目次
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  1. 1. 日本人にとっての桜とは?
  2. 1. 日本人はいつから桜好き?
  3. 2. 桜が日本人にとって特別な理由
  4. 2. 日本が誇る三大桜
  5. 1. なぜ三大桜と呼ばれる?
  6. 2. 三春滝桜
  7. 3. 山高神代桜
  8. 4. 根尾谷淡墨桜
  9. 3. まとめ

日本人にとっての桜とは?

 

日本人にとって桜とはどういう花なのか、日本人と桜の関係について掘り下げます。

 

日本人はいつから桜好き?

日本人が桜を愛でていた記録は多く残っており、古くは古事記にも桜の花にたとえた女神が登場しています。万葉集では、はっきりと「春を象徴する花」として桜が数多く描かれており、万葉集が編まれた奈良時代には、すでに桜を愛する気持ちが日本人の心に形づくられていたことがわかります。

旧暦を使用していた時代には、新しい1年のはじまりは春とともに訪れていました。そのため、当初のお花見は桜よりも早い時期に開花する梅の花を愛でていたものが、中国から桜が伝わってきたことにより、平安時代以降次第に桜を見る風習へと変わっていったとされています。

はじめて桜の花見をしたのも、平安時代の天皇である嵯峨天皇であったといわれています。天皇主催の花見が毎年開催されるようになったことも、貴族から庶民へと花見の文化が浸透していくきっかけとなった理由の1つに数えられるでしょう。

桜が日本人にとって特別な理由

桜と同じように、中国から伝わって定着した春の花はほかにもあります。その中でなぜ、桜だけが日本中で愛されるようになったのかについては諸説ありますが、おおむね以下のような理由ではないかと考えられています。

 

・見た目の愛らしさ、美しさ

薄く小さな花びらや、可憐な薄いピンク色など、純粋に桜の花が持つ美しさに心惹かれた日本人が多かったのは、大きな理由の1つといえるでしょう。

・生死の象徴としての崇拝

桜の木自体の寿命は長く、品種によっては100年以上を誇るものもありますが、桜の花はごく短命です。春の間でもほんの短い期間だけに咲き誇り、風と共に薄い花びらはさらさらと散っていくため、見ごろは半月もありません。

美しい桜の花が一瞬咲き乱れ、はかなく散っていくようすを見た古来の人々が、桜によって死生観に思いを馳せたり「神聖なもの、神を思わせるもの」として、桜を崇拝の対象にしたりしていたと考えるのは、難しいことではないでしょう。

・開花時期の待ち遠しさ

現在でも、春のお花見シーズンが近づいてくると「桜の開花予想」が全国で報じられ、いつが見ごろとなるかが注目の的となります。

今より天気予報の発達していなかった時代においても、桜の木がピンクに色づき、花のつぼみがつきはじめると「いつ満開になるのか」と待ち遠しい気持ちで桜を見守った人々も多かったことでしょう。

冬から春への移り変わりは、農耕のはじまりや冬の寒さにこごえる日々の終わりを意味します。こうした期待が、春の訪れを告げる桜の美しさを一層盛り上げる後押しとなっていたとも考えられます。

 

日本が誇る三大桜

 

日本が誇る「三大桜」の姿が楽しめる名所を3つご紹介します。桜の種類や特徴にくわえ、見どころについても解説していますので、お花見の候補地を考える際の参考にしてみてください。

 

なぜ三大桜と呼ばれる?

日本には数多くの桜並木やお花見の名所がありますが、その中でも福島にある「三春滝桜」、山梨の「山高神代桜」、岐阜の「根尾谷淡墨桜」は、日本の「三大桜」といわれています。

三大桜は、大正時代に制定された史跡名勝の中から選出されており、天然記念物にも指定されています。樹齢の長いものや木が大きいもの、景観としての美しさなどから有名となっているものです。

三大桜のほかに、静岡の「狩宿下馬桜」、埼玉の「石戸蒲桜」を合わせて「五大桜」と呼ぶこともあり、いずれの場所も見事な桜が楽しめる名所となっています。

今回は三大桜について、以下でさらにくわしくご紹介していきます。

三春滝桜

福島県田村郡にある三春滝桜は、樹齢1,000年以上ともいわれる大変大きな桜で、品種は「ベニシダレザクラ」です。13メートル以上の高さを誇り、四方に張った枝もほぼ10メートルを超えています。日本最古の桜としても有名で、大きさや寿命の長さだけでなく、見るものを圧倒する美しさも兼ね備えている桜です。

4月中旬から下旬頃に見ごろを迎え、シーズン中には夜間のライトアップなどもおこなわれ、三春滝桜の近くには3,000本以上の桜が楽しめる「さくらの公園」もあるため、桜が満喫できる名所ともなっています。「三春」の由来は「梅・桃・桜の3つの花が同時に咲き誇る」「御春から来ている」など諸説ありますが、昔から春の花の美しさが見どころとなっていた証のような町名だといえます。

所在地:福島県田村郡三春町大字滝字桜久保地内

山高神代桜

山梨県北杜市武川町にある山高神代桜は、三大桜の中でもっとも寿命の長い古木とされており、その樹齢は2,000年以上といわれています。桜の種類は「エドヒガンザクラ」で、国の天然記念物第1号に指定されているほか、新日本名木百選にも選ばれている名木の桜です。

山高神代桜は、その樹齢の長さから「ヤマトタケルノミコトが植えた桜」といわれるほどで、ほかにも数々の伝説を持っています。高さは10メートルを超え、東西に張り出した17メートル以上の枝は圧巻の見ごたえ。例年4月初旬頃には見ごろを迎え、周辺にもたくさんの桜や、同じ時期に水仙の花も見ごろを迎えるなど、美しい景色が楽しめます。

所在地:北杜市武川町山高

根尾谷淡墨桜

岐阜県本巣市にある「根尾谷淡墨桜」は、「淡墨」と書いて「うすずみ」と読み、時期によって花の色が白からピンク、淡墨色へと変化していく珍しい桜です。樹齢も推定1,500年以上といわれており、ほかの三大桜に引けを取らない高さや枝ぶりを誇っています。見ごろは4月初旬頃で、淡墨桜近くにある「淡墨公園」に咲く多くのソメイヨシノも同じ時期に開花を迎えます。

所在地:岐阜県本巣市根尾板所字上段

 

まとめ

 

日本人は古来より桜の美しさ、可憐さに心惹かれ、また春の訪れを告げる神や精霊が宿る存在と考えられたり、はかなく散ってゆく命の短さから死生観を考えたりする対象となってきました。その中でも、樹齢の長いものや枝ぶりの見事なものは「三大桜」として特に大切にされており、天然記念物や史跡名勝として国からも守られています。