新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を取り入れる企業が増えています。通勤の煩わしさから解放されるなど、在宅勤務のメリットを実感する人も多い一方で、いつもと異なる環境で業務をこなす必要があることや、人と会わない日々が長く続くことがストレス要因となり、心身に不調をきたしそうだという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、在宅勤務で鬱々とした気持ちを抱いてしまう原因や、ストレスを過剰に溜め込まないために気を付けたいこと、「鬱かな?」と思ったときの対処法をご紹介します。本記事を参考に、在宅勤務の日々をぜひ快適に過ごしてください。
なぜ在宅勤務で鬱になってしまうのか?
在宅勤務の環境で、鬱々とした気持ちを抱いてしまうのはなぜでしょうか。
在宅勤務で鬱になってしまう主な要因について見ていきましょう。
仕事とプライベートのオン・オフがしにくくなる
在宅勤務では、出勤や退社といった行動がなくなるために、オンとオフの切り替えが難しくなります。さらに、勤務開始・終了時間や休憩時間を自由に決められる場合には、人の目がない環境で、しっかりと時間を管理しなければなりません 。
そもそも自宅は仕事に特化した場所ではないため、職場に比べて誘惑が多いものです。そうした環境で業務にあたると、仕事以外の物事に気を取られ、業務の効率が落ちて、結果的に出勤するよりも長い勤務時間になってしまうこともあります。
また、いつまでも仕事ができる環境であるため、「やったほうがいいこと」に際限なく取り組み続けてしまうこともある でしょう。こうなると、プライベートの時間が奪われてしまい、さらにオン・オフの区別が付けづらくなります。
生活リズムが不安定になる
オフィスに出勤する場合、「9時出社・17時退社」など、一定の規則があります。しかし在宅勤務では「期限までに決められた業務をこなせば良い」というルールを取り入れている企業も少なくありません。
こうした自由なルールには、時間に縛られず好きな時間に仕事ができるというメリットがある一方、生活リズムが崩れやすくなるというデメリットもあります。出社のために朝早く起きる習慣がなくなり、昼夜逆転に陥る可能性もある のです。不安定な生活リズムは体調の崩れにつながり、メンタルの不調を招く危険性があります。
運動不足になる
通勤・退勤の手間が減るのは、在宅勤務の大きなメリットの一つです。しかし、通勤などで外を歩く機会が減った結果、運動不足に陥るケースも多いのではないでしょうか。
運動には「気晴らし」の効果が あります。身体を動かすと、落ち込んだ気分や不安が払拭されやすいのです。また、身体が温まることで筋肉の緊張が解けたり、副交感神経が働いたりすることで、ストレスが軽減されるとも考えられています 。
したがって、在宅勤務によって通勤や外回り、退勤の機会が失われ、運動量が不足すると、ストレスを溜め込んだり、ふさぎ込んだりしやすくなってしまうのです。
仕事の進捗状況が心配になる
在宅勤務の環境では、周りに仕事仲間がいません。そのため、自分の仕事の進捗状況に問題がないか、成果がきちんと出ているかといったことが心配になってしまうケースがあります。
在宅勤務では、「成果を出さなければ」と必要以上に焦ってしまう という声も聞かれました。こうした状況は、多くのストレスがかかってしまい、鬱状態の原因になりかねません。
孤独な環境に不安を覚える
最近では、在宅勤務の際にオンライン会議を導入している企業が多いですが、通常どおり出勤するときと比べると、どうしてもコミュニケーション不足に陥ってしまうケースが多いでしょう。以前と比べて孤独 な環境に置かれることになるため、不安を覚えたり、ストレスを溜め込んだりする可能性が高くなっています。
周りに同僚がいないことのデメリットは、孤独感だけではありません。在宅勤務では、仕事でわからないことが生じたとき、気軽に相談することも難しくなってしまいがちです。こうしたコミュニケーション不足によって業務に支障が 出てしまうこともあり、その不安が鬱屈とした気分につながることも十分ありえます。
在宅勤務で鬱にならないために!5つの予防方法
在宅勤務の環境で鬱状態に陥らないために、次にご紹介する予防方法を取り入れてみましょう。
仕事の時間をしっかりと決める
まず、オンとオフの切り替えをしっかりと行いましょう。時間に縛られない在宅勤務の環境でも、普段どおり出勤する場合と同様に「何時から何時までは仕事、それ以降は残業・プライベート」と、しっかりと時間を決めて取り組んでください。
仕事は、仕事量やタスクではなく、時間で区切るのがポイントです。
睡眠をしっかり取る
生活リズムが昼夜逆転してしまわないように、十分な睡眠を取りましょう。睡眠不足をなくし、朝の光を浴びることで体内時計が正常化し、体調不良や鬱を防いでくれます。
適度な運動を心がける
在宅勤務中であっても、適度な運動を心がけましょう。通勤がなくなった分の運動不足を補えるよう、ラジオ体操やスクワットなどを取り入れてみてください。自宅でできる簡単なストレッチだけでも効果的 です。
社内の連絡は業務の報告だけでなく、雑談も大事
オンライン会議での業務報告はビジネスを行ううえで非常に大切なコミュニケーションですが、プライベートの会話などの雑談も、それと同じように大切 です。仕事仲間と雑談を行うことは、在宅勤務のストレス解消にもつながります。これまでよりも意識的に、雑談の時間を設けてみましょう。
プライベートを充実させる
オン・オフのメリハリを付けづらい在宅勤務だからこそ、仕事以外の楽しみを見つけることが重要です。同僚や友人と仕事に関係のない会話をしたり、オンライン飲み会をしたり、家で楽しめるゲームを一緒にやったりすることで、ストレスをうまく発散 しましょう。
鬱かな?と思ったら休むことも大切
最後に、在宅勤務中に「もしかして自分は鬱なのかな?」と感じた方に向けて、鬱状態に陥ってしまった際の対処法をご紹介します。
「鬱かな?」と感じたら、決して無理をせず、何よりもまず休むことが大切です。鬱病は、放っておいても治る病気ではありません 。心療内科や精神科などに足を運び、専門の医師にアドバイスを求めましょう。
症状によっては、病院の先生に書いてもらった診断書を会社に提出して、休職させてもらうケースもあります。 「仕事を休めない」と思ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、鬱の症状を放っておくとさらに悪化して、今後の仕事により大きな支障が出る場合もあるのです。
「気分が落ち込む」「趣味を楽しめなくなった」「食欲がない」「眠れない」など、心や身体に気になる症状があらわれた場合には、なるべく早めに医師に相談してください。
まとめ
在宅勤務にはいくつものメリットがある一方、ストレスを溜めてしまう要因も複数あります。仕事とプライベートのオンとオフの切り替えをしっかりと行えるよう、時間管理に気を配り、睡眠時間を確保して生活リズムを整えることが大切です。
また、業務中では、仕事仲間と会話をする際には業務の話だけではなく積極的に雑談を行ったり、業務終了後はプライベートを充実させたりするのも効果的でしょう。
なるべくストレスを溜めないように工夫し、溜まったストレスはうまく発散しながら、在宅勤務を上手に乗り切りましょう。