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COLUMN#5

ウエディングプランナーの必須スキルその①「傾聴力」とは

皆さんご存知の通り、ビジネスの世界では、コミュニケーションスキルが欠かせません。
コミュニケーションというと、言葉を発して伝えるということに注目されがちですが、今回は私がそれと同様に必要だと考える『傾聴力』について、お話していきたいと思います。

そもそも「傾聴」とはどのような意味でしょうか?
「傾聴」という言葉を辞書で引くと、「耳を傾けて熱心に話を聞くこと」とあり、もともとはカウンセリングにおける技法として使われていました。
相手の気持ちに寄り添って、注意深く共感的に、耳と目と心を使って「聴く」ことを意味します。

特に、ウエディングプランナーという職業においては、いかにしてお客様に心を開いてもらい、本音を引き出せるかという点が重要になってきます。それは、新規接客でも、プランニングの段階でも同様です。
お客様の表情や態度、またちょっとした仕草からもお気持ちやお考えを察知し、お客様の言葉の背景にある想いを読み取ります。
これは、「言葉にならない(しない)想いを読み取る」ことを意味します。

それが出来て初めて、そのお客様に合ったご提案ができる訳です。逆を言えば、それが出来ないと、お客様に合ったご提案が出来ず、どのお客様に対しても、代わり映えのないご提案となることでしょう。
また、1組のお客様の立場にフォーカスして見てみるとどうでしょうか。何度か打ち合わせをしていても、ウエディングプランナーは何も提案してくれず、ただ自分たちがお願いしたものを確認・手配してくれるだけ。言ったことはやってくれるけど、その先々までのことはしてくれない・・・という状態です。
他のウエディングプランナーと比較したこともないので、こんなものなのだろうかと思っていたところ、他の会場で結婚式を挙げた友人はこう話します。
「プランナーさんが色々提案してくれて、本当に良かったよ!自分たちじゃ気付かないところまでアドバイスをくれたから、安心して当日を迎えられたよ。●●さんにお願いして本当に良かった!」

もう、ここからはご想像の通りです。
結婚式のお打ち合わせをしていく度に、前述のお客様のテンションは下がり、ウエディングプランナーに対する不信感は募っていく一方です。
結果として、打ち合わせ段階におけるこのお客様の満足度は下がるところまで下がります。それが【担当変更】や【会場変更】という最悪な結論に達してしまうことも考えられます。
このウエディングプランナーは、お客様に対し、なぜ一歩先行くご提案が出来なかったのでしょうか?それは、『お客様に興味を持つ』ことをしなかったからです。

お客様の満足度を上げるために、私たちウエディングプランナーが実践出来ることがいくつもあります。
その中の一つとして、まず先にお伝えした『傾聴力』というスキルを身につけることをお勧めしています。ここからは、その方法について3つのポイントに絞って具体的にお話をしていこうと思います。

<興味、関心> お客様に対して、興味・関心を持つことが傾聴スキルアップの第一歩です。例えば、目の前にいるのが自分の好きな人なら、聞いてみたいことや知りたいことって、次から次へと出てきますよね。それは、その人に興味があるからです。 まず、目の前にいるお客様を好きになるところからです。どんな話をしたら、どんな話を振ったら笑顔になってくれるかなと考えてみるのです。
私は、常に自分とご縁があったお客様のことを大切な『兄弟』や『親友』だと思って接しています。自分の大切な人の結婚式であれば、自然と色々な事を提案してあげたくなるでしょう?
お客様のことを知りたいと思う気持ちは、プランナーの態度や表情にも表れます。
自然に姿勢も前傾となることで、関心を持っていることがお客様にも伝わります。

<話すテンポ> 話すテンポをお客様と合わせます。例えば、早口でポンポンと会話が流れる新婦様をゆっくり口調のプランナーが応対していたら、お客様はイライラしてきます。
自分がお客様の立場だったらどうでしょうか?そんなことはありませんか。
基本的には、お客様のペースにプランナーが同調していくことで、その空間に一体感が生まれます。このプランナーさんとは波長が合いそうだなと感じていただけると、お客様にもリラックスした状態で話をしていただくことが出来ます。

<位置関係> 席に座る位置によっても、お客様に与える心理的印象が大きく変わってきます。実際に、お客様との打ち合わせは、対面の場合が多いのかもしれませんが、もし可能であれば試してみてください。
座り方には、【対面法】【90度法】【平衡法】と3種類ありますが、カウンセリングや交渉事には【90度法】をお勧めしています。
これはお客様に対し、90度横の角度で座る方法です。お客様が、緊張感や威圧感を感じにくく、リラックスした状態で話すことができるからです。

3つの方法をお伝えしましたが、『傾聴力』スキルをアップするには、自分の精神状態も大いに影響してきます。

以前、お客様と和やかに結婚式の打ち合わせをしていた時のこと。
『山本さん、B型でしょー!絶対そう。私たちと同じだよね!』と新郎新婦様。
『そう見えますか?そう見えても私、A型なのですよ。』と伝えても、なかなか信じていただけませんでした。(苦笑)
それくらいお客様とフィーリングが合うことは、しょっちゅうです。
稀ですが、なぜか色々なことがお客様と噛み合わなくて、結婚式当日にもご指摘をいただいてしまった過去もあります。まだまだ経験不足だった自分を猛省し、そのお客様のことは今でも自戒として忘れることはありません。

傾聴を意識しながら、日々の打ち合わせをしていると、いつのまにかお客様によって、しなやかに自分のタイプを変えられるようになってきますよ。
ウエディングプランナーは、自身が幸せであたたかな気持ちであるからこそ、お客様の気持ちに寄り添ったご提案が出来ます。
そのことを忘れずに、1組でも多くのカップルを、あなたがサポートする幸せな結婚式に導いて差し上げましょうね!

次回は『ウエディングプランナーの必須スキルその②「提案力」とは』についてお話しようと思います。お楽しみに。


PROFILE
山本 優貴Yuki Yamamoto 山本 優貴

ゲストハウスやプロデュース会社のウエディングプランナー及び責任者、その後に婚礼システム会社での法人営業を経てフリーランスに転身。
現在は、ブライダル系専門学校での講師やセミナー講師、また式場にて経営管理サポートや自身もフリープランナーとして大好きな結婚式に携わっている。
仕事をする中で、2度の産休・育休を経験し、「ママでも諦めない!」をモットーに、大好きなブライダルの仕事と子育てを上手く両立できるよう、業界内の働き方の多様性を目指し、日々奮闘中!

2014年度 BIA主催ザ マスターオブブライダルコーディネーターコンテストにおいて見事グランプリ獲得。

※全国のブライダル業界に従事する方々から、知識・経験・品格を兼ね備えたコーディネーターを選出するコンテスト