昨今の働き方改革により注目されるようになったキャリアコンサルタント。厚生労働省でも積極的に導入を推進する動きが活発化しています。
しかし、キャリアコンサルタントなるにはどのようにすれば良いのか、知らない方も多いのではないでしょうか。本記事では、キャリアコンサルタントの仕事内容や資格の取得方法、活躍するフィールドなどを詳しく紹介します。
■キャリアコンサルタントとは職業の選択・能力の開発に関する助言を行う専門家
昨今、ニュース番組などでも取り上げられているように、政府が施行した「働き方改革」により、各企業はキャリアコンサルタントの導入を積極的に推進しています。
しかし、キャリアコンサルタントがどのような仕事をするのかは、あまり知られていないのが現状です。
まずは、キャリアコンサルタントの仕事内容、キャリアコンサルタントになるための資格を解説します。
◇キャリアコンサルタントとはどういう仕事?
キャリアコンサルタントとは、個人のキャリアに関するコンサルティングを行う専門家です。
キャリアとは個人がこれまでの仕事で培った経験や経歴を指し、コンサルティングは専門的な知識を有する人が相談にのること、各種企画を立てるお手伝いをすることを指します。
つまり、個人の能力や適性、興味、価値観などをもとに、それぞれに適した職業選択や能力開発の援助、スキル活用法の指南など、キャリア選択の助言を行うことがキャリアコンサルタントの役割となります。
そのため、自分自身のキャリア形成で悩んだ経験を持つ人や向上心の強い人、他者のサポートをすることが好きな人に向いている仕事です。
◇資格は2つあり、厚生労働省も導入を勧めている
前述のとおり、「働き方改革」が施行されたことで、厚生労働省は企業へのキャリアコンサルタントの導入を推進しています。
なお、キャリアコンサルタントになるための資格はさまざまありますが、おもなものは以下の2つです。
- キャリアコンサルタント(国家資格)
- キャリアコンサルティング技能士(国家検定、1級・2級)
国家資格のキャリアコンサルタントは“名称独占資格”であり、試験に合格して名簿に載ることで「キャリアコンサルタント」を名乗ることができます。
キャリアコンサルタントの資格は2つ!資格取得までの流れとは?
前述したとおり、キャリアコンサルタントの資格にはキャリアコンサルタント(国家資格)、キャリアコンサルティング技能士(国家検定、1級・2級)の2つがあります。
それでは、受験資格や資格取得の流れを見ていきましょう。
◇キャリアコンサルタント試験の受験資格とは?
キャリアコンサルタント試験の受験資格は、以下のいずれかを満たした人です。
- 厚生労働大臣が指定する講習の
キャリアコンサルティング技能士の
◇キャリアコンサルタントになるための流れとは?
キャリアコンサルタントになるためには、以下の流れに沿って登録を行わなければなりません。
- 講習の受講(厚生労働大臣が認定した講習140時間、CMCAキャリアコンサルタント養成講座など)
- キャリアコンサルタント試験の受験(学科試験や実技試験)
- 合格後、指定登録機関へ登録
厚生労働省のキャリアコンサルタント名簿に登録することで、名称独占資格である「キャリアコンサルタント」を名乗ることができます。それと同時に守秘義務・信用失墜行為の禁止などの責任を負うこととなります。
また、登録後は5年ごとの更新が義務付けられ、厚生労働大臣が指定した更新講習を受講しなければなりません。
■キャリアコンサルタントが働くフィールド5つとは?
2020年10月末時点でキャリアコンサルタントの有資格者は53,809名 となっており、全国各地で働いています。働くフィールドも一般企業や教育機関・行政機関などさまざまあり、幅広い分野で個人のキャリア支援を行っています。
キャリアコンサルタントの勤務先にはどういったところがあるのか、代表的なフィールド5つを紹介します。
◇人材派遣・紹介会社
人材派遣・紹介会社とは、人材を求める企業と仕事を探している求職者をマッチングして、派遣・紹介する会社です。
ここで働くキャリアコンサルタントは、登録者の能力や希望するキャリアなどについてカウンセリングを行い、その人の強み・弱みを把握します。同時に、企業側のニーズを把握して、登録者から合う人材を紹介します。
◇企業の人事部など
人材派遣・紹介業以外の一般企業でも、キャリアコンサルタントが活躍しています。
こういった企業では、人事部に所属して働くのが一般的です。社員のキャリア課題やメンタル面をサポートすることがおもな仕事となるため、キャリアコンサルタントよりもカウンセラー(産業カウンセラー)としての役割が大きくなるでしょう。
◇ハローワークなど公的就業支援機関
公的な職業紹介機関(行政機関)で働く人も多くいます。例えば、以下のような機関が挙げられます。
- ハローワーク
- ジョブカフェ
- 高齢者就職支援センターなど
行政機関で働く場合は、就職・転職希望者に対してキャリアカウンセリングを行います。希望職種・勤務条件などをヒアリングして求人情報を探し、仕事を紹介することがおもな仕事です。その他、必要に応じて知識・技能を身につける訓練制度の紹介も行います。
また、これらの行政機関では、高齢者や障害を持つ人などの就職困難者の相談にのる機会も多いでしょう。
◇大学など教育機関
キャリアコンサルタントのなかには、高校や大学(大学院)、専門学校の進路相談室や就職課(キャリアセンター)で働く人もいます。
教育機関で働く場合は、学生の進学・就職などを中心とした進路相談がおもな仕事となります。その他、働くことを含めた生き方・キャリア教育に関する授業やセミナーの開催、資料作成なども含まれるでしょう。
これから社会に出ていく学生たちが対象となるので、一人ひとりの可能性を信じるとともに、彼らが自分らしく生きられるように支援することが求められます。
◇独立
キャリアコンサルタントのなかには、企業や行政機関等に属さず、フリーランスなど独立して働いている人もいます。
独立している人の場合は、研修やセミナーでのトレーナーを務めたり、企業と契約して社員のカウンセリングを実施したりする人が多いようです。その他、知名度の高い人であれば、キャリア形成やライフプランなどの講演・セミナーを行う人もいます。
企業や行政機関・教育機関などに属し、そこでキャリアコンサルタントとして経験を積んでから独立する人が大半です。そうしなければ、いきなり独立してフリーランスになるのは難しいでしょう。
■まとめ
働き方改革の影響により、キャリアコンサルタントは近年注目されている職業です。厚生労働省が各企業への導入を推進していることから、需要は今後しばらく高い状態が続くでしょう。
キャリアコンサルタントは、自分自身がキャリア形成や仕事で悩んだ経験のある人、人のサポートが好きな人であれば、その経験や能力を活かしやすい職業です。
このような傾向のある人は、積極的にチャレンジしてみてはいかがでしょうか