目次
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  1. 1. 古代の日本音楽
  2. 1. 外国の音楽の輸入
  3. 2. 時代ごとの特徴
  4. 2. 中世の日本音楽
  5. 1. 琵琶楽(びわがく):琵琶を用いる音楽の総称について
  6. 2. 中世の日本音楽の特徴
  7. 3. 近代・現代の日本音楽
  8. 1. 西洋音楽が輸入したことで、日本の音楽はどう変わっていったのか
  9. 2. 「邦楽」の由来とは
  10. 4. まとめ

 

日本の音楽というと、どのようなイメージがあるでしょうか?最近流行している国内アーティストのヒット曲を思い浮かべる方もいれば、雅楽のような古式ゆかしい音楽を思い浮かべる方もいるかもしれません。

こちらでは、日本の「古代」「中世」「近代・現代」の音楽の歴史や伝統、特徴についてご紹介していきます。

 

 

古代の日本音楽

 

では、まず、古代の日本音楽から見ていきましょう。私たちのはるか遠い祖先の人々は、どのような音楽を奏でたり、聞いたりしていたのでしょうか?

 

外国の音楽の輸入

日本は大和政権を迎えたあたりから、中国や朝鮮半島との結びつきが見られるようになってきます。外国の音楽が日本に伝来したといわれているのも、ちょうどその頃。はじめに朝鮮の音楽、次いで中国の音楽が日本に伝来したといわれています。

 

時代ごとの特徴

次に、古代の日本音楽の特徴を大まかな時代ごとにご紹介しましょう。

女帝として知られている7世紀の推古天皇の時代には百済から伎楽が、続く8世紀には現在のヴェトナム南部の音楽である林邑楽(りんゆうがく)が伝来。平安時代初期に入ると、中国から渤海楽が伝来しています。

これらの音楽は、伎楽を除いて宮廷などで演奏される雅楽として伝承されてきました。

また、平安時代からは外国の音楽により近い「平安朝の新作の歌曲」が見られるようになります。平安時代中期に入ると、今様と呼ばれる歌曲が登場。今様は平安時代末期に大流行し、白拍子などの中にも今様の名手が多くいたようです。

 

 

中世の日本音楽

 

今度は、中世の日本音楽について見ていきましょう。

 

琵琶楽(びわがく):琵琶を用いる音楽の総称について

中世に入ると琵琶を用いた琵琶楽が登場します。琵琶楽とは、琵琶を楽器として用いた音楽や語り物などの総称。主な琵琶楽としては、盲僧琵琶・平家琵琶・筑前琵琶・薩摩琵琶などが挙げられます。

 

中世の日本音楽の特徴

中世の日本音楽としては、平曲、謡曲、能、歌舞伎踊などがあります。

 

平曲とは、平家琵琶を伴奏にしながら『平家物語』を語る音曲であり、諸国を流浪する僧形の盲人たちによって広められていきました。

謡曲とは、中世・室町時代に登場したもの。世阿弥が、能楽の詞章を音楽としての立場から見て言ったのが謡曲です。

 

能の中でも、中世の音楽として名高いのは、猿楽能と田楽能。田楽とは、文字通り田植行事としての田舞と中国から伝来した曲芸的なものが組み合わさったものだといわれています。これに対して、猿楽能とは現在の能楽の別名ともいえる存在であり、猿楽(滑稽なものまね芸のこと)に白拍子の舞や今様などを組み合わせて完成したものなのです。

 

歌舞伎踊は中世末期に登場。日本史にも登場する出雲阿国は、この歌舞伎踊の名手です。歌舞伎踊とは、それまでの念仏踊をさらに歌舞伎舞踊化したものであったといわれています。

 

 

近代・現代の日本音楽

 

最後にご紹介するのは、近代・現代の日本音楽です。

 

西洋音楽が輸入したことで、日本の音楽はどう変わっていったのか

中世までは、海外といっても同じアジア方面の影響を色濃く受けていた日本音楽。しかし、明治の文明開化以降は、ヨーロッパを中心とした西洋音楽が日本に入ってくるようになりました。それに伴って、日本の音楽教育も、ヨーロッパのクラシック音楽をベースにして行われるようになったのです。

それまでは日本音楽といえば地声で歌う浪曲や義太夫などがほとんどでしたが、西洋音楽において地声は美しくないとされていることもあって、状況は大きく変化していくことになりました。

しかし、第二次世界大戦後は、西洋と日本の音楽をミックスした音楽が見られるようになっていきます。

この音楽が、「現代邦楽」と呼ばれているスタイルです。

 

「邦楽」の由来とは

「邦楽」とは、大まかにいえば日本の伝統音楽のこと。「邦楽」の種類は非常に多岐にわたっており、多くの音楽辞典では「北海道のアイヌ民族の音楽と、沖縄の音楽を除いた日本の音楽の総称」とされています。

明治時代以降、一時期は西洋音楽が主流になっていたことから、「邦楽」は人々から遠い存在となりました。

しかし、「現代邦楽」ブームや1990年代以降の「邦楽ニューウェーブ」によって、再び「邦楽」に注目が集まるようになったのです。

2002年度からは、中学校の音楽授業において和楽器を教えることが義務付けられるようになるなど、日本の音楽教育方針も大きく変化したといえるでしょう。

 

 

まとめ

古代、中世、近代・現代、それぞれの時代において、日本音楽の姿は大きく異なります。古代は、主に朝鮮半島や中国、ヴェトナムなどの音楽が伝来し、日本の雅楽が形作られていきました。中世になると、琵琶を用いた琵琶楽が登場し、僧形の盲人などによって諸国に平家物語をはじめとした語り物が広がっていきます。また、現在とは形は異なるものの、能や歌舞伎踊などが登場するのもこの頃です。

近代・現代になると、今度はヨーロッパなどから入ってきた西洋音楽によって、日本音楽を取り巻く環境は大きく変化します。一時期は広い意味での「邦楽」はすっかり姿をひそめてしまいますが、時代の流れとともに再び注目されるようになりました。

歴史的に見ても西洋・東洋どちらの影響も色濃く受けている日本音楽を深く知ることは、日本語教師となったときにも、きっと役に立つはずです!