BRIDAL
COLUMN#13

ウェディングプランナーの必須スキル~その③「説得力」とは

今回は、説得力についてお話をしたいと思います。
さて、皆さん、「説得力」と聞いて、どのような印象を持たれるでしょうか?
もしかしたら、有無を言わさずに説得された、というようにあまり良くないイメージを抱かれる場合が多いかもしれませんね。
「説得力」という言葉を辞書で調べてみると、

せっとく‐りょく【説得力】会話や文章などで、相手を納得させたり受け入れさせたりする力。「―のある話し方」
(引用:「説得力」-goo辞書)

こんな風に載っています。
では、そもそも、ウェディングプランナーに「説得力」は必要なのかどうかですが・・・答えは、Yes!です。

以前までのコラムで、ウェディングプランナーの必須スキル①②を掲載しました。
それにプラスして、確実に必要だと思うものが『説得力』だと感じています。
これは、私の経験から導き出された答えでもあります。『傾聴力』と『提案力』のスキルが高くても、肝心な『説得力』がなければ、ラストの一押しが出来ないのです。それが出来ないということはどういうことか?
ウェディングプランナーの重要任務である新規接客において、お客様を【成約(契約)】に結び付けることが出来ないということです。これを少し深掘りしてみましょうか。

お客様にご成約いただけなかったということは、①お客様に『この会場しかない!』と思っていただけなかった、あるいは、お客様に『このプランナーさんにお願いしたい!』と思っていただけなかったという、とてもシンプルなことです。さて、それがどのようなことに繋がっていくのかというと、せっかく時間もお金もかけて接客したのに、最終的には成約できず、会社の売上に貢献できなかった、という事実です。

私たちの仕事は、お客様の素敵な結婚式をプロデュースすることは勿論です。それよりも、その前段階として、ここで結婚式をしたらこんな幸せがあるんですよ、とお客様に希望を見せて差し上げること、それこそが、結婚式のファーストステップなんです。
今はまだ想像することが難しいかもしれませんが、プランナーの一言で、結婚式をする、しないが変わってくることも実際にあります。お客様の将来を変えてしまうこともある。新規接客は、それほど重要で大切な仕事だと私は常に肝に銘じながら、接客に臨んでいます。

お客様もHAPPYに、接客するプランナーもHAPPYに。

『嫌味のないもう一押し』が出来る人と出来ない人の決定的な差。まずは簡単に改善出来る基本の3つを、皆さんにお伝えしようと思います。

  1. 「メリット」「デメリット」を正直に伝える
    どこの結婚式場でも、自信を持って売れるもの、そうでないものがあります。もちろん、全てに自信を持って売れる会場であれば、何も言うことなしですが、多かれ少なかれ、そういった不安材料がある会場が多いものです。
    メリット(プラス要因)ばかり伝えたくなる気持ちはわかりますが、その裏にあるデメリット(マイナス要因)もしっかりと伝えて差し上げる。そうすると、お客様からは、そんなマイナスのこともあえて伝えてくれる人なんだ、と思ってもらえて信頼を勝ち取ることが出来ますよ。「あ、この人なら信用して良いんだ!」っていう風に、その一言で、グッと信頼感がUPしますよ。
  2. 曖昧な言葉は使わない
    お客様に対して、「~だと思います。」は絶対にNG!「思います」ということは、自分の言葉への自信の無さの表れ。プロは、ちゃんと自分が発する言葉に責任を持つこと。「こちらのドレスがお似合いになると思います。」より、「こちらのドレスがお似合いになります。」のように言い切りの形にすることで、お客様へも安心感を持っていただくことができるんです。
  3. お客様の想いを受け止めた上で自分の想いを伝える
    ウェディングプランナーの中にも、自分のことをたくさん話す人もいますが、実は、契約率の良いセールスマンほど、自分のことは話さず、相手に話させると言われています。
    例えば、お洋服を買いに行くと、店員さんに声を掛けられますよね。すぐ声を掛ける店員さんに限って、お客様の様子も観察せずに、「このトップス、昨日再入荷したばかりなんですよー。今大人気です。」と、自分のところの情報だけを一方的に話し始めます。そんな人、出会ったことはありませんか?ちなみに、私は「人」からものを買うので、そんな店員さんからは、一切ものを買いません。

逆に、「良かったら色々ご覧になってくださいね。・・・(私の目線がどこにあるのかを確認しながら)今日は何かお探しなんですか?」と私が求めているものをまず確認してくださる店員さんからは、予定になかったものをつい買ってしまったりもします。そして、その店員さんに接客されるのが心地よいので、その後もずっとリピーターとしてその「人」から買い続けるということもあります。実際に、私はそういう素敵な販売員さんと出会ったことがあります。

お客様の求めているものが何かもわからないのに、ベラベラと自分都合で喋り続けているほど、迷惑な販売員はいません。ウェディングプランナーも、全く同様です。お客様の話を聴いて聴いて聴いて、お客様の想いを受け止めたところでようやく『売り』を伝える。これが契約率の良いセールスマンの技術です。

『お客様に対して真摯に』これは、私の接客のポリシーでもあります。あまりにも感情が入りすぎて、接客でお互いに涙しながら、お話をすることなんかもありました。
もしも、自分がお客様の立場だったら、どう感じるか。お客様の気持ちは、お客様ご本人でなければわかりません。ですが、お気持ちを察することはできますよね。どうか、皆さんも、お客様の気持ちに寄り添って差し上げてください。ウェディングプランナーは、お二人の気持ちの代弁者であってくださいね。

さて、今回お話をしてきました、先ほどの3つのこと。ぜひこれを念頭に置いて、日々の生活を送ってみてはいかがでしょうか?ウェディングプランナーでなかったとしても、プライベートにおける人間関係でも十分に役立つスキルです。
人間関係が円滑になると、自分が思っている以上に上手く回ることが多くなりますよ。上記の①~③のことを実践する際には、もちろん、話し方や態度が相手に対して失礼のないことが大前提。それは忘れずに!
プライベートで心が充実してこそウェディングのお仕事も円滑に進みます。

さあ、日々の心の満足度10を目指して!
1つからでも良いんです。まずは、出来ることから実践する。その一歩を踏み出せる人はきっと強くなりますよ。
お客様をHAPPYに、自分もHAPPYになれる魔法。それが『説得力』のパワーです。

次回のコラムでは、『【現役ウェディングプランナーインタビューvol.1】異業界からブライダル業界へキャリアチェンジ!』をお話しします。お楽しみに。


PROFILE
山本 優貴Yuki Yamamoto 山本 優貴

ゲストハウスやプロデュース会社のウエディングプランナー及び責任者、その後に婚礼システム会社での法人営業を経てフリーランスに転身。
現在は、ブライダル系専門学校での講師やセミナー講師、また式場にて経営管理サポートや自身もフリープランナーとして大好きな結婚式に携わっている。
仕事をする中で、2度の産休・育休を経験し、「ママでも諦めない!」をモットーに、大好きなブライダルの仕事と子育てを上手く両立できるよう、業界内の働き方の多様性を目指し、日々奮闘中!

2014年度 BIA主催ザ マスターオブブライダルコーディネーターコンテストにおいて見事グランプリ獲得。

※全国のブライダル業界に従事する方々から、知識・経験・品格を兼ね備えたコーディネーターを選出するコンテスト