目次
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  1. 1. 「社長さんおかしいよ!」バイト先での悲しいトラブル
  2. 2. コンビニの仕事は勉強になりマス
  3. 3. 好きな漢字は「夢」と「未来」

ミャンマーで大学を卒業後、日本語を学ぶために来日したキンさん。

アルバイト先で、毎日予想以上の「面白いこと」と「悲しいこと」に出会いながら、専門学校に進学するための準備をしています。キンさんの最終的な夢は、ミャンマーで日本語通訳の会社を作ること。ただ今、ビッグドリームに前進中!

 

<インタビューに答えてくれた人>

OHIN MAR KHIN(オン・マー・キン)さん

26歳 ミャンマー出身 2018年4月に来日。

「社長さんおかしいよ!」バイト先での悲しいトラブル

他にも日本に来て、悔しかったことはありますか。

2ヶ月だけ、レストランで働いていた時、とってもひどい社長さんと会いました!(笑)。

夜10時を過ぎると、みんな時給が250円多くもらえるのに、わたしだけプラスしてもらえず、交通費ももらえると思っていたのに、「面接の時に、あなたが何も言わなかったから、払いません」と社長さんに言われて驚きました。

日本でそんなことはありますか? わたしは、日本ではどんな仕事でも交通費払うと知っています。

だから、「交通費は月に1万円かかっています。もらえないならやめます」と言うと、「では半分だけ払います。来月取りに来てください」と。

わたしは交通費もないのにまた来るの! 来るだけで電車賃がかかるのに、「ひどいよ、社長さんおかしいよ」と言いました。

わたし、気持ちが短くなりました。

同じ日本人として悲しいです……。結局、交通費はもらえたのかな?

翌月の月末に、仕方がないから行きました。そしたらお店の窓を閉めていて、びっくりしました。お店で働いている友達のミャンマー人男性に頼んで、社長さんを呼んでもらい、なんとかお金をもらって帰りました。あんなに悪い人、日本ではめったに会いません。

 

コンビニの仕事は勉強になりマス

 

今はどんなアルバイトを?

今は、午後1時から6時までコンビニで店員さんのアルバイトをしています。品物の名前を覚えることが、日本語の勉強になって楽しいです! わたしのお店では、タバコも売っています。最近は、タバコの名前もたくさん覚えました。

それから、わたしは甘い食べ物が好きなので、お店でよく買います。日本のお菓子はとても美味しいです。一番好きなのは、生チーズケーキ。あと豆が入っている抹茶味のチョコレートも好きデス。コンビニにはいろんなお客さんがいます。優しい人もいます。困ったお客さんも、います。

どんな困った人がいますか?

レジにお金を入れた時に、不足金額が出て「お金が足りないです」と言っても、「今ちゃんと渡しましたよ」と言われることがあります。レジは自動ですから、間違えません。

あとは一円玉や五円玉だけで買い物をする人もいて、本当は7円足りないのに、わたしが数字を見間違えて、「5円足りません」と言ってしまった。すぐ気づいて、「お客様、やっぱり7円足りないです」と言い直すと、「今5円って言ったじゃない、なんで増えるの!」ってすごく怒られました。

わたしは何回も何回も謝りましたが、マネージャーは「それは仕方ないですよ。その前に、焦らないで『お客様にちゃんと数えるので待ってください』と言わないとね」って。マネージャーは、わたしたちに優しいです。でも、お客さんは優しい人と優しくない人がいます。

お金が足りないのに、お客さんが応じてくれない時は?

少しのお金なら、自分のお金を入れることもありました。本当は入れなくてもいいんです。でも、マネージャーに心配をかけたくないから、誰にも言わないで入れることがありました。

それはツライです……。

今は、そうならないように、お客さんの目の前で、お金をちゃんと数えてからレジに入れるようになりました。

そうすれば足りなかったら、機械に入れる前に、いくら足りないのでお願いします、と言えますから。コンビニで働く前は、会社のビルの中を掃除する仕事をしていたのですが、自分のペースでできるので気持ちが自由でした。コンビニやレストランは、あまり自由ではありません(笑)。

ニッポンは面白いことも、楽しいことも、悲しいこともいっぱいあります。

それは、全部わたしのためになる。いろんなことがあったけど、こういうふうにできた(乗り越えられた)、と思うと自信になります。

 

好きな漢字は「夢」と「未来」

キンさんの最終的な将来の夢は?

将来の夢は、ミャンマーで日本語の通訳の会社をやることです。

おお、社長ですね。

はい。社長なら、自分の気持ちだけ。わたしは自由が欲しいです。他の仕事やると、他の人の気持ちを守らないといけません。社長なら自分の気持ちで自分のルールを作れる。だから、社長になれるように、まず10年くらい日本で就職し、貯金をしてからミャンマーに帰るつもりです。そのために、今は国際ビジネス情報ビジネスの専門学校の受験勉強をしています。

ミャンマーが恋しくなることはありませんか?

今は勉強しなくてはいけません。ビザも取れるかわからないですから、安心ができません。安心できたら、帰ることを考えます。

日本では、観光はしましたか?

ディズニーランドやお台場に行きました。お台場ではガンダムが面白かったです。写真もいっぱい撮って、丸い大きな乗り物に(観覧車)も乗りました。高いところから見る東京の景色は、町も海もとてもきれいで感動しました。

それから、今度のお休みは、日帰りで箱根に行くつもりです。でも温泉には入れません。ハズカシイですから。わたし、お風呂は家でしか入りません。

え! じゃ箱根になにをしに?

神社を見に行きたいです。あと船にも乗りたいです。

それはデートかな?

ちがいマス(笑)。ミャンマー人のボーイフレンドがいますが、彼は今、大阪ですから、携帯電話で話すだけです。

会わないんですか!?

彼に会うためではなくて、わたしはの自分の未来のために日本に来ました。だから、日本に来てからは一回しか会ってません。

今は、日本語を勉強して日本のことをいっぱい知りたい。あとはたくさんのことを経験したい。彼もがんばって、私もがんばって、国に帰ったら結婚するつもりです。

最後に、好きな漢字はありますか。

漢字は好きです。たくさんあって難しいですが、「夢」と「未来」は好きな漢字です。いつも心の中に、あります。

キンさんの未来の夢を、応援しています。

 


インタビュー : さくらいよしえ  / イラスト : 溝口イタル