目次
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  1. 1. 和食にはどんな種類があるのか
  2. 1. 公家による大饗料理
  3. 2. 禅宗の僧が広めた精進料理
  4. 3. 武士のもてなし本膳料理
  5. 4. 千利休のこだわりが懐石料理
  6. 2. 和食の特徴
  7. 1. 多様で新鮮な食材と素材を活かす調理
  8. 2. バランスが良く、健康的な食生活
  9. 3. 旬の食材と四季の美しさの表現
  10. 4. 年中行事と料理との関わり
  11. 3. 和食がユネスコ無形文化遺産に登録
  12. 4. まとめ

 

ユネスコの無形文化遺産にも登録され、ヘルシーフードとして世界的にも評価の高い「和食」。

海外でも多くの方が和食に高い関心を持っています。

和食に関してしっかり理解しておくと、質問されたときや意見を求められたときに慌てないで済みます。

 

ここでは、日本の伝統的な食文化である和食について解説します。

もしものときのためにも、和食の種類・特徴をしっかり理解しておきましょう。

 

 

和食にはどんな種類があるのか

 

一口に和食と言っても、いくつか種類があります。まずは基本の4つをご紹介します。

 

公家による大饗料理

平安時代に、公家が客人をおもてなしするために誕生したのが大饗料理です。

中国の影響が大きく、ひとつの卓にすべての料理の皿が置かれ、皿数は偶数と決められています。

 

禅宗の僧が広めた精進料理

野菜や豆・穀物・海藻など、植物性食品のみを使った料理が精進料理です。平安・鎌倉時代に、禅宗の僧が中国で学んできた宗教観が元になっています。

殺生を禁じる教えから肉食はせず、粗食という禅宗の修行の意味もあるようです。

現在にも受け継がれている大豆の多彩な加工技術は、タンパク質摂取のために試行錯誤して作り出された、この精進料理が発達させたと言えます。

 

武士のもてなし本膳料理

室町時代に誕生した、武家が客人をおもてなしするための本膳料理は、大饗料理の儀式的要素やおもてなしに、精進料理の技術を取り入れて生まれました。

料理をそれぞれ膳に乗せて一席に提供される点は、日本料理の原型と言えるでしょう。

 

料理の部の前には式三献という酒の部があり、その後の料理の部でもお酒は供されます。

本膳料理は、本来、作法が非常に厳しく、儀式的要素の強い料理です。

能・狂言を鑑賞しながら行われることも多く、一晩中続くことも珍しくなかったようです。

 

本膳料理は明治以降に廃れていき、室町時代通りの形式を現代で見ることはなくなりました。

映画・ドラマで、戦国武将が能や狂言を楽しみながら酒宴をしているのを見たことがありませんか?その酒宴こそ本膳料理です。

 

千利休のこだわりが懐石料理

安土桃山時代に誕生したのが懐石料理で、茶道でお茶を飲む前の軽い食事です。

ご飯・吸い物から出され、最後は菓子。一皿ずつ提供され、多くて5人程度で行われます。

わびさびを重んじた千利休が、それまでの茶の湯から酒宴の要素を取り除いたものがはじまりです。

 

 

和食の特徴

 

次に、ぜひ海外の方にも知ってもらいたい、和食ならではの特徴を確認しておきましょう。

 

多様で新鮮な食材と素材を活かす調理

日本には四季があり、国土は南北に長く海・山に恵まれ、各地でその地形や気候に合った食材が収穫可能で、その食材に合わせて素材を活かす調理器具や調理法がとても発達しています。

味噌・醤油・納豆・ぬか漬け・日本酒などの発酵食品が多彩なのも大きな特徴です。

 

バランスが良く、健康的な食生活

だしによる「旨味」を上手に使い、動物性油脂を過剰に摂取しない食生活が和食の文化です。

先進国の中でも肥満に悩まされる割合は非常に少なく、世界で一番の長寿大国となっているのは、和食文化も関係していると言っても良いでしょう。

 

旬の食材と四季の美しさの表現

四季折々の素材を楽しむのも、日本に住んでいればごく自然のこと。

素材以外にも、季節の葉や花で料理の飾り付けをする他、季節に合わせた食器や調度品を使い、思う存分その季節を味わいながら食事を楽しむのは和食独自の文化でしょう。

 

年中行事と料理との関わり

日本における食文化は、年中行事と強く結びついています。

おせち料理に七草粥、節分には豆まき、桃の節句にはちらし寿司を楽しみますよね。

春には花見団子、端午の節句には柏餅やちまき、土用の丑の日はうなぎ、彼岸にはおはぎやぼたもち。

お月見にはお団子、大晦日は年越しそばと、日本では食べ物と年中行事が密接につながって各々の思い出を作っています。

 

和食がユネスコ無形文化遺産に登録

 

2013年、「和食」はユネスコ無形文化遺産に登録されました。

これは、日本の特定の和食の品目に対してではなく、日本人の自然を尊重する精神や社会的習慣を体現する和食全体の文化として「和食」の登録が認められました。

 

現代の日本では、前項で述べたような和食の文化が薄くなりつつあります。

忙しい日が続くと、テイクアウトや外食を利用する日が増えてしまうことや、昆布や鰹節でだしを取るのは手間がかかることもあり、家庭で和食の登場回数が減っていると感じている人も多いはずです。

便利なのはすばらしいことですが、少し寂しさも感じます。

 

ユネスコ無形文化遺産は、文化を守り保護することが目的です。

和食のユネスコ無形文化遺産登録で、私たち日本人は和食文化を守る必要があることを、あらためて理解しなければならないのかもしれません。

 

 

まとめ

和食は歴史とともに発展し、公家のおもてなし「大饗料理」、禅宗の僧による「精進料理」、武士のおもてなし「本膳料理」、茶の湯の「懐石料理」などが誕生しました。

和食は日本の四季・国土を反映した多彩な食材と調理が大きな特徴。バランスが良くヘルシーなのは、肥満や短命の悩みが少ないことが証明しています。

四季折々の美しさを食卓に表現するのも和食のすばらしさ。また、お正月や節句といった年中行事と和食は密接に関係しています。

2013年に和食はユネスコの無形文化遺産に登録されました。私たちはあらためて和食のすばらしさを認識し、この文化をしっかり守っていかなければいけないのです。