マインドフルネスは、ストレスの軽減や集中力の向上などの効果があるといわれており、ビジネス、医療、福祉などさまざまな場面で導入が進んでいます。最近ではGoogleや、Facebook、日本を拠点にしているメルカリや、ヤフーなどの大企業でも導入されていることがわかり、注目が高まっています。
ここでは、そんなマインドフルネスの実践方法や、効果などを紹介していきます。
Googleも導入する「マインドフルネス」とは?
Googleでも導入しているマインドフルネスは、どのようなものでどんな効果があるのでしょうか。
まずはマインドフルネスの意味や効果を見ていきましょう。
マインドフルネスとは?
マインドフルネスは、「今、この瞬間の物事に全神経を集中する」という考え方の一つです。スポーツ選手が集中した際に体感するといわれる現象で「ゾーン」と呼ばれるものがありますが、これに近いと考えてもよいでしょう。
ゾーンは超集中状態で競技に没頭し、普段以上の結果を残せる状態で、心と体が一体化しているような感覚です。
マインドフルネスはこのゾーンの状態と極めて似ています。
そして、このゾーンに入る確率を極限まで引き上げるのが、マインドフルネスなのです。
マインドフルネスの効果
マインドフルネスは、集中力向上、ストレス軽減、注意力向上、自信がつく、ネガティブな感情の軽減などの効果が研究によって報告されています。
また医療として、うつ病や自閉症などの治療にも効果が確認されています。
身体疾患の症状を根本的に改善するものではありませんが、精神状態が改善されれば身体の状態にも良い影響があるといわれています。
マインドフルネス瞑想の方法
マインドフルネスと瞑想を合わせた言葉にマインドフルネス瞑想というものがあります。マインドフルネス瞑想は、マインドフルネスと瞑想を合わせることで、マインドフルネスの効果を高めます。
以下からは、マインドフルネス瞑想をするための代表的な4つの方法を紹介します。
時間としては、最初は5分ほどを目安に、慣れてきたら10分、20分と伸ばしていきましょう。
誰でも簡単に実践できるので、ぜひ参考にしてチャレンジしてみてください。
呼吸の瞑想
呼吸の瞑想法は「自分の呼吸に意識を持ち集中する」のがポイントです。
空気の取り入れ、吐き出し、そして肺の動きを感じましょう。
・手順
1. 椅子に座ったまま、背筋を伸ばし、ゆっくりと呼吸をします。
(このとき、椅子には腰を深く入れず、浅めにして腰かけてください)
2. 肺に溜まった酸素をゆっくり吐いて、肺の酸素をすべて吐き出します。
歩く瞑想
歩く瞑想は「体の動きに意識を持ち集中する」のがポイントです。
普段歩く際に体が動いている、ということを意識していない方も、この瞑想法で体が動いていることを実感できるでしょう。体全体の動きや、重心がどこにあるのかを感じられます。
・手順
1. まずは体の緊張をほどきリラックスしましょう。
2. 地面に立った状態で、足の裏が地面についている、という感覚に意識を向けます。
3. 焦らずゆっくりと歩きながら、足の動き、手の動きを意識します。
食べる瞑想
実は食事の際も、マインドフルネス瞑想は実践できます。
食べる瞑想は「食事、飲み物、など口に入れる物に意識を向け集中する」のがポイントです。
食べる瞑想を行なうことで、食感、香り、色、形、など食事から得られる気付きは多く、普段食べるのが速い人は、防止する効果もあります。
・手順
1. まずは、目の前の食事にすぐに手を付けず、香りや色、形を観察しましょう。
2. 食べ物をつかんでから、口に入れるまでの動きに集中します。
3. 早く噛んだり、早く飲み込もうとしたりせず、口の中で味わい、香りを感じてから飲み込んでください。
4. 飲み込んだ食べ物が、体の中に入っていくのを感じましょう。
ボディスキャン瞑想
ボディスキャン瞑想は「体全体に意識を向け、緊張状態や、筋肉、関節の動きに意識を向け集中する」のがポイントです。
体の緊張状態は、それが当たり前となり、疲労、体のコリや慢性的な不調として気付かない方が多くいます。
ボディスキャン瞑想は、それらに気が付くことができ、さらに回復を促す効果もあります。
・手順
1. 横になり、ゆっくりと呼吸を整えて一箇所の部位(足や、腰、肩、腕など)に意識を向けて集中します。
2. 意識している部位が、じんわりと温かくなるように感じるまで意識してください。
3. 口から吸い込んだ酸素を、各部位に届けるように想像すると効果的です。
(何か不快な感覚があれば口から吐き出して、新しい酸素を取り入れ、再度、各部位へ送りましょう。)
マインドフルネスを導入する企業の取り組み
マインドフルネスはビジネスにおいても有効だといわれており、さまざまな企業が採り入れて役立てています。企業によっては、マインドフルネスが身につくまで、研修プログラムを組んで自主的に参加させたりもしているほどです。
以下では、マインドフルネスを採り入れている企業、その取り組みを紹介します。
マインドフルネスは、Googleが採り入れたことでも話題となりました。これを機に、マインドフルネスを知った方もいるのではないでしょうか。
会社設立9年目にチャディー・メン・タンというエンジニアが、社員のストレス低減、集中力の向上、創造性向上、の3つを目的として、自主プログラムを作成しました。
取り組みとしては、オフィス内に瞑想ルームを作ったり、一日数分の瞑想を実践したりするように推奨したのです。
その結果、自主プログラムに参加した多くの社員が、生産性の向上として効果が現れ、なかには労働時間の削減をしたにも関わらず、昇進した社員もいるようです。
Apple
iPhoneやMacで有名なIT企業Appleも、このマインドフルネスを採り入れており、前CEOのスティーブ・ジョブズも新製品を生み出す際に実践していたようです。
取り組みとして、マインドフルネスの講習を社内で実施、勤務時間内の30分をマインドフルネスに当てることを許可していました。
もしかするとAppleの独自性を持った製品やサービスは、マインドフルネスを採り入れたことにより、創造性が向上し今の形になったのかもしれません。
ヤフー
海外企業だけではなく、日本に拠点を置くヤフーでもマインドフルネスを採り入れています。
導入の目的として、次世代のリーダーを創出、育成することを目的とし、そのためにまず自身を客観視することが重要と考えてマインドフルネスを実施しました。
取り組みとしては週1回のプログラムに参加(希望者)、社内の芝生スペースでマインドフルネスの実施をしています。
マインドフルネスを採り入れたことで、自身が置かれている状況や心理状態を知る能力が身につき、さらにストレスの軽減や集中力の向上にもつながったとのことです。
メルカリ
フリマアプリで有名なメルカリでも仕事の効率向上を目的として、マインドフルネスがとり入れられています。取り組みとしては、毎日16時にマインドフルネスを部活として実施し、マインドフルネスを理解するための講義や実践なども行っているようです。
マインドフルネスを採り入れた効果として、参加者の集中力の向上、ストレスの軽減があり、職場環境の改善につながったそうです。
まとめ
マインドフルネスは「今、この瞬間の物事に全神経を集中する」という考え方の一つで、スポーツ選手が体感する「ゾーン」と呼ばれる感覚に近いものです。
心と体が一体化しているような感覚で、代表的なメリットは、集中力が向上したりストレスが軽減したりといったことが挙げられます。
大手企業の社員も採り入れているマインドフルネスは、気軽に自宅でもできるので、さまざまな効果を得るためにも実践してみてはいかがでしょうか。