目次
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  1. 1. 高まる日本語教育の需要とその背景
  2. 1. 企業の国際化で増える需要
  3. 2. 専門別、業種別の需要も高まる
  4. 3. 国家資格化も検討が進む日本語教師
  5. 2. 在留外国人の増加と日本語教育需要
  6. 1. 増加する在留外国人
  7. 2. 在留外国人の多くが日本語で困っている
  8. 3. 日本語教師の需要が増えれば良い循環ができる
  9. 3. まとめ

 

 

現在日本語教師として働いている人も、これから日本語教師を目指す人にとっても、日本語教師の必要性が今後どうなっていくのかは気になるところです。「需要が高まる」「数が足りなくなる」と耳にすることはあっても、どのような背景からそういわれるのか、正確に把握している人は少ないのではないでしょうか。

ここでは、日本語教育の需要が高まるとされる背景や在留外国人の状況、日本語教師の国家資格化などについてわかりやすく解説しています。

高まる日本語教育の需要とその背景

 

日本語教育の需要は近年高まりを見せており、その傾向は今後も続くといわれています。その背景について解説します。

企業の国際化で増える需要

東京や大阪、京都など、飲食店やスーパー、小売店などで働く外国人スタッフの数は年々増えてきています。国内の少子高齢化に伴う人手不足にくわえ、東京五輪や大阪万博などで見込まれる訪日外国人観光客の増加などから、今後も外国人スタッフの受け入れは加速していくと予想されます。

それに伴い、企業側でも日本語教育を充実させ、外国人スタッフを受け入れるための態勢を整える必要があるのです。

 

 

専門別、業種別の需要も高まる

接客業やレジ、加工業といった単純労働以外に、専門的な技術を持った外国人労働者の受け入れも実施されており、EPA(経済連携協定)による看護師・介護福祉士の受け入れ制度がそれにあたります。

接客などで必要な日常会話以外に、これらの専門知識を持った日本語教師の需要が現在高まってきているのです。

今後も受け入れ制度が拡充するとともに、特定の専門分野や業種に長けた日本語教師の存在はますます必要となってくるでしょう。

国家資格化も検討が進む日本語教師

上記のような状況をふまえ、一定の能力を備えた日本語教師を多く輩出することを目的に、現在日本語教師の国家資格化が国によって検討されています。

国家資格化の背景として考えられるおもな要件には、以下のようなものが挙げられます。

・日本語教師の数を増やす:外国人スタッフの受け入れ体制を各企業が整えるにあたり、充分な日本語教師の数が現状では確保できていないためです。

・多様化に対応:介護士などの専門分野に派遣する外国人スタッフのため、専門別、業種別に配置できる日本語教師が必要となってきているからです。

 

日本語教師の国家資格は、国が日本語教師を「重要な存在」だと認めたことを意味します。日本語教育を学ぶことは国家資格に値するとなれば「日本語教師を目指す人」が増えるうえ、「日本語教師の教育能力」のキープにも役立つといえます。

 

在留外国人の増加と日本語教育需要

 

次に、日本在留外国人の状況について解説します。結論からいうと、在留外国人の現状を知れば、日本語教師の今後がかなり安泰であると説明できるでしょう。

増加する在留外国人

法務省が公開している資料内「外国人登録者数及び在留外国人数の推移」によれば、日本に在留している外国人は、平成8年から平成29年の21年間で100万人も増加しています。また、在留外国人が日本国内に占める割合も年々増えており、平成29年10月現在で2.02%と、過去最高を記録しています。国内の総人口が1%ほど減少傾向であったのに対し、在留外国人は24%近くも増えている計算となり、これが今後さらに増える見込みとなっています。

これらのデータから、在留外国人が増えていること、今後も増える見込みであることがわかります。増えている在留外国人に比例して、日本語教師の需要も増加しているといえる理由についても見てみましょう。

在留外国人の多くが日本語で困っている

横浜市政策局が平成26年に発表した「平成25年度 横浜市外国人意識調査」によると、平成25年時点で横浜市に暮らす外国人が困っていることの第1位は「日本語の不自由さ」となっており、全体の25%近くにまでのぼっています。2位の「仕事探し」が約16%、3位の「病院、診療所に外国語のできる人がいない」15%近くあることからも、「言語の不自由さ」をあらわしているともいえるでしょう。

 

引用元:横浜市政策局「平成25年度 横浜市外国人意識調査」より抜粋

日本語教師の需要が増えれば良い循環ができる

在留外国人の抱える「日本語が不自由である」という悩みと「日本語学習に対する意欲」を解決する手段として、また外国人が積極的に日本語を学び、企業が日本語教育に力を入れて外国人の受け入れ態勢を整え、診療所などに専門的な知識を持った外国人スタッフが増えるような環境を作るために、日本語教師の存在は必須となります。

日本語教師の数が増えれば在留外国人の困りごとの上位に来ている問題も解決し、日本が暮らしやすいところだと感じれば、その国からの訪日の機会も増えると予想され、良い循環が作られることになるでしょう。

 

日本語教師は、日本語教育以外に、日本の文化や日本式の礼儀、マナーなどについても折に触れて教えていくことになります。日本についての正しい知識と日本語の能力を身につけた外国人は、より日本を暮らしやすいと感じ、周辺で彼らに関わる日本人にとってもカルチャーショックのリスクを減らすことができるでしょう。日本語教師には、そうした文化の懸け橋となる役割を担うこともできるのです。

まとめ

 

在留外国人の増加にともない、日本語教師の需要は今後も高まっていくと予想することができます。看護師や介護士として働く外国人スタッフも増えてくることから、専門的な知識を持った日本語教師も必要となってきています。日本語教師の重要性は国も認めており、国家資格化も検討されているため、日本語教師の今後は安泰であるといえるでしょう。(2020年3月での情報となります)