
日本語教師の勉強は、通信や通学講座のどちらであっても一般的に修了までに半年〜1年かかるものが多いようです。ただし講座の理解度や通学頻度によっては前後するので、資格試験ぎりぎりに間に合うように受講を修了させるスケジュールを組むのはあまりおすすめできません。
独学であっても、試験の半年〜1年前に勉強を始める方が多いようです。ただし、毎日コンスタントに勉強できることを前提にしているので、それが難しい方はもっと前から勉強を始める必要があります。
日本語教育能力検定試験の場合、毎年10月に試験は行われるので、前年の10月〜4月の間に勉強を開始すると良いでしょう。
試験内容の何をポイントに勉強すべきか?
試験は主に選択問題なので、用語を一言一句正しく覚えるというよりは要点を押さえておくのがポイントです。また、応用問題もほとんどないので用語の意味を間違って覚えていなければ解けるでしょう。
また記述の小論文においては、「結論→反論→主張の根拠→結論」という型を守るのがポイント。もちろん日本語を正しく使えているか、改行や字数のルールを守れているかも重要です。400字以内、と指定されている場合は8割以上の320字以上は書くようにしましょう。
苦手科目の克服方法は?
苦手科目として多く声が上がるのが、聴解問題です。この科目の克服方法は、ずばり「慣れ」です。より多くの過去問などを解いて、聞き取れるように耳を慣らしておくのがおすすめです。
また、問題文が始まる前の“例”が読まれている間に集中力を高めるようにするのもおすすめ。短時間で気持ちをリセットして集中力を高める練習をしておきましょう。
過去問のひたすら解くのは有効!?
応用問題がほとんどない日本語教師の資格試験において、過去問を何度も繰り返し解くことは有効です。問題の傾向や自分のミスしやすい部分などが浮き彫りになるので、対策を講じやすいという面でもおすすめです。
ただし、日本語教育での実践的な部分や法整備などの年度によって回答が変わる分野は過去問を解いても有効にはなりません。むしろいらない知識が頭に入ってしまうので、解かないようにしておきましょう。
まとめ
日本語教師になるための方法は、大学で日本語を主専攻とするか、資格試験の受験や日本語教員養成講座の受講があります。また、資格取得には独学・通信・通学の3つの方法がありますが、講師に添削やアドバイスをもらえる通信や通学講座は自分の理解度を深めるためにもおすすめです。
今回ご紹介した勉強法や押さえるべきポイントを参考にして、日本語教師になるべく勉強に励みましょう。