BRIDAL
COLUMN#4

会場決定におけるお客様心理とプランナー心理

今回は、会場決定におけるお客様心理とプランナー心理についてお話していきます。

あなたは、これから人生の中で何番目かに大きな買い物をしようとしています。
そう、結婚式です。よくよく考えてみると、こんなに高額な買い物って、車とか家とか、一生のうちにそう何度もあるものではないですよね。
結婚式って、車みたいに買う前にお試しできる訳ではないし、かつ、手元に残る訳でもない。そう考えると、結婚式場を決めるのって、慎重にもなりますよね。今は、フリーのウエディングプランナーさんに依頼してから会場探しをされるお客様も、以前よりはだいぶ増えてきましたが、まだまだ会場選びから始められるお客様の方が多いのが現状です。

さて、ここに会場探しを始められた20代後半のカップルがいます。お互いの親への挨拶や両家の顔合わせも済んで、いざ結婚式場探しをスタート。2人の仕事の休みの日を利用して、ここ最近の休日は、全て結婚式場見学で埋まっています。
いくつかの会場を比較検討してから決定したいとは思っていたけれど、いつの間にかどこにも決められずに、もう5会場目。みんなこんなものなのかしら?でも、早く決めないと、希望の日取りは埋まっていく一方。

この会場は、雰囲気は良かったけれど、アクセスがいまいち・・・もう1つの会場は、雰囲気・アクセスも良し、ただ予算がなぁ・・・なんて考えていると、自分たちにとって、全てがベストな会場って本当に見つかるのかな。不安な気持ちがどんどん大きくなっていく。
貴重な休日を使って会場見学に行くのもだんだん疲れてきちゃった。会場が決まらないのは、私が細かいことにこだわり過ぎてるからかな。

これは、会場見学をされる新婦様の心の内です。
会場見学期間中には、彼と意見がぶつかり合ってイライラしたり、自分のこだわりをなかなか理解してもらえなくて悲しくなったりと、気分の上がり下がりがあったり、それが彼との関係性にも影響を及ぼす場合もあります。
この二人の場合にも、そんな山あり谷ありを乗り越えて、ようやく、ココ!という素敵な会場と巡り会うことができました。あれだけ迷っていた会場を、最終的になぜ決めることが出来たかというと、それはウエディングプランナーの一言がきっかけでした。

さて、そんなお二人を近くで見ていたウエディングプランナー。
なかなか会場を決められずにいらしたお二人の力になれることはないだろうか。初めてお会いした時に、お二人から色々なお話を聞きました。お二人の出会いのキッカケから、結婚に至るまでの道のり、そして小さい頃のエピソードやご家族との想い出、結婚式への想いや会場を決定する上でのこだわり・・・お二人のことをどれだけ聞かせていただいたでしょうか。
自分がウエディングプランナーとして所属している会場は、決して設備が整っている訳でも新しい訳でもない。でも、自分の会場でお客様を幸せにする結婚式を挙げてもらいたいという気持ちは、どこのプランナーにも負けないという自負があります。
目の前にいらっしゃるお客様をサポートしたい、悩んでいるなら一緒に解決策を考えて差し上げたい。何かお困りのことがあるのなら、少しでも不安や心配事を共有させてほしい。
ウエディングプランナーは、お二人が決断を迷う時には、背中をそっと押すこともあります。お二人のことを本当に心から想っているからこそ、NOとはっきりお伝えするときもあります。
私たちウエディングプランナーは、結婚式という大切な1日を作り上げることだけが役割ではありません。その日を迎えるまでのお客様の精神的サポートをしていくことも、良い結婚式を作り上げる大きな要素になってくるのです。

結婚式は、決して会場ありきではないと私は考えています。私は、10数年間、ウエディングプランナーとして新規接客にも携わってきました。仕事を続けていく中で、普段ならあり得ないミスを起こしてしまったり、お客様からお叱りのお言葉をいただいたりということもありました。私って、プランナーに向いてないのではないかなと。ただ、1つだけ自信を持って言えること、それは『会場の良さ』ではなく『私』で決めてもらいたいというプライドを持ってこの仕事をしてきました。
むしろ、極端な話、会場はどこでも良いとさえ思っています。大事なのは、あくまでもその中身や内容だと、お客様にもお伝えしています。外観はいくら新しくて今どきで、お洒落な会場だったとしても、それに中身が伴わなければ何の意味も価値もありません。
まだいろんな経験が浅くて見た目重視の20代カップルが選ぶ会場と、ある程度、社会人経験があって物事の本質を考え始めた30代カップルが選ぶ会場は、確実に変わってくる訳ですよね。
見た目重視の20代カップルや結婚式への意識が低いカップルに対して、結婚式の本質をどう効果的にお伝えし、ご共感いただけるか。私たちウエディングプランナーにとっては、考え続けていかなければならない永遠のテーマです。

次回は、『ウエディングプランナーの必須スキルその①「傾聴力」とは』についてお話しようと思います。お楽しみに。


PROFILE
山本 優貴Yuki Yamamoto 山本 優貴

ゲストハウスやプロデュース会社のウエディングプランナー及び責任者、その後に婚礼システム会社での法人営業を経てフリーランスに転身。
現在は、ブライダル系専門学校での講師やセミナー講師、また式場にて経営管理サポートや自身もフリープランナーとして大好きな結婚式に携わっている。
仕事をする中で、2度の産休・育休を経験し、「ママでも諦めない!」をモットーに、大好きなブライダルの仕事と子育てを上手く両立できるよう、業界内の働き方の多様性を目指し、日々奮闘中!

2014年度 BIA主催ザ マスターオブブライダルコーディネーターコンテストにおいて見事グランプリ獲得。

※全国のブライダル業界に従事する方々から、知識・経験・品格を兼ね備えたコーディネーターを選出するコンテスト