タイ料理に美しい仏閣、南国フルーツなど、東南アジアの楽園といったイメージのあるタイですが、宗教や通貨、言語など、聞かれてみるとわからないこともたくさんあるのではないでしょうか。ここでは、タイとはどんな国なのか、文化や習慣といった基本情報をわかりやすく解説しています。
タイの気候や通貨は? タイの基本情報
まずは、タイの基本的な情報について解説します。
ベトナムからも近い!東南アジア中部の国
タイは正式名称を「タイ王国」といい、東南アジアの中間に位置する国です。ミャンマーやラオス、カンボジアやマレーシアなどと国境を接していてベトナムとも近く、バンコクからホーチミンまでは飛行機で1時間半程度で行くことができます。
日本の1.4倍の広大な国土の中に、およそ7,000万人の人々が暮らしています。
言語は「タイ語」で英語も一部通じる
タイの公用語は「タイ語」で、地域によって一部少数民族による言語(方言)も使われています。英語によるコミュニケーションはホテルや観光地ではある程度可能ですが、庶民的な飲食店や屋台などでは日本と同様、ごく簡単な英会話でのやり取りとなります。
タイ語に慣れない人にとって、象形文字のようなタイ文字を読解したり、声の上げ下げで意味が変わる「声調」を習得するのはなかなかハードルが高いものの、片言の挨拶程度であればすぐに覚えられるでしょう。
ちなみに、挨拶は朝も夜も同じ「サワッディー」で、女性の場合は「サワッディーカー」男性は「サワッディークラップ」というのが丁寧な表現です。
また、言葉の代わりに無言で手を合わせる「ワイ」と呼ばれる挨拶もあります。
熱帯雨林気候で常夏の国
タイの気候は熱帯雨林に属しており、1年を通じて日本の夏のような気候です。平均気温は29度で、夏の時期には35度、冬でも17度程度となっています。
仏教徒が多くお寺も多い
タイの宗教は仏教で、タイ国民のおよそ95%が仏教徒です。タイの観光地の中にも有名なお寺がいくつもあり、タイ人男性は人生で一度は短期出家する習慣を持っています。
通貨は「バーツ」補助通貨は「サタン」
タイで使われる通貨の単位はバーツ(B)で、2020年3月現在、1バーツはおよそ3.4円となっています。補助通貨には「サタン」があり、100サタンで1バーツとなります。
地域によって異なるタイのグルメ
国土の広いタイでは、食べられているものも地域によって味が異なり、北部、東北部、南部でそれぞれ違った特徴を持っています。
辛いイメージのあるタイ料理ですが北部では比較的マイルドで、小皿にさまざまな料理を乗せた「カントーク」やポークカレーに似た「ゲーン・ハンレー」などが食べられています。
海に面した南部では海鮮料理の種類も豊富で、ピーナッツ入りカレーの「ゲーン・マッサマン」や、豆とエビを炒めた「パッサトーガピクン」などが挙げられます。
首都バンコクでは鶏と米をスープで炊いた「カオマンガイ」やマンゴーとココナッツミルクで炊いたお米を食べるデザート「カオニャオ・マムアン」をはじめとしたさまざまな料理が楽しめ、日本料理店もよく見かけます。
タイ人の生活って? 独特なタイ文化と習慣
次に、タイ人の生活やタイの文化について解説します。
独特の建築様式「高床式住居」
タイの中部では、水辺に建てられた家屋は高床式となっています。高床式住居はタイ族の伝統的な建築様式で、高温多湿な気候や水害の多い地域性にも対応しています。地上から床までの高さは40センチから2メートルを超えるものもあり、自然の多い地域では野獣から身を守るメリットもあるようです。
料理にはやっぱりナンプラー
タイでは、多くの料理に「ナンプラー」が使われています。ナンプラーは日本語で「魚醤(ぎょしょう)」と呼ばれるもので、魚を発酵させて作った調味料です。料理の際に使われるほか、レストランのテーブルにも置いてあり、各自お好みで使えるようになっていることもあります。タイ人にとってのナンプラーは、日本人にとっての醤油のようなものなのかもしれません。
朝ごはんは屋台で食べる
タイでは早朝から開いている屋台も多く、出勤や通学前に屋台で朝食をとる人も少なくありません。朝の屋台では「ジョーク」と呼ばれるおかゆや「パートンコー」と呼ばれる揚げパン、豆乳に似た「ナーム・タウフー」などが食べられています。
8時と18時は国歌が流れる
毎日朝の8時と夕方の18時になると、タイではスピーカーから1分間タイの国歌が流れてきます。タイ王室へ忠誠を誓う時間として、この時間に道を歩いている人は立ち止まり、作業をしている人も手を止めて、王室への敬意を表します。
国歌が流れている最中に立ち止まらないと、不敬罪で逮捕されることもあるといわれています。観光客であっても、この時間帯に遭遇したら、周囲にならって動かないようにしましょう。
タイ社会にはLGBTが自然に溶け込んでいる
タイ社会では、男女の境界にとらわれない人々、いわゆるLGBTに属する人をよく見かけます。飲食店やカフェスタンドといった接客業でも「口紅をつけているだけで、それ以外は髪形も見た目も男性」という人や「女性の服装で話し方も女性らしいが、声は男性」という人が普通に働いています。
官公庁や企業といった場で働くことはタイでも「ガラスの天井がある」とされ、まだまだ難しい現状があるようですが、それでも日本よりはずっとLGBTの人々が社会に浸透しており、ありふれた生活の中に溶け込んでいることは、タイにしばらく滞在すれば実感することでしょう。
まとめ
タイは東南アジアの中部に位置する常夏の国で、国民の9割以上が仏教徒の仏教国です。北部や中部、南部など地域によって異なるバラエティ豊かな食文化や、僧侶、タイ王室を大切に考えるところ、LGBTが自然に暮らせる環境が多い点など、敬虔でありながらゆったりとした雰囲気が大きな魅力の一つとなっています。