日本人にとっては日常的な挨拶も、海外へ行くとやり方が違って驚くことがあります。海外から日本へやって来た人も、同じように日本の挨拶に驚いたり、日本らしさを感じて興味を持ったりしているのかもしれません。たとえば「日本人はなぜお辞儀をするの?」と聞かれても、自信を持って説明できる人は少ないのではないでしょうか。 ここでは、日本で日常的に使われている挨拶の種類と、その意味や起源などについてわかりやすく解説しています。海外の挨拶についても紹介していますので、グローバルな場で交流を深めるツールとして役立ててください。
日本人にとっての挨拶とは?
まずは、日本人が日常的にしている挨拶が持つ意味について再確認していきましょう。
日本人にとっての挨拶の意味
一般的に、「挨拶を交わす場面」と聞いて想像するのは、出会いと別れのタイミングではないでしょうか。職場なら朝の出社時や帰り際に、家庭では朝起きたときや出かけるとき、近所の人なら出会い頭と立ち話をして別れるときなどに、人は挨拶を交わします。
これは日本に限ったことではなく、世界でもほぼ同じです。ただし、その他の国に比べると、日本人にとっての挨拶は「礼儀」や「ねぎらい」といった側面が強い傾向にあるようです。
礼儀やねぎらいの気持ちを重んじる日本人。その代表的な挨拶として挙げられるのが、次に解説する「お辞儀」です。
日本人の挨拶は基本的にお辞儀をする
相手に頭を下げる「お辞儀」の文化は、もともとは中国から仏教とともに日本へ伝わったとされています。ひと言に「お辞儀」といっても、いくつかの種類があり、主に以下のように分けられます。
「会釈」:立礼(立ったままおこなうお辞儀)で体を15度の角度に軽く傾ける、一般的なお辞儀です。会社の同僚や親族など、比較的親しい間柄同士で、挨拶の言葉とともに使われます。
「浅礼」:浅礼は、座礼(座ってするお辞儀)の際に使われます。そこまで大げさでなく敬意を表すお辞儀で、正座の状態から1秒かけて体を30度に傾け、手は膝の前にすべらせて1秒静止し、2秒かけてゆっくりと顔を上げます。
「敬礼」:立礼で体を30度に傾ける、会釈よりもフォーマルなお辞儀です。お客様や初対面の人に対して、または深い感謝や歓迎の気持ちを表す際に使われます。
「最敬礼」:立礼で体を45度に傾ける、とても深いお辞儀です。重役や重要な顧客、尊敬する人などに対して使われます。お辞儀をする時間は「三息(吸って吐いて吸う)」が基本とされていますが、深いお詫びや尊敬の気持ちを表す際には4秒、5秒以上など、頭を下げる時間を長めに取ることが多いようです。
お辞儀することの歴史と意味
お辞儀が中国から日本へ伝わったのは、仏教が広まった500年から800年頃のことといわれています。当初は相手へ頭を下げて首を見せる姿勢を取ることで、攻撃の意志や敵意がないこと表していたとされています。ちなみに中国でもお辞儀は使われますが、日本の会釈のように頻繁におこなわれることはなく、会釈であっても最敬礼されているように感じる人が多いようです。
日本の代表的な挨拶の語源・起源とは?
次に、日本語で使われている代表的な挨拶の意味について解説します。
「おはよう」
朝の挨拶として使われる「おはよう」は「お早うございます」を略した言葉です。自分よりも先に出てきている人に対するねぎらいの気持ちが込められています。
「こんにちは」「こんばんは」
「こんにちは」を漢字にすると「今日は」となり、「こんばんは」は「今晩は」となります。この後には「ご機嫌いかがですか」という言葉が略されており、日中や夜に相手の調子を伺う気持ちが添えられた挨拶です。
「ありがとう」
感謝を表す「ありがとう」は「ありがとうございます」を略した言葉です。漢字で書くと「有難う」となり、「有るのが難しい」「滅多にあることではない」という意味合いを持っています。
「さようなら」
別れるときに使う「さようなら」は、「然様なら」という漢字が当てはまるとされています。「それであれば」という意味があり、その後に「お別れですね」という言葉が略されている挨拶です。
海外が驚く日本特有の挨拶
「おはよう」や「ありがとう」といった挨拶は海外でもそれぞれの国の言語で使われますが、食事の前後に使う「いただきます」と「ごちそうさま」は、日本ならではの言葉です。
「いただきます」には「命をいただく」という感謝が、「ご馳走さま」には食事の準備にあちこち走ってくれたことへの感謝が表されています。
海外では、このような食事の前後に使う決まった挨拶がない国も多く、日本の「いただきます」「ごちそうさま」を聞くと不思議に感じたり、驚いたりする人も多いのです。
国によって多種多様な挨拶
最後に、海外の挨拶事情についても見てみましょう。
日本人のお辞儀に対して海外では握手が主
海外の多くの国では、日本のお辞儀に代わる挨拶として「握手」をするのが一般的です。男性同士や女性同士など、同性間の握手は日本とほとんど変わりませんが、異性間での握手の場合、レディファーストが根付いている欧米では女性から手を出すまで男性は待つのがマナーとされています。
宗教によって握手ができない場合もある
イスラム教徒が多い国の場合、見知らぬ異性の身体的な接触がタブーとなっていることが多く、男女間では握手をせずに会話が始まるケースもあります。
合掌したり、鼻を使ったりする国も
タイでは日本と同様に挨拶としてお辞儀をしますが、日本とは少しやり方が違います。タイのお辞儀は胸の前で手を合わせる合掌スタイルで「ワイ」と呼ばれるお辞儀が一般的です。
また、欧米では握手と同時にハグや「チークキス」と呼ばれる頬を合わせる動作が含まれることもあります。
ちなみに、ニュージーランドでは、「ホンギ」と呼ばれる鼻と鼻をくっつけ合う挨拶がおこなわれる場合があります。これはもともとニュージーランドの先住民マオリ族が行った挨拶で、日常的に使われているわけではありませんが、式典や日常の大事な場面で使われることがあるようです。
いろいろな国の挨拶を知ることで、国際交流がより豊かになりますね!
まとめ
日本の挨拶には礼儀やねぎらいの気持ちが多く含まれており、お辞儀はその代表的なものです。海外では握手やハグのほか、チークキスや合掌など、親愛やフレンドリーさを表す目的でされる挨拶が多いようです。さまざまな国の挨拶を知り、お互いの文化を尊重して友情を深めてみてはいかがでしょうか。