マネジメント能力は、社会人として仕事を進めていくうえで重要な能力の1つです。「マネジメント能力がない上司は苦労する」「マネジメント能力の向上が急務」などと耳にすることも多いですが、具体的にどういった能力なのか、はっきりと答えるのは意外と難しいのではないでしょうか。
ここでは、マネジメント能力とは何か、マネジメント能力がある人とない人の特徴や必要なスキル、役立つ資格などについてご紹介しています。
マネジメント能力とは
マネジメント能力とは、簡単にいうと「管理能力」のことです。英語の”management”は「管理」を意味しており、持っているモノや資源を活用して、目的を遂行する能力と言い換えることができるでしょう。
マネジメント能力はビジネスにおける管理能力をさすことが多く、自分が担当している仕事に対して発揮することが期待される能力です。事務処理やスケジュール調整など、業務に対する管理もマネジメント能力の1つといえますが、役職者が部下に指示を出したり、経営者が会社運営全般をまとめたりする際にも重要な能力となります。
部下や社員を統率し管理する、という意味では「リーダーシップ」と似ていますが、リーダーシップが対人にのみ使われるのに対し、マネジメント能力は商品や資材、運転資金といった経済活動全般の管理能力である点がことなります。
リーダーシップは人をまとめる統率力、マネジメント能力は人も含めた、ビジネス全般における総合的な管理能力、または経営手腕であるといえるでしょう。
マネジメント能力がある人、ない人の特徴
次に、マネジメント能力がある人とない人について、それぞれの特徴を見てみましょう。
マネジメント能力がある人の特徴は、大きく分けると3つあります。1つめは「マルチタスクで仕事ができる」、2つめは「物事をよく観察し、本質を見抜く」、そして3つめが「人を動かす力がある」ということです。
マルチタスクでさまざまな業務をこなしたり、多くの人へ的確な指示を出すためには、スケジュール管理の力が問われます。任される範囲が大きくなればなるほど、動かすモノや資金、人の量も増えていくでしょう。
それぞれの場面に応じて、いかに効率よく、最大の効果を上げるためのスケジューリングができるかは、物事に対する深い洞察力が必要となります。対人面においては、人の性格や長所、短所といった本質を見抜く人間観察の力が必要となります。
物事をよく観察し、適切な計画が立案できたら、スケジュールを遂行するために人を動かさなければなりません。「この人はどう指示を出せば動いてくれるか」というリーダーシップにくわえ、「足りない部分をどう補えばよいのか」といった人材育成の能力に長けていなければ、素晴らしい計画も絵に描いた餅となってしまいます。
マルチタスクと洞察力、リーダーシップの3つを併せ持ってこそ、はじめてマネジメント能力の高い人材であるといえるのです。
反対に、マネジメント能力がない人の特徴は「マルチタスクが苦手」、「洞察力に乏しく、自分の物差しで考えがち」、「リーダーシップが発揮できない」といった点が挙げられるでしょう。
注意したいのは、3つすべてがあてはまらなかったとしても、1つでも心当たりがあれば、マネジメント能力が不十分となってしまう可能性があるという点です。
たとえば、複数の仕事を管理したり、人や物事を深く観察したりすることが得意な人は「自分でやった方が早い」「あの人はきっと嫌がるだろう」などと考えがちなため、リーダーシップが発揮しにくくなります。逆に統率力があり、リーダーシップの取れる人は、深い考察や協調性に欠けている場合があるのです。
将来的に必要なマネジメント能力が足りないかどうかは、人や物事を観察する目を自分自身に向けることが、問題解決への近道となるでしょう。
マネジメントに必要なスキルについて
マネジメントにおいて必要なスキルは、上記で挙げた点も含めると以下のようになります。
・実現可能な目標設定/スケジュール管理をする能力
・正確な分析、柔軟な対応・判断力
・プレゼンテーションやファシリテーション能力
・リーダーシップの能力
上記4つのスキルは、社会人として仕事に長く携わることにより、ある程度培われるものです。その中でも自分が持っているスキルのうちどの部分が足りないかについて考察すれば、おのずと向上させるべき能力がわかってくるでしょう。
持てるマネジメント能力を自分に向け、強みとスキルが理解できれば、あとは弱点を克服する方法を探して実行するのみとなります。
マネジメント能力の向上に役立つ資格
マネジメント能力を向上させる方法として、以下にビジネスで役立つ資格をご紹介します。それぞれの資格概要と、資格取得によってマネジメント能力の向上につながる理由についても解説していますので、自分に合った資格を選ぶ参考にしてみましょう。
ビジネスマネージメント認定試験
人間関係をうまく構築する方法やメンタルコントロール、win-winの関係といった、社会人として働くうえで活用できる心理トレーニングに関する理解力を認定する試験です。マネジメント能力に必要な人を動かす力や、メンタル面を強化するのに役立つ資格です。
年に6回実施しており、答案用紙の郵送が必要ですが、在宅受験で取得しやすい資格となっています。
ビジネスマネジャー検定
文字通り、ビジネスにおけるマネージメントの知識について、理解力を測る検定です。自身のマネジメント能力向上のほか、部下の人材育成などにも活用できます。オンライン上で24時間いつでも受験が可能な点も魅力です。
ストレスケアマネージメント
対人面でのストレス緩和や、アンガーマネージメントの知識が得られる資格です。自己のメンタルを一定に保ち、仕事上でのストレス対処を学ぶことで、全体的なマネジメント力向上がねらえます。ビジネスマネージメント認定試験同様、年6回の在宅受験となっています。
PMP資格
PMP(プロジェクトマネジメントプロフェッショナル)としての技能や知識を確認するための国際資格です。アメリカのPMI本部が実施しているため、国内外を問わず知名度があり、資格取得によってマネジメントのプロフェッショナルであることをアピールできます。
資格は3年ごとの更新となり、その間に各種プログラムや研修でマネジメントスキルを維持し、キャリアアップやスキルアップにつなげることが可能です。受験料が405~555ドルと、他の資格に比べると高額で更新料も必要ですが、PMIのコミュニティを利用して人脈を広げたり、外資系のマネージャー職へ転職する際などに活用できます。
論理的思考インストラクター
問題解決における論理的思考についての能力を認定する資格です。プレゼンテーションや会議での発言、部下への指示などで論点を明確にし、数字にもとづいた論理的で説得力のある表現方法を身につけることができます。
ロジカルシンキングマスター
論理的思考インストラクターと同様、論理的な考え方や方法について学ぶ資格です。論理的思考インストラクターが実践的な内容にフォーカスしているのに対して、ロジカルシンキングマスターではMECEや帰納法と演繹法、ピラミッド構造やマトリックスなど、より学問的な論理的思考についての知識を問われます。
論理的思考を高め、コーチングや更なるマネジメント能力の強化に役立つ資格だといえるでしょう。
まとめ
マネジメント能力は、対人でのリーダーシップを含むモノ、カネなど、ビジネス全般に関わる管理能力をさします。マネジメント能力の高い人には深い洞察力とスケジュール管理能力、人を動かす力があるといった特徴があり、いずれかの特徴に欠けていても、マネジメント能力は不十分となります。
マネジメント能力を向上させ、更なるキャリアアップを目指すためには資格を取得したり、自身のマネジメントを意識したりすることが大切となるでしょう。