目次
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  1. 1. CADオペレーターはどのような仕事か?
  2. 1. 土木建築の分野
  3. 2. 家具の組立図
  4. 3. 機械の設計図や部品
  5. 4. 解析技術
  6. 2. 業界でのCADオペレーターの需要は?
  7. 1. 設計図や完成予想図の必要性
  8. 2. 業種が減ることはない
  9. 3. AIが進出する
  10. 3. CADオペレーターの年齢層と給与水準
  11. 1. CADオペレーターの年齢
  12. 2. CADオペレーターの収入
  13. 3. 副業やフリーランスとしても活躍
  14. 4. CADオペレーターになるための準備
  15. 1. パソコン
  16. 2. CADソフト
  17. 3. プリンター
  18. 4. 練習用図面
  19. 5. CADを学ぶ上で覚えておきたい知識
  20. 1. 拡張子
  21. 2. 用紙と尺度
  22. 3. モデル空間とペーパー空間
  23. 4. 画層「レイヤー」
  24. 6. おすすめのCADソフト
  25. 1. Jw_cad
  26. 2. AR_CAD
  27. 7. CADオペレーターの資格もある
  28. 1. CAD利用技術者試験
  29. 2. オートデスク認定AutoCAD®ユーザー
  30. 3. 建築CAD検定試験
  31. 8. CADオペレーターとしてのやりがい
  32. 1. 図面が商品に代わる喜び
  33. 2. 頼られる存在になれる
  34. 3. 図面がお金に直結する
  35. 4. 図面を描き上げる達成感
  36. 9. まとめ

CADオペレーターは、道路・プラモデル・家具などさまざまなものの設計図を描く仕事を担当しています。この記事では、CADオペレーターの業務内容や収入について、掘り下げて解説していきます。CADは専門のソフトを使う仕事となるので「難しそう」と思う方も多いかもしれません。しかし、実際の業務内容や必要なスキルがわかれば、CADオペレーターの仕事に対する不安軽減にもつながります。CADオペレーターとして転職をお考えの方や、CADオペレーターに興味がある方は、ぜひご一読ください。

CADオペレーターはどのような仕事か?

CADオペレーターとは、専用のCADソフトを使用し、さまざまな業界の設計図を作成する仕事です。設計技術者の指示のもと、建物や機械などの図面や完成予想図を描画していきます。CADで描かれたデータは全て電子化されており、仕様書に基づいて概略あるいは詳細な設計図を作成します。

土木建築の分野

土木建築分野におけるCADオペレーターの仕事は、設計図の修正および完成予想図を作成することです。

設計図の修正

設計図とは、発注者から受領する資料のことを指します。設計図は、現場環境により適合しない場合も少なくありません。不適合な図面をもとに施工をするのは困難です。現場で設計照査を行ったデータを図面に反映させるのもCADオペレーターの仕事になります。

完成予想図

完成予想図とは設計士の指示のもとに作成する図面を指します。更地に道路や構造物を施工することになるので、完成予想図として受注者向けの図面を作成するのです。これは公共工事を発注する際に必要なもので、CADオペレーターが手掛けています。

家具の組立図

家具の組立図は見たことがある方も多いかもしれません。最近ではダンボールに部品が収められていて、購入者が組み立てる家具も珍しくありません。購入した家具に付属している図面は、CADオペレーターが作成しています。組立図には、同封されている部材が一つ一つ正確に描かれており、誰でも組み立てられるように手順も工夫して記載されているのです。

機械の設計図や部品

機械の設計図や部品も、家具同様に部材の詳細や組み立ての手順が記載されています。機械の組み立ては部材が非常に多く、一目ではわからないものが多数あります。設計図を参照することで、部品の名称や規格がわかるようになります。普段見かける自動車や工場で使用されている機械には、CADオペレーターが作成した図面が使われています

解析技術

解析技術とは、機械などが組み上がった後に解析を行い、稼働に不具合が生じることがないかをデータを用いて予測する技術のことです。図面の作成段階で予測を立てることにより、完成後に起こる不具合を軽減できます。

業界でのCADオペレーターの需要は?

CADオペレーターは本当に必要な存在なのでしょうか。結論からいうと、CADオペレーターは「ものづくり」には必要不可欠な存在です。その理由をここでは説明します。

設計図や完成予想図の必要性

設計図や完成予想図は本当に必要なのかと疑問が湧いてくるかもしれません。では図面がなくなるとしたらどうでしょうか。ものづくりのノウハウや技術を持った人しか、仕事ができなくなってしまいます。

業種が減ることはない

CADオペレーターが必要とされる業種は、多岐にわたっています。土木建築分野からアパレル関係までCADオペレーターが関わっている業界は幅広く、家具や機械を作るにも図面が必要不可欠となっています。

AIが進出する

近年、AIの進歩により作図が自動化され、電子データも量産できる技術が進歩しています。CADオペレーターにとっては死活問題という声もあり、需要が減る可能性があるともいわれています。しかし、筆者はCADオペレーターがAIに仕事を取られることはないと考えます。AIが進歩すると、流通する情報量は今以上に膨大になります。膨大になったデータを処理するために、CADオペレーターがこれからも必要になるでしょう。

CADオペレーターの年齢層と給与水準

CADオペレーターの年齢層と給与水準について、気になるのではないでしょうか。これからCADオペレーターとして働きたい方に向けて、「どれくらい稼げるのか」「転職する価値はあるのか」について具体的に解説します。

CADオペレーターの年齢

CADオペレーターとして働いている人の、64%は10~30代というデータがあります。そして40代も含めると86%と割合も大きく、若年層が活躍できる仕事ということがわかります。CADオペレーターは進学が必須ではないので、しっかり学べば10代からでも稼ぐことができるのです。

CADオペレーターの収入

厚生労働省の「令和3年度賃金構造基本統計調査」によると、CADオペレーターの平均年収は、42.2歳で462万円ほどとなっています。国税庁が発表した「令和3年分民間給与実態統計調査」によると、2021年の日本の平均年収は443万円だったので、CADオペレーターは平均を超えていることがわかります。

副業やフリーランスとしても活躍

CADオペレーターは技術や資格があれば働けるので、副業やフリーランスとして活躍している人も多くいます。いきなり転職は厳しいと考える方は、まずは副業で始めてみて、しっかりと基盤を作ってから本職にするという道もあります。

CADオペレーターになるための準備

CADオペレーターになるためにはさまざまな準備が必要です。何の知識やスキルもなく、CADオペレーターになれるほど甘い世界ではありません。ここからはCADオペレーターとして、最低限必要な準備について解説します。

パソコン

CADオペレーターとして活動するのに欠かせないのがパソコンです。データ量が多い図面を扱うこともあるので、ある程度のスペックは必要になります。

Windowsなら「Core i7」、Macなら「M1」程度のスペックは必要となります。無理して新品を購入する必要はなく中古でも十分ですので、パソコンの購入も検討しましょう。

CADソフト

CADソフトは有料のものと無料のものがありますが、無料ソフトでも十分に対応できます。まずは以下の無料のものを使ってみるとよいでしょう。

・Jw_cad
・AR_CAD

優良な無料のソフトもたくさん存在するので使用目的によってダウンロードするものを選びましょう。

プリンター

プリンターは、作図を終えた図面を印刷してチェックするために使います。基本的に図面はA3での提出になるので、A3がフルカラーで印刷できるプリンターであれば問題ありません。

練習用図面

練習用図面も準備する必要があるでしょう。特にこれといった指定のものはありませんが、専門分野での仕事を考えているのであれば、各分野で使用されている図面を模写するのでよいでしょう。まず見た目をまねることが重要となりますので、うり二つの図面を作成してみることをおすすめします。

引用:「建築物省エネ法 省エネ基準に基づく省エネ計算演習図面」(国土交通省)

CADを学ぶ上で覚えておきたい知識

CADオペレーターとして活動していくために、覚えておきたい知識があります。普段聞き慣れない言葉ですので、実践しながら学ぶのがよいでしょう。知識を身につけると、職場での打ち合わせもスムーズに進行できます。

拡張子

拡張子とは、ファイルの種類を識別するために、ファイル名の末尾についている英数字のことを指します。代表的なものに以下のものがあります。

・DWF
・DWG
・DXF

何十種類もの拡張子が存在し、納品先によって拡張子が指定されている場合もあります。

用紙と尺度

用紙とは、A3やA4のような用紙サイズのことを指します。基本的に図面はA3で提出しますが、作図はA1で描くとさまざまな用紙サイズに対応しやすいでしょう。尺度とは、「対象物の大きさに対して、図面がどれくらいの寸法になっているか」を示す比率です。

モデル空間とペーパー空間

CADの世界には「モデル空間」と「ペーパー空間」の2つの定義があります。

モデル空間

モデル空間とは、作図を行う空間(作図スペース)を指します。モデル空間は、非常に広い作業領域を持っており、モデル空間で作図を行うのが基本になっています。

ペーパー空間

ペーパー空間とは、印刷専用の空間になります。モデル空間で作図を行い、ペーパー空間で印刷を行うのが一般的です。ペーパー空間で描かれた図面はモデル空間に反映されません。従って、モデル空間に反映したくない箇所はペーパー空間で作図するテクニックもあります。

画層「レイヤー」

レイヤーとは、日本語で「層」という意味で、透明なフィルターのようなものです。作図していく際に、「部材」「寸法線」などの種類別に専用のレイヤーを作成しておき、それを何枚も重ねて一つの図面にするのです。レイヤーを使いこなすと、必要な部分だけ簡単に表示することができるので、細かくレイヤー管理しましょう。

参照:国交省CAD製図基準(案)

おすすめのCADソフト

Jw_cad

Jw_cadは建築CADともいわれていて、現職で使っている人も多いソフトです。無料で使えるのが大きなメリットで、簡単な作図ならJw_cadで納品まで行えます。アイコンがシンプルな構造になっていて、初心者でも使いやすいといえます。

AR_CAD

AR_CADは、AutoCADを模した無料のCADソフトです。無料ながら、AutoCADへの互換性がとても優秀で、CAD初心者でも簡単に使うことができます。使いやすさはもちろんのこと、アイコンも見やすく、プロパティの管理も容易です。また、既存の図面を読み取ることもできます。

CADオペレーターの資格もある

CAD技能に関する資格も存在します。就職や転職に有利になるケースも多いので、取得することをおすすめします。ここでは、いくつかの資格について具体的にご紹介します。

CAD利用技術者試験

CADに関する知識を持ち、図面を正しく理解してCADで作図を行う技能を証明できる試験制度です。基本的に、この資格を取得すればCADオペレーターとして就職するには十分と考えられています。

オートデスク認定AutoCAD®ユーザー

オートデスク社が主催する、オートデスク認定資格プログラムの一つ。オートデスク社のAutoCADの操作・活用スキルを、試験・認証する制度です。

建築CAD検定試験

一般社団法人全国建築CAD連盟が主催する民間試験。CADを使った建築図面の作図に特化しており、准1級・2級・3級・4級で構成されています。土木建築分野での仕事に興味がある方は、持っておくべき資格といえます。

CADオペレーターとしてのやりがい

ここからは、CADオペレーターにはどのようなやりがいがあるのかを見ていきます。

図面が商品に代わる喜び

自分自身が手掛けた図面が、建物や道路、車や家具など、目に見えるものに変わるのがやりがいの一つであると考えられます。家族や子どもに見せることもできますので、喜びを共有できるでしょう。

頼られる存在になれる

CADオペレーターは、圧倒的に頼られる存在です。専門的な知識がないとできない仕事なので、職場で重要なポストに就ける可能性もあります。

図面がお金に直結する

商品を設計しているため、お金に直結する仕事も多いといえます。仕事をしている以上、お金は切っても切り離せないので、成果物が報酬として返ってくるのもCADオペレーターとしてのやりがいでしょう。

図面を描き上げる達成感

やりがいが多い反面、大変なこともあります。納期に間に合わせるため、急な仕事が入って時間が足りず苦労することもあります。しかし、図面を描き上げる喜びは何にも代えられないものがあるでしょう。

まとめ

CADオペレーターは、図面作成のプロフェッショナルとして、多くの業界で必要とされています。若年層が多く活躍しており、非常にやりがいのある仕事です。作図の仕事が好きな方も多く、実際、筆者もこの仕事を楽しんでいます。この記事を読んでCADオペレーターに興味を持った方は、ぜひこの仕事に挑戦してみてください。

<執筆者>
氏名: 田村 光広
実務歴:土木施工管理・CAD12年
プロフィール:工業高校卒業後、建設会社へ就職。測量会社を経て、現在は土木業界で働く傍ら、ライターとしても活動中。現職では、土木施工管理業務・CADオペレーター・施工管理業務支援などを行っている。