BRIDAL
COLUMN#7

結婚式に欠かせないプロフェッショナルとは~司会者編~

結婚式を挙げるならば、自分たちのイメージ通りの1日にしたいですよね。小さい頃からの憧れや、周りの方への感謝の想い、こんな結婚式にしたいという強い期待などがたくさん詰まった魔法にかかったような素敵な1日。こんな日は、もう後にも先にもありません。

お二人の思い描いていた通り、いやそれ以上の満足度の高い結婚式を作るためには、実はお二人の力だけでは叶いません。それには、ウェディングのプロの力が必要です。ウェディングプランナー以外にも、結婚式には様々なジャンルにおけるプロフェッショナルが関わっていることを、皆さんはご存知でしょうか?
今回は、結婚式の要でもある【司会者】にスポットを当ててみました。現場のリアルなお話をインタビュー形式で聞いてみたいと思います。

山本
まず初めに、結婚式の司会者になろうと思ったキッカケは何ですか?
司会者
身近に司会をされている方がいて。知的で気さくでエレガント、私にとって憧れの女性で…気が付いたら(笑)同じ仕事を目指していました。
山本
実際に、今までで一番印象に残っているお客様のことを教えていただけますか?
司会者
素敵なご縁に恵まれて、どなたも印象深いお客様ばかりなのですが、私自身の『大きな学び』となった件に触れたい思います。
司会者になって3年経った頃、ある新郎新婦との打合せの際、私が申し上げた『今まで大変でしたよね、わかります。』の一言が、後に問題となったのです。
実は、様々なご事情がおありの新郎新婦で、不安な気持ちを抱えたまま打合せにいらした。お二人の事情は事前に担当プランナーから聞いていましたので、打合せ始まって早々に『大変でしたよね、わかります。』と、私は言葉にしてしまったのです。
お二人にとっては『初対面なのに、何がわかるのでしょうか?軽く考えないで欲しい。』というお気持ちですよね。
その日のうちに担当プランナーから連絡があり、私から、直ちに謝罪のお手紙をお送りしました。
手紙が届くと、大変ありがたいことにお二人も連絡を下さいまして、ご自宅近くのカフェで直接お会いすることが出来たのです。カフェでは何時間も話し込みまして…『私たちの全てを知って欲しい』という、お二人の切実な願いがあったのですね。
このことがあって以来、常に、『寄り添うことの意味』を考えながら、司会に携わっています。
山本
そんなことがあったんですね。私たちプランナーもそうですが、常に言葉の重みを考えながらお話をするところは同じですね。では、次に、結婚式の打ち合わせを行う上で気をつけていることはありますか?
司会者
信頼を大切に!理解した『つもり』にならない。お二人がリラックスして話せるよう、落ち着いた温かな声、ゆったりとした速度で、お二人の呼吸に合わせた打合せを心がけています。また、目には見えない問題を抱えている方もいます。信頼いただくことで『実は…』と話して下さる方もいらっしゃる。そこに到達できるよう、ベストを尽くしています。(打合せこそ真剣勝負です。)
山本
本当にそうですよね。私たちプランナーも同じで、満足度の高い結婚式を創りあげるためには、打合せ段階が重要です。打合せの出だしで躓いてしまうと、結婚式当日に響くようなこともありますからね。ちなみに、結婚式当日にあった忘れられないハプニングがあれば教えていただけますか?
司会者
こちらも色々ありますが…素敵なハプニング(サプライズ)の仕掛け人に加わった件を。
仕事仲間の結婚式。当初、お二人は結婚式をしない予定だったのですが、新婦には内緒で、新郎の指揮のもと結婚式を準備することに。
そして結婚式当日…何も知らない新婦には『記念写真撮影だけ』という名目で、ウェディングドレス姿になっていただき、撮影場所のチャペルへ。チャペルの扉が開くと、そこには、お二人をよく知る、大勢の仲間達の姿が!!そのまま人前結婚式を執り行い、新郎からは指輪が贈られて…新婦は大号泣されていました。それは大変美しいお姿で、鮮明に覚えています。
山本
素敵ですね!お2人とゲストの方々の気持ちがこもった挙式&パーティは、空気感が違いますよね。当日、陰でサポートしている私たちにも、そういった温かな温度感は伝わってきます。1つ気になるのが、打合せ段階や結婚式当日までで、プランナーとの連携で大事にされていることはありますか?また、司会者の役割とは、ズバリ何でしょうか?
司会者
情報の共有を常に心がけています。気づいたこと、新郎新婦から新たに届いた情報は、即座にプランナーに伝えるようにしています。
そして、司会者とはズバリ、お二人&担当プランナーの想いを形にする『職人』だと私は考えています。
司会の声色一つ、表情一つで、会場の雰囲気は変化します。お二人&担当プランナーに『理想通りの一日だった』と言っていただけることが司会者の喜びです。
山本
本当に仰る通り!だから、私は、『司会者で挙式・パーティの雰囲気が全く変わりますよ』とお客様には打合せで必ずお伝えします。それほど、重要なんですよね。
私は、今まで一緒に担当させていただいたご結婚式で、印象に残っていることがあります。それは、ご披露宴中に新郎様の親御様から、『今日の司会者は何て言う人?すごく良い司会だね!』というお言葉をいただいて、自分のことではないのに、とても嬉しくなったことを今でも鮮明に覚えています!では、これがラストの質問です。司会者に必要な要素が3つあるとしたら、何でしょうか?
司会者
①人が好き→コミュニケーション能力は必須ですし、相手を尊重し、相手に学ぼうとする意欲も必要ではないでしょうか。
②謙虚さと素直さ→慣れは禁物。いつでも『結婚式が大好き!』という純粋な心でありたいです。
③感謝の気持ちを常に持つ→家族、友人、自分の周りの人を大切に。その優しさが司会に反映されます。

今回は、私が最も信頼する司会者の1人でもあるKさんに、インタビューのご協力をいただきました。Kさんは、司会歴15年以上、ホテルウェディングからレストランウェディングまで幅広く対応でき、お客様からの信頼も大変厚い、ベテラン司会者さんです。
私が、ウェディングプランナーになって初めて結婚式の担当を持った時代からのお付き合いになりますので、もう10数年以上お世話になっている方でもあります。エレガントな立ち居振る舞いと気さくな話し方、良い意味で【THE 司会者】のような感じではないのです。その笑顔に、今まで私自身もどれほど救われたかわかりません。
有難いことに、同学年の子供を持つ親としてもプライベートでも親交があります。今回は、私が尊敬する司会者であるKさんに、インタビューのご協力をいただきましたこと、心より感謝申し上げます。これからも、お客様に寄り添い、心温まる結婚式をつくってくださることでしょう。またお仕事でご一緒できる日を楽しみにしています!

次回は『結婚式当日の朝~プランナーのきもち~』についてお話しします。お楽しみに。


PROFILE
山本 優貴Yuki Yamamoto 山本 優貴

ゲストハウスやプロデュース会社のウエディングプランナー及び責任者、その後に婚礼システム会社での法人営業を経てフリーランスに転身。
現在は、ブライダル系専門学校での講師やセミナー講師、また式場にて経営管理サポートや自身もフリープランナーとして大好きな結婚式に携わっている。
仕事をする中で、2度の産休・育休を経験し、「ママでも諦めない!」をモットーに、大好きなブライダルの仕事と子育てを上手く両立できるよう、業界内の働き方の多様性を目指し、日々奮闘中!

2014年度 BIA主催ザ マスターオブブライダルコーディネーターコンテストにおいて見事グランプリ獲得。

※全国のブライダル業界に従事する方々から、知識・経験・品格を兼ね備えたコーディネーターを選出するコンテスト