東南アジアの観光旅行先としてだけでなく、労働や留学などで日本への在留者も増えてきているベトナム。場所や宗教などの文化や、ベトナム人の人柄や気質など、知っているようで知らない点も多いのではないでしょうか。
ここでは、ベトナムがどんな国なのか、ベトナム人はどんな気質を持っているのかなど、ベトナムの文化と人についてわかりやすく解説しています。ベトナム人との交流や現地での生活を検討する際の参考にしてみてください。
ベトナムってどんな国?
はじめに、ベトナムとはどんな国なのか、場所やベトナムの文化について解説します。
中国やカンボジアと接する東南アジアの国
ベトナムは東南アジアに位置する南シナ海に面した国で、北部では中国南部に、西部や南部ではラオス、カンボジアとも国境を接しています。タイやミャンマーも近く、日本からは直行便も出ており5~6時間で行くことができます。
南北に伸びる縦に長い国土を持ち、北部には首都のハノイ、中部にはダナン、南部にはホーチミンといった都市があります。
母国語はキン族の言語
ベトナムは50以上もの少数民族で構成される多民族国家ですが、人口の8割以上を占める「キン族」の使う言語がベトナム語として使用されています。
今は使われなくなりましたが、「チュノム」と呼ばれる独特の文字が使われていたり、中国語のように音の上げ下げで意味が変わる声調があったりするなど、日本人にとってベトナム語は難しいイメージかあるかもしれません。
しかし、フランス統治を経て現在は文字表記にアルファベットも使われるようになり、漢字由来の単語も多く残っているなど、日本語と似ている部分もあるのです。
民間信仰と無宗教の人が多くを占める
ベトナムでは、仏教や儒教、ベトナム古来の伝承などがミックスされた民間信仰が広く浸透しており、無宗教の人と合わせて全体の7割以上となっています。
民間信仰に次いで仏教、キリスト教が多く信じられていますが、2つを合わせても全体の20%にも満たず、特定の宗教に縛られない人が多い傾向にあります。
ベトナムの正装「アオザイ」
ベトナムの普段の生活では洋服を着ている人がほとんどですが、ベトナムを代表する民族服に「アオザイ」があります。アオザイとは、横に長いスリットの入った上着のことで、女性が着用しているイメージが強いですが男性用のアオザイもあります。
アオザイは結婚式や式典などのフォーマルな場で正装として着用されることが多く、ベトナムへ観光にやって来る海外の人にも人気の民族服です。
繊細で美味しい!日本人の口にも合うベトナム料理
東南アジアの食文化は旅行の際の楽しみでもありますが、中でもベトナム料理は繊細で美味しく、日本人の口に合う料理も多いのです。
お米の粉で作るフォーはベトナムの国民食に近い存在で、クセがなくマイルドな麺を牛肉やチキンなど、さまざまな味のスープと一緒に楽しみます。フランスパンを使ったベトナムのサンドイッチ「バインミー」や生春巻き、ベトナム風オムレツ「バインセオ」など、グルメの国フランスの影響とベトナムの文化がミックスされたベトナム料理がたくさんあり、どれも手軽に食べられるのでおすすめです。
通貨は「ドン」でチップの習慣はなし
ベトナムで使用されている通貨単位は「ドン」。2020年3月現在、1ドンはおよそ0.0047円となっています。日本と同様チップを払う習慣はなく、メニューやタグに記載された価格だけを支払えば大丈夫です。
ちなみに、ベトナムにも日本の消費税のような「付加価値税」という税金がありますが、基本的には内税表記となっており、外税の場合はレシートで確認できるようになっています。
ベトナム人の人柄と文化
次に、ベトナム人の人柄や文化について解説します。ひとくくりに「ベトナム人の人柄や文化」といっても個人差はあり、南北に長い国のため、地域によっても文化が異なるケースもあります。
「日本人は真面目で几帳面」といってもそうでない人がいるように、以下の解説はあくまでもベトナム人が多く持つ大まかな気質としてとらえるようにしましょう。
ベトナム人は向上心旺盛
日本人と同様に、ベトナム人も勤勉で教育を重んじる傾向にあります。また、家族に対する愛情がとても深く、若い世代では「戦争で苦労した親世代を養って楽にしてあげたい」と考えている人も多いようです。
また、日本人の勤勉は「奉仕精神」「犠牲を払う心」といった側面が強いですが、ベトナム人の考える勤勉は「新しいスキルを身につける」「語学や技術をブラッシュアップする」といった点を重要視している、といった違いがあります。
長期計画は苦手?でも行動力とエネルギーでカバー
多くの戦争や諸外国からの統治を受け続けてきた歴史から、ベトナムでは「長中期にわたり計画を立てる」という意識が根付いていないところがあります。日本人のように「長い目で見てどうか」という視点よりも、短期的な結果を求めがちです。
その代わりに行動力やエネルギッシュさは日本人よりも優っており、おおざっぱでどんぶり勘定的な部分も大らかさとして好意的に見ることができるでしょう。
ベトナムはカカア天下の国!?女性が活躍する場も多い
ベトナムでは一般的に女性が強い「カカア天下」の国といわれています。家庭だけでなく女性の社会進出も進んでおり、
2019年の女性の就業率は東南アジアで第1位でした。管理職として働く女性も多く、職場でも家庭でもテキパキと働くベトナム人女性の姿が浮かび上がってきます。
ベトナムは朝のスタートが早い
ベトナムはビジネスの時間が朝8時からと日本より早めです。そのため、飲食店なども朝6時には開店しているところも多く、全体的に朝が早い傾向にあります。
フランス統治時代の影響かカフェが好きな人も多く、カフェや屋台をよく利用するのもベトナム人の特徴です。
まとめ
ベトナムは東南アジアにある南北に長い国で、日本と同様に勤勉で教育を重んじる反面、楽観的で中長期の計画が苦手な一面もあります。家族愛が強く向上心も強いため、日本で働く意欲にあふれる若者も多く、今後も日本との交流が盛んになると予想されます。