マネジメントとは、経営資源を活用して組織をまとめる活動のことです。会社という組織でマネジメントをする場合、どのような役割や能力が必要になるのでしょうか?今回は、マネジメントの意味と特徴、必要な能力について解説します。
マネジメントの意味
マネジメントという言葉の意味は、「組織を統制する一連の活動」であり、会社に当てはめると「経営管理」に意味が変わるのが特徴です。マネジメントを行う場合、計画を立てて実行し、結果を分析して新たな計画を合理的にする、マネジメント機能が必要という考え方が基本です。
そして、マネジメントは、「マネジメントの父」と呼ばれるドラッガーが提唱する、マネジメントの定義がもとになっています。その定義とは、「マネジメントは組織に成果を上げさせる機能や仕組み」であり、マネジメントをする人物のマネージャーは、「組織の成果の責任者」という考え方です。
また、ドラッガーのマネジメント理論は、マネジメントに求められる役割を次のように定義しています。
・組織の本業に向き合い、求められる使命を果たす
・組織の人材を生かし、自己実現できるような組織作りを行う
・会社は経営だけではなく社会のためであり、社会の問題に貢献する
つまり、組織は求められる使命を把握・達成するために、人材の特性を生かした生産性のある仕事を与え、使命を達成することで最終的に社会貢献できる組織作りこそ、マネジメントが果たすべき役割という考え方です。
これを会社組織に当てはめると、組織の目標設定、目標達成のための経営資源の効率的な活用、リスク管理の実施がマネジメントに必要な要素です。そして、マネージャーは部下の能力を生かした仕事を与え、成果による評価を通して人材育成をすることで、設定した目標の達成を目指すことが目的の役職になります。
会社におけるマネジメントの5つの特徴
会社という組織におけるマネジメントは、5つの要素が必要不可欠です。マネージャーの仕事に直結する要素は、次のような特徴があります。
目標管理におけるマネジメント
目標管理で需要なことは、組織の理念や経営目標をもとにした目標を設定することです。短期~長期の段階的な目標を設定し、より具体的なゴールを示す必要があります。そして、目標が定まったら、達成するための具体的な施策を決めた上で、部下の働きを管理することも必要です。
業務進捗管理におけるマネジメント
業務進捗管理では、部下の目標達成に向けたフォローやサポートを行います。進捗状況を把握することに加え、部下が働きやすくなるように見守ることも重要です。
たとえば、進捗通りに進んでいる場合は、さらに上を目指せるように指導する、進捗が遅い場合は原因を確認し、必要に応じて関係部署との交渉を行うことなどの業務があります。
チームにおけるマネジメント
仕事は1人ではできないことを前提に考え、業務の役割分担を行い、チーム内の業務を円滑に進めることが重要です。つまり、チームにおけるマネジメントは「チームワーク」と同じ意味であり、1人ひとりが持つ特性を発揮するために、配置や使いどころを考えることが必要になります。
また、チームのメンバー全員が団結して業務ができるよう、職場内の雰囲気作りや士気を上げるチームワークの構築も、チームマネジメントの重要な要素です。
人材育成におけるマネジメント
企業における人材は重要な経営資源であり、マネジメントによって個々の能力を開発、育成することが重要です。部下1人ひとりが能力を最大限に発揮できるか否かは、マネジメント次第で変わるといっても過言ではありません。
マネージャーは、個性や適正を見極めるだけでなく、OJTやOff-JTを組み合わせた能力開発のサポートなど、具体的な行動に移すことが重要です。また、業務内の指導に加え、外部の研修や勉強会、通信教育などの活用を促すことも、人材育成マネジメントに有効な方法です。
メンタルヘルスにおけるマネジメント
組織の中で働く以上、ストレスを受けない方が難しいのが実情でしょう。そのため、部下のメンタルヘルスをケアすることも、マネジメントの重要な役割です。
ストレスや悩みを抱えた部下にとって、社内で相談できる上司は心強い味方となります。そのためには、部下が相談しやすい雰囲気を作ることや、部下の変化やサインに注視する、相談を受けたら親身に対応する、ということが必要です。
また、適正な対応をするために、マネージャー自身がストレスマネジメントについて勉強するといった行動も必要になるでしょう。
マネジメントに必要なスキルや能力
マネジメントを行う立場になった場合、マネジメント能力は必要不可欠です。
マネジメント能力とは、組織の事柄を管理・運営する能力と、「ヒト・モノ・カネ」の経営資源を活用して組織全体の成果を上げる能力の、総合的な経営管理能力のことを差します。総合的であるマネジメント能力は、以下の6つのスキルで構成されるのが特徴です。
目的設定スキル
組織が最終的に達成したい目的を設定するために、どのような戦略を取るか、達成までにどのような課題があるかを見極めるスキルが必要です。戦略と課題を踏まえ、適切な目標を設定し、それをメンバー全員に周知徹底させることもマネジメント能力に必要な要素となります。
進捗管理スキル
設定した目標を成果につなげるためには、立てた計画が適切に実行されているかどうかを管理するスキルが必要です。進捗管理スキルでは、計画の進捗状況を把握し内容を分析、その分析結果をもとに、業務で何を優先すべきかを考えて組織を管理することが大切です。
アセスメントスキル
アセスメントスキルとは、部下が持つ能力や、個々がどのような状況にいるかを正しく認識するスキルのことです。目標達成や成果を上げるためには、個々の能力や適正に合った役割を与えることが重要になります。進捗管理でも状況を把握する必要があるため、アセスメントスキルは、マネジメントにおいて汎用性の高いスキルといえるでしょう。
コーチングスキル
部下の能力や特性を把握した上で、それを最大限に発揮できるようにするのがコーチングスキルです。達成できる範囲の目標設定や、コミュニケーションで励まし、仕事へのモチベーションを上げることで、最終的に目標達成や成果を上げることにつながります。
ただし、受動的なメンバーの指導を軽減するために、コーチングでは個人の自主性を尊重することが重要です。
分析力・判断力
組織を運営する上で何かを判断する場合、1つのことにとらわれると正しい判断ができなくなります。正しい判断をするためには、広い視野による大局的な分析力と、それをもとにした判断力が必要です。
大局的な分析力に必要なのは、組織の全体像や自部署の視点、組織外からの視点、組織を含めた社会環境全体の視点など、さまざまな角度で考えられるスキルです。
専門的なテクニカルスキル
マネージャーを含めた管理職は、部下やメンバーに見本を示す役割も求められます。そのためには、マネージャー自身が専門的な知識や技術などを吸収し、テクニカルスキルとしてマネジメントに生かすことが大切です。専門性の高い組織をうまく管理・運営するためにも、知らない知識は自ら学ぶ姿勢を持つことも必要でしょう。
まとめ
マネジメントは組織の運営管理という意味があり、組織の目標設定や目標を達成するための施策、リスク管理などが主な仕事です。組織におけるマネジメントは5つの仕事があり、どれもチーム全員の働きや成果を上げることにつながります。また、マネジメント能力は6つのスキルで構成される総合的な管理運営能力であり、ヒト・モノ・カネの経営資源全体を上手に使って成果を上げることが求められます。マネジメントを行う立場になった場合、これらの能力を自らが積極的に身に付けることも重要です。