目次
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  1. 1. コーチングとマネジメントの違いとは?
  2. 1. コーチングとは
  3. 2. マネジメントとは
  4. 2. コーチング型マネジメントとは?
  5. 1. コーチング型マネジメントとは
  6. 2. 指示命令型マネジメントとの違い
  7. 3. コーチング型マネジメントの職場で実践する方法
  8. 1. コーチング型マネジメントは前提として部下との信頼関係が必須
  9. 2. 部下の目標達成やスキルアップを題材にとしたコーチングを行う
  10. 4. まとめ

 

マネジメントは組織の目標達成のため、組織の構築と運営をするという重要な役割を持ちます。しかし、従来の指示命令型マネジメントでは、部下の成長を促すことが難しい面があるのも事実です。
そのため、人材育成方法のコーチングをマネジメントに取り入れる、「コーチング型マネジメント」が注目されています。
今回は、コーチングとマネジメントの違い、コーチング型マネジメントの目的と職場での活用術について解説します。

コーチングとマネジメントの違いとは?

コーチング型マネジメントを知るためには、コーチングとマネジメントの具体的な違いについて理解しておく必要があります。

コーチングとは

コーチングの定義とは、「自発的な行動を促進するコミュニケーション」のことです。
コーチングでは「答えは相手の中にある」ことを前提に考えるため、相手に答えやアイデアを与えるのではなく、質問を投げかけて相手に考えさせる「対話」が基本です。
目標達成や課題について多角的に考えることで、今までとは違う考え方や視点、自分の中にある問題などに気づくことができます。
自分に必要な行動が理解できることで、行動の方針を決定し、行動に移すことができる部下へと成長します。

マネジメントとは

マネジメントという言葉の意味は「経営・管理」で、定義は「組織が成果を上げるための機能・仕組み・ツール」です。
マネジメントの定義は、著名な経営学者の「ドラッガー」が刊行した「マネジメント」がもとになっています。
マネジメントの重要な役割は、組織の目標達成という成果を果たすために、組織を機能させることです。
そして、組織におけるマネジメントの具体的な仕事は、以下の5つがあります。

・目標の設定
・目標達成への仕事、活動、作業の分類と組織作り
・動機付けとモチベーションの維持
・部下の評価とフィードバック
・人材の育成

このように、マネジメントは組織を運営するだけでなく、人材育成にも関係するため、コーチングに違和感なく取り入れることができます。

コーチング型マネジメントとは?

 

従来型の「指示命令型マネジメント」では限界があることから、個々の考える力や応用力、自発的な行動を促すことができる、コーチング型マネジメントを導入する動きが拡大しつつあります。
そこで、コーチング型マネジメントの目的と効果、指示命令型マネジメントとの違いは次の通りです。

コーチング型マネジメントとは

コーチング型マネジメントとは、コーチングスキルや概念をプラスした新しいマネジメント方法のことです。

コーチング型マネジメントの目的は、「部下が自分で判断する・自発的に動けるようになる」ことにあります。
目標達成を目的としないのは、部下が目標達成するための能力向上や学びを促進させるためです。
そして、問題に直面したときに、自らが考えて問題解決をする力を養うこともコーチング型マネジメントの重要な要素になります。
つまり、部下が自分で考えて行動できるようになると、組織の活性化や組織の目標達成、業績の向上に貢献できる部下に成長できるのです。

コーチング型マネジメントが注目されている理由は、時代の変化が激しい現代では、働き方の多様化とともに、新たな挑戦やイノベーションが求められることでしょう。
従来のマネジメントは、マネージャー自身の経験に裏付けられていることが多く、見通しが立ちにくいビジネス環境に対応できない恐れがあるためです。
マネージャーは部下を命令のもとで管理するのではなく、部下との関係性をさらに強化する必要があります。

指示命令型マネジメントとの違い

指示命令型とコーチング型は、マネジメントをする「考え方」に大きな違いがあります。

コーチング型マネジメントは、部下が自分で考えて問題解決を図る、失敗や間違いから学ぶことが成長につながると考えます。
自発的な行動ができるようになったとしても、任せっきりにすることはありません。
上司が部下の行動をサポートすることで、成果に至るまでのプロセスも重視するのがコーチング型の特徴です。

一方、指示命令型マネジメントは、上司が部下に行動しやすいように具体的な指示を出し、部下は指示通りに行動するため「問題解決は上司の役割」と考えます。
コーチング型では失敗も成長につながる重要な要素と考えますが、指示命令型では「失敗をしない」ことに細心の注意を払います。
また、行動の指示を部下に与えることから、「成果だけを重視」し、プロセスには関与しないのが指示命令型の特徴です。

指示命令型とコーチング型は、対極にあるマネジメント方法といえるでしょう。
しかし、コーチング型だけを取り入れればいいわけではなく、指示命令型のマネジメントが必要になる場面もあります。
今までのマネジメント方法に、コーチング型をプラスすると捉えることが重要です。

コーチング型マネジメントの職場で実践する方法

コーチング型マネジメントを職場で実践する場合、部下との信頼関係があることが前提になります。
なぜなら、上司を信頼していなければ、部下が心を開いて話ができる状況にないため、コーチングをしても機能しないからです。
部下との信頼関係の築き方を踏まえた上で、その次に紹介するコーチング型マネジメントを実践しましょう。

コーチング型マネジメントは前提として部下との信頼関係が必須

部下と信頼関係を築くためには、以下の3つが必要です。

・相手を知ろうとする
・相手を観察する
・相手に自分から関わる

部下との信頼関係を築くためには、部下を思い込みや評価で判断するのではなく、ありのままの部下を知ろうとすることが重要です。
そのためには部下を日々観察することで、悩みや問題があるときの状態を把握することができます。
たとえば、声色や表情、テンションなど、感情が表れる部分を意識的に観察することが大切です。

そして、部下から話しかけられるのを待つのではなく、自分から積極的に関わる姿勢を持つことが信頼関係を築くカギになります。
「様子がいつもと違う」と感じたら、自らコミュニケーションを取るようにしましょう。
相談を受け付ける時間を作るなどして、部下が相談しやすい環境や雰囲気作りをするとより効果的です。

また、自分が部下を信頼していると、言葉で伝えることも必要になります。
「上司が信頼して任せてくれた」と実感することで、仕事への取り組み方も変わっていくでしょう。

部下の目標達成やスキルアップを題材にとしたコーチングを行う

部下へのコーチングをこれから実践する場合、目標達成やスキルアップを題材にするといいでしょう。実践する際は、以下の手順で行うと効果的です。

・年度初めにキャリアアッププランを作成する
・プランをもとにキャリアアップ計画を立て、共有する
・計画で実行できなかった項目でスキルアップを図る
・スキルアップに必要な手段を計画する
・年度末の目標達成度と、次年度の計画を共有

ここでのポイントは、キャリアアップ計画の立て方にあります。
仕事を大きな項目に分けてから細かい項目に区分することで、何ができて何ができなかったかを明確にすることが可能です。
できなかった項目のスキルアップは、自己啓発やセミナー受講、社内教育の受講など、具体的な方法を計画に盛り込みましょう。
また、キャリアアップ計画を意識した仕事を割り振ったり、計画をもとにOJTやOFFJT(職場外の教育訓練)を組み合わせたりすることも効果的です。

そして、計画をもとにコーチングを行う方法は、3つのパターンのいずれかを試すといいでしょう。

1.週に1回などまとまった時間を取り、定期的・継続的にセッションを行う
2.仕事の中の必要なタイミングで、数分間の短い時間でポイントを絞って行う
3.日々のコミュニケーションでコーチングの概念を取り入れる

1の方法は上司と部下という関係性を外し、コーチングをする側・受ける側という対等な関係で行うことがポイントです。
2は営業や商談に出る前やプレゼン前など、必要なシーンに応じて行うと効果的です。
3はコーチングの考え方を前提にマネジメントする方法で、コミュニケーションの中で質問を取り入れてコーチングを行います。いずれにせよ、計画や目標に向かうことを目的にして、ただのおしゃべりにならないよう注意しましょう。

コーチング型マネジメントでは、部下の能力を最大限に高めることに重点を置き、部下の能力やスキルを共有・管理することが必要になります。
そのため、マネジメントを行う管理職は、自分を偉いと思うのではなく、部下の育成や管理をする役割を担っているという心構えが必要です。

また、指示命令型マネジメントは優秀な部下は対応できますが、能力が平均的な部下は成長する機会を与えることができません。
コーチング型マネジメントで、優秀層以外の部下の育成を図ることで、組織の成果を最大限に引き上げることが可能になるでしょう。

まとめ

コーチングは対話を通して、新たな考え方や気づき、問題を見つけて解決する能力など、本質的な成長に効果を発揮します。
マネジメントも人材育成を担う重要な役割を持ちますが、従来の指示命令型マネジメントだけでは成長が見込めません。
新たなマネジメント方法であるコーチング型マネジメントを導入することで、変化が激しいビジネス環境に対応できる部下に育成することができます。
部下の成長は組織の目標達成につながるので、指示命令型マネジメントから変える価値は大いにあるでしょう。