2月初めの行事として、近年は全国的におこなわれるようになった節分ですが、その意味や由来について知っている人は少ないのではないでしょうか。
ここでは、節分の由来や豆まきの目的、恵方巻以外に食べられる節分の食べ物など、普段はあまりクローズアップされない節分のアレコレについて解説します。
節分の概要と由来は?
はじめに、節分の概要と由来について解説していきます。
節分はいつ?
節分は「2月3日」と覚えている方も多いかもしれませんが、実は必ずしも2月3日であるとは限らないのをご存じでしょうか。2月の節分は「立春の前日」とさだめられており、立春は年によって変わることがあるため、2月2日や2月4日になる場合もあるのです。
立春とは「二十四節季」の1つで「春のはじまり」をあらわします。二十四節季とは「春」「夏」「秋」「冬」の四季のうち、各季節を6つの節目に分けたもので、春の中では立春の次に「雨水(うすい)」「啓蟄(けいちつ)」などの節目があります。ほかに「立夏」「立秋」「立冬」もあるため、厳密にいうと節分は年に4回あることになります。
4つの節分の中でも、立春前の節分が特に重んじられるのは、昔の旧暦と季節の考え方が関係しています。1月を「新春」というように、昔は春が新しい年のはじまりとされていました。旧暦の1月は現在の2月にあたり、新しい年へと切り替わる2月の節分が大切であると考えられたようです。
節分の由来
立春は、節目のうえでは冬から春へと季節が変わる日となります。古来より、季節の変わり目にはいつもと違うことが起こったり、予期せぬ出来事に見舞われたりしやすいとされてきました。
そこで、立春となる前日に悪いものを追い払い、幸運が舞い込むようにと願って節分の行事がおこなわれるようになっていきました。節分のはじまりは平安時代や室町時代など諸説ありますが、日本に古くからある伝統的な行事の1つとなっています。
豆まきの目的と正しいやり方
次に、節分におこなわれる豆まきの目的と、正しいやり方について解説します。
豆まきの目的
豆まきをする際に「鬼は外、福は内」と言うのを耳にしたことがある人も多いでしょう。節分の豆まきは、鬼を外へ払い、福を家内へ呼び込むことを目的としています。
「鬼」と聞くと、桃太郎などの昔話に出てくる、角の生えた架空の生き物に豆をぶつけて退治するようなイメージですが、昔は病気や不幸といった災い招くのが鬼だと考えられており、豆は鬼退治というよりも、邪気を払う目的でまいていたようです。
現代の節分では豆をまきますが、もともとは米など他の穀物も使われていました。五穀豊穣が幸せの象徴であるように、穀物をまくと幸せが訪れると考えられていたことにくわえ、古くからの言い伝えとして「毘沙門天が鬼の目に豆を投げて退治した」とされる逸話もあります。穀物の中でも特に豆が選ばれるようになるとともに、現代のような鬼退治のイメージも定着していったようです。
ちなみに、幼稚園などで子どもたちと豆まきをする際には「心の中の意地悪な気持ちや苦しい気持ち、わがままな気持ちなど、心の中にある鬼を追い払いましょう」のように説明されることもあります。
豆まきの正しいやり方
節分の豆まきには「福豆」と呼ばれる、炒った大豆を使います。「豆を炒る」が「魔目を射る」と似ていることから、炒った豆は縁起が良いとされているためですが、地域によっては落花生をまく場合もあります。
豆まきのやり方については、地域によって細かな違いもあるため、ごく基本的な巻き方についてご紹介します。
- 福豆を用意する
- 豆をまく人を決める
- 家の内側から外に向かって「鬼は外」と言いながら豆をまく
- 家の外側から内側に向かって「福は内」と言いながら豆をまく
鬼のお面がある場合は、家族で鬼役をする人を決めても良いでしょう。片づけや処分がしやすいように、豆の代わりに紙を小さく丸めたものを使い、豆は食べるためだけに用意する場合もあるようです。豆を食べる場合には、自分の年の数に1つ足した数を食べるのが良いとされています。
節分の食べ物
節分の日には、豆以外にも節分の日になると食べられるものがあります。以下にそれぞれの食べ物と、節分に食べる意味について解説します。
恵方巻
節分に食べられる太巻き寿司「恵方巻」は、関西を中心に食べられていましたが、今では全国に定着しつつあります。「縁を切る」に通じないよう、一本巻きに巻いた恵方巻を、その年の恵方(縁起が良いとされる方角)を向き、無言で1本食べきるのが正しい作法とされています。無言で食べるのは「話すと運が逃げていく」と考えられていたことに由来するようです。
こんにゃく
こんにゃくは「体の中を綺麗にする食べ物」として、1年の節目に食べる風習を持つ地域もあります。節分にもこんにゃくを食べ、体の中にある悪いものを出す目的で食べられます。
イワシ
焼くと強い匂いのするイワシは、焼いて食べた後の頭を柊の葉に刺し、玄関へ飾ると鬼が嫌がって入ってこないと信じられていました。
都会やマンションなどでは見かけることも少なくなりましたが、頭は飾らなくてもイワシのフライやオイルサーディンなどを食べる場合もあるようです。
そば
「年越しそば」は、新年を迎える前の日に食べられていますが、もともと「旧暦の立春前日」、つまり節分の日が大晦日だったため、現在でも節分にそばを食べることがあります。
けんちん汁
神奈川県鎌倉市にある建長寺のお坊さんが作っていたのがはじまりだとされるけんちん汁。縁起の良い食べ物として、節分にけんちん汁を食べる地域もあります。
くじら
大きな生き物の肉を食べるのも縁起の良いこととして、山陰地方などでは節分にくじらが食べられる風習があるようです。
まとめ
節分は、旧暦の立春が新年であったため、その前の日に邪気を払う目的ではじまったのが由来とされており、現在の大晦日のような日であったといわれています。年の変わり目に邪気を払い、1年の無病息災を願う行事として豆まきをおこなったり、恵方巻やイワシを食べる風習が今も残っているのです。次の節分の際には、ぜひ本記事で学んだ知識を他の方にも教えてあげて、節分をより深く楽しんでみてくださいね。