かつて 漫画やアニメは、“子供の遊び”という認識が当たり前だった時代がありました。ですが今日において、漫画やアニメを“子供の遊び”と決めつける人はあまり多くありません。人々の認識を変えた要因は決して一つではないでしょうが、日本が生んだ多くの名作漫画やアニメが大きな力となったことは間違いないでしょう。
大人も楽しめる重厚なストーリー、様々な背景をもつ登場人物たち。彼らの台詞は、漫画のなかのものでありながら、ときに私たちが生きる上でも大切なことを教えてくれます。
そこで今回は、日本が生んだ数々の名作漫画・アニメのなかから、選りすぐりの名言をピックアップ。その名言の背景とあわせてご紹介します。
海外で人気の日本漫画・アニメ名言集
以下からは海外で人気の漫画・アニメから10作品を選び、その名言をご紹介します。なお、台詞の解説には一部物語のネタバレを含む場合がありますのでご注意ください。
ドラゴンボール
◇原作：鳥山明
出版社：集英社
＜孫悟空の名言＞
「落ちこぼれだって 必死で努力すりゃエリートを超える ことがあるかもよ」
地球に襲来したベジータから「下級戦士」とののしられた際、主人公である悟空が切り返した言葉です。生まれながらにして天才であり、エリートと呼ばれたベジータとは対照的に努力を積み重ねることで強くなっていった悟空は、作品中度重なる脅威から何度も地球を救います。悟空のように、いつでも努力することに対して前向きな姿勢でいたいものですね。
進撃の巨人
原作：諫山創
出版社：講談社
＜ミカサ・アッカーマンの名言＞
「私はもう…諦めない。二度と諦めない……
死んでしまったらもう……あなたのことを思い出すことさえできない
だから――何としてでも勝つ！
何としてでも生きる！！」
巨人の前で装置のガス切れによって動けなくなり、一度は生きることを放棄したミカサ。幼い頃エレンに言われた「戦え！」という言葉を思い出し、再び戦いに転じようと発起した際のモノローグです。巨人という死の脅威と常に隣り合わせの状況下で、それでも生きようと足掻く人間の力強さを感じる台詞です。
ONE PIECE
原作：尾田栄一郎
出版社：集英社
＜ハグワール・D・サウロの名言＞
「海は広いんだで……いつか必ず！！！ お前を守ってくれる“仲間”が現れる！！！
この世に生まれて 一人ぼっちなんて事は 絶対にないんだで！！！！」
考古学の聖地であるオハラが襲撃を受け、この地に留まっていては命がないという状況のなか、サウロはまだ幼いロビンとともに逃げることになります。しかし逃げる途中、敵の攻撃によりサウロは逃げることが叶わないことを悟ります。ロビン一人でも逃がそうとするサウロと、「逃げる先の海にはだれもいない」と一人で逃げることを拒むロビン。サウロから離れようとしないロビンに向けてサウロが発した叱咤激励の言葉がこの名言です。
現実世界においても、今の世界から飛び出すには怖さが伴うものですが、このサウロの言葉は、そんな私たちにも一歩を踏み出す勇気を与えてくれます。
NARUTO -ナルト-
原作：岸本斉史
出版社：集英社
＜うずまきナルトの名言＞
「後悔したくねーんだ…
やっときゃ よかったってよ！！！」
十尾の最終形態“神樹”によってチャクラを吸収され忍達に絶望が広がるなか、サスケの言葉に焚き付けられたナルト。 “神樹”を倒すべく再び奮起するシーンでの独白です。ナルトの頭に思い浮かぶのは、これまでの数々の別れと後悔。「後悔はしたくない」というその思いがナルトを再び立ち上がらせます。
何かを選択する場面になったとき、常に最善の選択ができるとは限りません。ですが、ナルトのようにやらなかったことをいつか後悔しないためにも、目の前の問題に向き合う姿勢を持ちたいものですね。
僕のヒーローアカデミア
原作：堀越耕平
出版社：集英社
＜緑谷出久の名言＞
「目の前の…小さな女の子一人救えないでーー
皆を救（たす）けるヒーローになれるかよ！！！」
デクが囚われていた少女エリを助け出した後、再びエリを奪い返そうと襲ってきた治崎廻にとどめの一撃を放つ際に叫んだ台詞です。
生まれつき無個性でありながら、ヒーローオタクでもあるデクが示した「ヒーローとは？」の答えが、この台詞に込められていると言えるでしょう。ヒーローは世界の平和を守るものと思われがちですが、自らの手が届く範囲の人を助けて笑顔にすることこそが、真のヒーローなのかもしれませんね。
鬼滅の刃
原作：吾峠呼世晴
出版社：集英社
＜竈門炭次郎の名言＞
「頑張れ！！ 頑張ることしかできないんだから 俺は昔から
努力は日々の積み重ねだ 少しづつでいい 前に進め！！」
那多蜘蛛山での激戦後、療養と訓練を兼ねて蝶屋敷に連れてこられた炭次郎が、全集中の呼吸の特訓を行おうとする際の独白です。満身創痍で弱音を吐きそうになりながらも自らを鼓舞する炭次郎。禰豆子を救うため、厳しい修行に向き合う確固たる決意が伝わってきます。
何も持っていないと自身の能力を嘆くのではなく、少しずつでも努力をすることで着実に前に進んでいく。炭次郎の姿勢は、私たちに大切なものを教えてくれます。
鋼の錬金術師
原作：荒川弘
出版社：スクウェア・エニックス
＜エドワード・エルリックの名言＞
「立って歩け 前へ進め
あんたには立派な足がついてるじゃないか」
死んだ恋人を生き返らせようとするも、願いが叶わず悲嘆に暮れる少女。「これからどうすればいいのか」と嘆く少女に主人公であるエドが向けた言葉です。
励ましの言葉として十分にかっこ良い台詞ですが、これが名言足りえるのは、何よりエドが放った言葉であるという点でしょう。この物語の主人公エドは、死んだ母親を生き返らせるべく錬金術を試みた結果、その代償として左足と弟の肉体を失っています。自身の身体を取り戻すべく旅を続けるエドが放った言葉だからこそ、この言葉には深い重みを感じます。
銀魂
原作：空知英秋
出版社：集英社
＜坂田銀時の名言＞
「皮肉なもんだな
ホントに大事なモンってのは
もってる奴より
もってねー奴の方がしってるもんさ」
娘である神楽を拉致したエイリアンの撃破後、父親として思い悩む星海坊主に言った銀時の台詞です。
当然のように存在するものは決して当たり前ではなくかけがえのないものですが、そのことに気付くのはそれを失ってから。幼少期に家族がおらず、師であり父親代わりでもあった吉田松陽をも失った銀時だからこそ言える言葉なのかもしれませんね。
美少女戦士セーラームーン
原作：武内直子
出版社：講談社
＜セーラープルートの名言＞
「遠くから そっと 思うだけの
見守る 愛のかたちだって あるの」
キング・エンディミオンに密かに憧れを寄せていたプルートが、その思いを間接的にちびうさに打ち明けたときの言葉です。時空の扉を守るという使命により扉から離れることができなかったプルートにとって、それでも思いだけは届いてほしいという願いを感じます。愛のかたちは様々ですが、プルートのような慈しみの心を持ちたいものですね。
3月のライオン
原作：羽海野チカ
出版社：白泉社
＜林田先生の名言＞
「一人じゃどうにもならなくなったら 誰かに頼れ
――でないと実は
誰も お前にも 頼れないんだ」
将棋の試合に専念したために留年になりかけた零は、先輩や先生の協力のおかげで課題の提出まで何とか漕ぎつけます。その際、担任の林田先生が主人公・零に言った台詞です。
家族を失い、父の友人の家に居候する零は、周りへの迷惑を人一倍気にする繊細さを持っています。そんな彼に対して林田先生が伝えたかったことは、決して課題に対してのアドバイスではないでしょう。
問題を抱え込んだとき、中々人に相談できず悩む人は多くいます。ですが、林田先生が言うように、周りに頼る勇気がなければ、同じように問題を抱えた人を救うことはできないのかもしれません。
まとめ
作品ごとに置かれている環境や状況、過去の出来事などは様々ですが、どのキャラクターにも共通して言えるのは一貫した信念を持ち、行動に移しているところではないでしょうか。このことがキャラクターをより魅力的なものにし、読者の心を引き付け、発せられた台詞が心に響く名言となっているのかもしれません。
今回紹介した名言で気になる作品があった方や、久しぶりに読んでみたい・見てみたいと思った方は、ぜひ作品を手に取ってみてください。物語の背景や登場人物を深く知ることで、より深く名言の魅力を感じるはずです。
また、今回紹介した名言以外にも、まだまだ日本にはたくさんの名作漫画・アニメの名言があります。ぜひ色々な作品に触れて名言を探してみてくださいね。
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