BRIDAL
COLUMN#23

ウェディングプランナー仕事研究④~施行プランナーのやり甲斐とは~(後編)

皆さん、いつもコラムをお読みいただき、ありがとうございます。
前回のコラムでは、施行プランナーの業務内容や結婚式までの打ち合わせスケジュールなどについてお話しました。今回のコラムでは、施行プランナーのやり甲斐について、私の経験をもとにお話していきたいと思います。

17年前、私自身は、結婚式のプロデュースがやりたくて、ウェディングプランナーを志望していました。その当時は、新規や施行という言葉も知りませんし、『ウェディングプランナー=結婚式をプロデュースする人』のイメージでした。完全に当時のテレビドラマの影響ですね。
お客様と打ち合わせをしながら一生に一度の結婚式を一緒に創り上げ、当日はそれが『結婚式』という初めて目に見える形になることに、大変感動しました。

そして当日には、プランナーを含め、司会者やヘアメイクスタッフ、サービススタッフという何十名ものスタッフが1組のお客様やゲストのためだけに動くということ。それは、今までに感じたことのない究極のホスピタリティ精神であり、そんなサービスを提供できる一員になりたいと心から思いました。

さて、そんな大きな夢と希望を持ってブライダル業界に足を踏み入れた私。いざ入ってからのギャップはなかったのかと、疑問に思いませんか?

それがあったんです、ギャップではなく、想像以上のやり甲斐が。正直なところ、ギャップというものは私はあまり感じたことがありません。仕事は精神的にも体力的にも厳しかったですし、当時は先輩も良い意味でちゃんと叱ってくれるので恐かったですが、全てお客様の結婚式のためだと思うと、わりとすんなり受け入れられましたね。なにせ、お客様にとっては一生に一度ですから。やり甲斐という面に関しては、私が思っていた以上に感じられる仕事だとわかりました。それは、ブライダルだけではなく、どんな仕事でも経験してみて初めて気付けることは多いですよね。

入社後からは、先輩のアシスタントプランナーとして施行の現場を幾度となく経験してきました。いよいよ、先輩が新規接客で契約したお客様を引き継ぐことになった私。念願叶って結婚式のプロデュースを初めて任せていただくことになりました。
私は初めてのプロデュースでしたので、もしかしたら説明が不足していた点もあったかもしれません。ただ、担当になったお客様とは同年代ということもあり、何でも気軽に話していただけて、和気あいあいとした雰囲気の中で打ち合わせを進めることができました。まるで大切な親友の結婚式を担当しているかのような気持ちでした。

そしていよいよご結婚式当日。
プランナーアシスタントとしては何度も結婚式に立ち会ってきましたが、自分の担当のお客様となると視点や感じ方が変わるものです。メインプランナーとして慣れない初施行ではありましたが、ゲスト皆さまの温かい拍手に包まれる中、お二人のご結婚式は無事にお披楽喜となりました。初めてのご結婚式が滞りなく進行しお二人のほっとした笑顔を拝見した私は、心から安堵!お二人のお見送りの際は、もう打ち合わせでお会いできない寂しさと無事に結婚式を迎えられた嬉しさが相まって、感極まってしまいました。

そんな時、「山本さんには本当にお世話になって・・・山本さんが担当で良かったです。」と、ご新婦様から涙ながらにお手紙とお揃いのブレスレットをいただきました。その時のご新婦様とは、式後も交流があり、プライベートで遊びに行かせてもらったり、毎年の年賀状も欠かさずにやり取りをしています。

この時のお手紙やブレスレットは、私のプランナー人生のスタートとなりました。その後の施行でも、数えきれない程のありがたいお手紙をお客様からいただき、今でも、全て大切に保管してあります。落ち込んだ時、悩んだ時、大切なお客様からのお手紙を読み返すことで、無くなりかけていた自信や結婚式への想い、何よりもこの仕事を志した初心を改めて思い出させてくれるのです。

施行プランナーは、お客様の人生の節目である『結婚式』を担当し、決して失敗は許されないという大きなプレッシャーや責任があります。ただ、それを上回る程のやり甲斐がある仕事でもあります。それは、結婚式当日を迎えると実感できるものなのです。

新郎新婦だけでなく、ゲストの方も含めたお客様の笑顔が常に周りに溢れている幸せな現場・・・そんな仕事は、他にあるでしょうか?
生まれてから今日までの、その人の生い立ちや、支えてくれた様々な方たちとのエピソードを同士のように振り返り、時に一緒に泣きながら時に笑いながら、一つのものを創り上げていける仕事・・・そんな仕事は、他にあるでしょうか?

結婚式はゴールではありません。新たな家族のスタートラインであり、新たな人生のスタートラインでもあるのです。

ウェディングプランナーとは『感動と幸せに一番近い仕事』。私はプランナーになって15年経った今でも、この仕事に誇りを持ちながら続けられることを心から幸せに思っています。

次回は『ウェディングプランナーのその先へ』についてお話しします。どうぞお楽しみに。


PROFILE
山本 優貴Yuki Yamamoto 山本 優貴

ゲストハウスやプロデュース会社のウエディングプランナー及び責任者、その後に婚礼システム会社での法人営業を経てフリーランスに転身。
現在は、ブライダル系専門学校での講師やセミナー講師、また式場にて経営管理サポートや自身もフリープランナーとして大好きな結婚式に携わっている。
仕事をする中で、2度の産休・育休を経験し、「ママでも諦めない!」をモットーに、大好きなブライダルの仕事と子育てを上手く両立できるよう、業界内の働き方の多様性を目指し、日々奮闘中!

2014年度 BIA主催ザ マスターオブブライダルコーディネーターコンテストにおいて見事グランプリ獲得。

※全国のブライダル業界に従事する方々から、知識・経験・品格を兼ね備えたコーディネーターを選出するコンテスト