いままでの学習方法には限界がある
過去の学生時代、また現在学生の方は、毎日勉強は楽しく、社会活動に対して有意義になった思い出はありますか?ひたすら成績アップのための辛い日々だった、という方も多いのではないでしょうか?
これは“科目進行型学習”=サブジェクトベースドラーニング(略してSBLといいます)という学習スタイルで、基礎からカリキュラムやテキストの通り順を追って主に暗記を個人の努力で行う、というものです。
これが良い・悪いということではなく、そこで頑張って得た知識と社会に出てからの職場で起きることを結びつけて応用することが難しい問題点があります。
例えば三角関数を数学の授業で学んだことがあると思います。公式を暗記し、問題集を解いて、試験で良い成績を取っても進学に役に立つ以外、数学そのものを生活で使う場はないでしょう。これでは「勉強しても意味がないのでは?」と思ってしまいます。
ところが、建築の設計、ゲームの開発など社会に出ると、三角関数など数学が多く使われています。
さらに当たり前ですが、すでに答えが決まっている学校の教科書や試験の通りの問題が社会で出てくる訳ではありません。与えられた業務を学校で学んだことを応用して自分で問題解決しなくてはなりません。学校ではそんなことは学ぶ機会もないので、成績が良くても企業では壁にぶつかり悩む人が多くいるのです。
社会の現場で起きていることを学ぶプロジェクトベースドラーニング
”問題解決型学習“=プロジェククトベースドラーニング(以下、PBL)は、先ほどのSBLでは現場で起きていることに対応が難しいと考え、主に医療分野で考案されました。
例えば、医療の学校ではどんな治療法や薬があるのか、どんな効果があるのか?を暗記して覚えていきます。
しかし現実では体調に異常を訴える患者さんがいて、その方へ治療法が効果的なのは様々なケースがあり、教科書通りにはいきません。
そこで、治療をどのようにすべきかを仮説をし、対策を講じたり、チームで相談したりして解決していく、という“能動的”な方法で学ぶことが有効である、これがPBLと呼ばれます。
医療の話をしましたが、これはすべての分野で応用できる教育方法です。
PBLは文部科学省が推奨する「アクティブラーニング」と呼ばれる教育方法の1つです。以下がその公式の文章です。これは小中高校での内容ですが社会人の方が役に立つことは察しがつくと思います。
出典:「学校基本調査」(文部科学省) (http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/__icsFiles/afieldfile/2017/09/28/1396716_1.pdf)(2019年8月16日に利用)
プロジェククトベースドラーニングとはどんな学習方法
PBLは簡単に説明すれば、以下のような内容です。
① 講師から与えられた課題から自由に選んでテーマを決める。
② チームを組み、テーマの問題をどうやって解決するか議論して考える
③ 解決のためにその分野の知識を学習する
④ 問題を解決すべき作業を行い、経緯と結果をプレゼンテーションする
ここで①の課題が社会や現場で起きていることであれば、そのまま仕事につながるということが分かります。よって就職にはとても有利で現場に出ても即戦力になる可能性も高いことが判ると思います。
また、この課題に決まった正解はなく、問題が解決すればどういうプロセスを踏んでも構わないのです。大切なのは会社と同じでチームを組んで議論しながら学ぶ、という点です。
いままでのSBLのスクールは以下の流れです。
① カリキュラム通り学校に通って先生の話を聞く
② 試験を受ける
③ 合格したら終了
これで就職した場合では現場の知識がほとんど得られません。これではなかなか大変であることも判ると思います。
既に大学では三重大学、湘南工科大学、多摩美術大学、小樽商科大学などで取り入れられていますが、社会人スクールでこれを採用しているところは少数です。
ITエンジニアになるためのプロジェククトベースドラーニング
では、PBLでITエンジニアになるにはどうすればいいでしょうか?
① プログラミングの基礎的な知識を学習します。これは従来通りのSBLで問題ありません。ただし、自分のスキルとライフスタイルに合わせたペースである方が挫折がないので、Eラーニングをお勧めします。
PBLは社会に出るには有効な学習法ですが、基本的な知識が無ければチームに参加できないので必須になります。
なので、自分がPBLに参加できるスキルになったかどうかを試す試験の合格必要です。
② プロジェクトチームを組んでPBLを始めます。自分が使ったことがあるITのサービスを分析して作ってみる、という課題にします。例えばAMAZONでネットショッピング、Instagramで写真をアップした、スマートフォンでゲームで遊んでいた、などです。現実に使ったことがないものは、作ることができません。食べたことが無い料理を作れる料理人はいないのと同じです。この課題は教科書にもネット検索しても答えはありません。チームで議論をし、ここまで学習してきたプログラミング知識を駆使して取り組みます。作業中にプログラムのエラーのトラブルやチームメンバーでの意見の相違もあります。それを乗り越えた後、社会でも通用するスキルになるのです。
③ プロジェクトが完成したら、開発の最初から最後までの経緯をプレゼンテーションできる資料を作り、発表します。他チームがどうやったかや、講師からの意見などを受け、自分たちのプロジェクトの完成度を自分たちで理解します。点数でランキングされる授業ではないことが得られます。この資料はそのまま就職活動で使えます。
いかがでしょう。ITエンジニアとして就職・転職を目指してみませんか?