歌舞伎は国内だけでなく、世界でも人気のある日本の伝統芸能の1つです。海外の人から歌舞伎の魅力について聞かれ、あらためて鑑賞してみようと考えている人もいるかもしれませんね。
いくつかのポイントを押さえることで、より歌舞伎の世界が楽しめます。ここでは、歌舞伎の衣装やメイクに込められた意味、役柄などについてわかりやすく解説しています。
世界に日本の文化を紹介するための参考としても役立ててください!
日本が世界に誇る歌舞伎、その舞台を彩る衣装
歌舞伎で使用される衣装には絢爛豪華な装飾が施されており、鮮やかな色使いや独特のメイクなど、非日常な世界が美しく演出されています。
歌舞伎が持つ世界観は海外の人も魅了し、外国から見た日本のイメージにも影響を与えるものです。そんな歌舞伎の舞台を彩る衣装について、基本的な豆知識をご紹介しましょう。
歌舞伎の衣装についての基本豆知識
江戸時代に育った芸能である歌舞伎には、おもに着物が衣装として用いられています。浴衣や半纏(はんてん)など、現代でも着用する着物のほか、武士の衣装として、裃(かみしも)と呼ばれる袴と上着がセットになったものや、時には空想上の存在を思わせるような斬新なデザインの衣装も使われます。
また、歌舞伎にはお芝居を見せる「狂言」と踊りを見せる「舞踊」に分けられ、当時の文化にもとづいたリアルなストーリーを演じるのか、幻想的な踊りや雄々しさを表現するのかなどによっても、使われる衣装はことなるのです。
特に人気の歌舞伎衣装は「花魁(おいらん)」
歌舞伎で使用される衣装の中でも、花魁が着る豪華な着物は特に人気があります。花魁道中のシーンなどで使用される打掛には金銀の刺繍が施され、大きく前に垂らした「まな板帯」や二重に羽織った打掛など、見ているだけでもうっとりとしてしまうほどです。
独特のメイク「隈取(くまどり)」にも衣装同様、独特の特徴がある
衣装に並んで、歌舞伎のメイクも大きな特徴の1つ。「隈取」と呼ばれる独特のメイクは、役柄の感情や表情を強調する役割もあります。
赤い隈取は勇気や正義、青い隈取は冷酷さや悪を表現し、妖怪や鬼など想像上の存在には茶色い隈取が使用されています。
歌舞伎で押さえておきたい時代物衣装と世話物衣装
お芝居と舞踊以外に、歌舞伎では「時代物」と「世話物」にも分けられます。
時代物と世話物に使われる衣装の違いは以下の通りです。
時代物衣装とその特徴とは?
歌舞伎の時代物は、現代でいう「時代劇」にあたります。歌舞伎が流行していた江戸時代の時代物では、室町時代や平安時代など江戸時代以前の物語を演じるため、衣装もデフォルメされることが多いようです。
世話物衣装とその特徴とは?
歌舞伎の世話物は、江戸時代の「現代ドラマ」です。江戸時代に歌舞伎を観に来ていた人々と同じ時代を舞台とした演目であるため、時代物よりもリアルな衣装が使われます。
世話物の登場人物が来ている衣装や小物から、江戸時代当時の風俗や文化を学ぶこともできるのです。
歌舞伎の衣装で、登場人物のキャラがわかるって本当!?
歌舞伎の衣装は、登場人物によっても特徴がことなります。歌舞伎のおもな役柄と、それぞれの衣装の特徴は以下の通りです。
立役(たちやく)
歌舞伎の立役とは、男性役のことです。男性役の衣装の基本は着物と袴で、それぞれ現代のシャツとズボンのような役割を持っており、羽織袴は町人の正装、裃(かみしも)は武士の正装となります。
江戸時代には華美な装飾が禁じられていたため、世話物に登場する武士の衣装は控えめ、時代物の武士の衣装は金銀の刺繍入りなど豪華になる、といった点も特徴的です。
敵役(かたきやく)
敵役とは、歌舞伎に登場する「悪人役」を意味しています。「赤っ面(あかっつら)」や「鯰隈(なまずくま)」と呼ばれる特徴的な隈取のほか、「燕手(えんで)」や「王子(おうじ)」などのかつらも敵役を意味する代表的な衣装です。
女方(おんながた)
女方は、文字通り女性役のこと。
すべての登場人物を男性が演じる歌舞伎では、男性が演じる女方がより女性らしく見えるための工夫が凝らされており、長い振袖や引きずるような裾、長く垂らした帯などの特徴があります。
女方は時代物も世話物も衣装のバラエティがとても豊かで、役柄によって帯の結び方がことなるといった細かい特徴がたくさんあります。
役の人柄を表現している帯結びなどもあるので、着物の知識があると歌舞伎がより楽しめるかもしれませんね。
まとめ
歌舞伎は日本を代表する芸能の1つで、独特のメイクや衣装の美しさから、海外からの人気も高いものです。
衣装には出し物や役柄によってさまざまな特徴があり、歌舞伎初心者が観ても充分楽しめますが、ちょっとした豆知識を知ることで、日本の文化を海外へ紹介するきっかけにもなるでしょう。