目次
[ 非表示 ][ open ]
  1. 1. 部下の退職には良いもの悪いものがある
  2. 1. 部下の良い退職とは
  3. 2. 部下の悪い退職とは
  4. 2. 部下の退職サインを見分ける7つのポイント
  5. 1. 基本受け身になる
  6. 2. 上司とのコミュニケーションが極端になくなる
  7. 3. 出社時間が遅くなり、定時にすっぱりと帰宅する
  8. 4. 表情が常時穏やか
  9. 5. 以前と比べて仕事に熱意がない
  10. 6. 有給を消化しようと急ぐ
  11. 7. 会社以外のところでビジネスを始めた
  12. 3. 部下から辞表を出された場合の対処法とは
  13. 1. 退職理由を聞く
  14. 2. 引き止める
  15. 3. 退職スケジュールを決める
  16. 4. 欠員を埋める(求人募集の開始)
  17. 5. 退職手続き(退職日当日)
  18. 4. 部下の退職を避けたいなら1on1をしましょう
  19. 5. まとめ

部下の神妙な面持ちに「ひょっとして……」と感じたことがある方は多いのではないでしょうか?

企業にとって、部下の急な辞表提出は避けたいもの。しかし、一度退職すると決めた部下の気持ちを変えることはそう簡単ではありません。部下の退職による負担を減らすには、退職に至るまでのサインを見逃さず、退職を未然に防ぐことが大切です。

今回は、部下の退職サインを見抜く7つのポイントや、退職率を下げる方法について解説します。辞表を出された際の対処法についても触れているので、ぜひ参考にしてください。

部下の退職には良いもの悪いものがある

部下の退職は一括りに“避けるもの”とはいえません。以下では、部下の良い退職・悪い退職の例を見ていきましょう。

部下の良い退職とは

良い退職とは、個人の夢や目標、キャリアアップのための退職を指します。

例えば、「現在の仕事を通じてやりたいことが見つかりました」「人生で貴重な経験をさせていただきありがとうございました」といった前向きな気持ちで退職を希望する部下がいれば、それは良い退職の形といえるでしょう。良い退職をした部下は外部に再就職したとしても前社の悪評を周囲に漏らすようなことは少ないといえます。部下自身の成功事例や成長の糧になった経験として語られる形が理想的です。

部下の悪い退職とは

悪い退職とは、事前の相談などがなく一方的に離職の意思を伝えられる退職を指します。

例えば、「この職場は自分に合いません」「現職を続けたいという意欲が持てません」などです。後ろ向きの理由から急な辞表提出があると、直属の上司としては対応に困るケースも多いでしょう。退職する社員が有能であるほど企業や部署にとって痛手となってしまうためです。

 

このように、部下の退職には良い退職・悪い退職があります。良い退職は比較的早い段階で相談や報告、情報などが小耳に入ることも多いため、抜けたポジションの穴埋めがしやすいでしょう。悪い退職は繁忙期・閑散期など時期にかかわらず突然告げられることもあるため、部下をまとめるリーダーにとって頭を抱える問題に発展してしまう場合があります。こうしたトラブルを未然に防ぐなら、部下の退職サインを見逃さず、必要に応じて部下のメンタルケアを行いましょう。

部下の退職サインを見分ける7つのポイント

上司にとっては突然の退職でも、退職を希望する部下にとっては何ヵ月も前から悩んでいた可能性は高いもの。部下の退職サインを見分けることができれば、ヒアリングやアドバイスにより退職を未然に防ぐことも可能です。以下では、退職を考えている部下に共通する7つのサインを見ていきましょう。

基本受け身になる

指示や命令を受け身で素直に聞き入れるようになったら、何らかの原因から仕事を割り切って過ごしている可能性が高いです。特に、よく意見や反対の態度を示していた部下が受け身を貫くようになったら、退職サインを疑いましょう。

上司とのコミュニケーションが極端になくなる

職場でのコミュニケーションは業務に関連するものだけではありません。出社時、退社時、休憩時間など、1日を通してコミュニケーションが減ったように感じたら退職サインの可能性があります。上司自らコミュニケーションを図った際に素っ気ない対応でないかなど、日々のコミュニケーションのなかにある微妙な変化を見落とさないようにしましょう。

出社時間が遅くなり、定時にすっぱりと帰宅する

「時間に余裕を持って出社していた部下が時間ギリギリで出社するようになった」「業務優先だった部下が定時きっかりで退社するようになった」など、勤務時間の変化が現れたら注意が必要です。受け身になっているときと同様、仕事にこれまでほどの熱意がなく、仕事として割り切ってこなしているだけの可能性があります。

表情が常時穏やか

一見悩んでいるような素ぶりがない部下でも、退職を決意するまでには本人のなかでいくらかの葛藤があります。そのような時期は業務に対して険しい表情が出てしまいがちですが、いざ退職を決意してしまえば、部下にとっては肩の荷がひとつ下りたようなもの。硬い表情や険しい表情が多かった部下が爽快な表情になるようなことがあったら、退職サインでないか注視してみましょう。

以前と比べて仕事に熱意がない

退職を視野に入れた状態では、誰しも業務に熱を込めることはできません。「仕事に対する姿勢が変わったな」「前ほどの熱意がないな」と感じたら、部下に心境の変化が起こっていないか丁寧にヒアリングしてみましょう。仕事に熱を込められない原因について確認する必要があります。

有給を消化しようと急ぐ

退職に向けた準備には、自身が抱える業務の整理や引き継ぎ準備、顧客への挨拶など多くの“やるべきこと”があります。有休消化も例外ではなく、計画的に退職準備を進めている部下ほど残りの有給消化を急ぐようになるでしょう。

会社以外のところでビジネスを始めた

本業以外のビジネスが軌道に乗れば、新たな可能性を見出して本業の退職を視野に入れてしまう可能性があります。「やがて起業したい」「スキルの幅を広げたい」といった理由で始める副業は部下の成長の糧になるため企業が阻むことはできませんが、ビジネスの方向性によっては退職となる可能性も考慮しておかなければいけません。

部下から辞表を出された場合の対処法とは

では、部下から辞表を提出された場合、上司としてはどのような行動をとることが正解なのでしょうか?

以下では、辞表を出された場合の対処法を、退職までの流れに沿って見ていきましょう。

退職理由を聞く

部下から退職したい旨を伝えられた場合、何より先に「辞めたい理由」を聞くことが大切です。退職希望を申し出るまでの苦労やストレス、退職を決めたきっかけなど、できるだけ多くの退職理由を聞き、部下の苦悩に寄り添う姿勢で耳を傾けましょう。

引き止める

部下の退職理由や悩みの種が解決可能な問題だった場合、解決できる旨を伝えて引き止めることが正解です。解決できるか分からない、解決が難しい問題だった場合は、「問題解決は難しいかもしれないが企業にとって必要な人材である」ことを理解してもらう努力が大切です。ただし、引き止める際はくれぐれもしつこく迫ったり、圧力をかけたりしないよう注意しましょう。

退職スケジュールを決める

部下の申し出どおり退職の方向で話が進めば、具体的な退職スケジュールを組んでいきます。会社規定にもよりますが、退職日は退職を申し出てから3ヵ月後が一般的とされているので、具体的な理由がないかぎり会社や業務を優先にスケジュールを組んでいきましょう。有休消化については、退職日前にまとめて消化する方法か、残りの日数分を最終月の給料に上乗せして清算する方法が一般的です。業務に支障が出ない範囲でスケジュールを組み、細かな規定については社労士に相談しましょう。

欠員を埋める(求人募集の開始)

部下の退職に向け、中途採用を開始します。

募集を行う媒体は、優先順位の高いものから、

 

・自社採用サイト

・ハローワーク

・求人広告媒体

 

が挙げられます。より良い人材を低コストで確保するためにも、自社採用サイトの環境整備から始め、退職日が迫るにつれハローワーク、求人広告媒体の利用を検討していきましょう。

退職手続き(退職日当日)

退職日は、社会保険証を忘れずに返還してもらいます。また、会社側の準備としては以下のような書類の発行があるため、退職日当日に手渡し、もしくは後日郵送ができるよう準備を進めましょう。

 

・雇用保険被保険者証

・退職証明書

・離職票

・源泉徴収票

 

事務的な手続き以外には、餞別や送別会などが挙げられます。退職後、職場や上司・同僚に対して良い印象を持ってもらうためにも、可能なかぎり円満な雰囲気で部下を送り出しましょう。

部下の退職を避けたいなら1on1をしましょう

1on1とは、上司・部下間の1対1で行う、30分~45分の短時間ミーティングをいいます。1on1は社長から経営部、経営部から各部署、各部署リーダーから社員というように全階層で実施し、頻度は毎週~少なくても隔週1回行うのが良いとされています。

定期的な1on1の実施は日ごろ意識を傾けられない部下の悩みや問題をすばやく察知できるため、企業全体の問題解決速度の向上につながります。

また、何より上司・部下間のコミュニケーション形成に効果的とされ、コミュニケーション不足から生じる部下の離職防止にも効果があります。上司が聞き役に徹することで、部下が悩みやストレスを抱え込まない風潮をつくり、風通しの良い職場=働きやすく退職の懸念が少ない職場の実現を期待できるでしょう。

まとめ

部下が退職を申し出た場合、それまでに多くの悩みや葛藤があり、退職サインが出ているケースがほとんどです。突然の退職に悩むなら、退職に至るまでの期間、部下の言動に何かしらのメッセージが隠れていないか注意してみましょう。

いざ退職が決まれば無理に引き止める必要はありませんが、退職時の話し合いでは、部下に対する評価や退職を決意させたことに対する上司としての責任をしっかり伝えることが重要です。

部下とのコミュニケーションが不足していることで退職サインに気が付けないという場合、今回ご紹介した1on1ミーティングを取り入れ、職場環境の改善を図っていきましょう。