人々の心に寄り添い、相談にのることで問題を解決することへの手助けをするカウンセラー。より依頼者の助けとなれるように、専門的な知識や技術を身に付けてスキルアップをしたい方には、カウンセラー関連資格を取得するのがおすすめです。しかし「カウンセラー関連資格」と言っても、色々なものがあることをご存知でしょうか?
そこで本記事では、民間資格から国家資格まで様々なカウンセラー関連資格をご紹介。取得にかかる費用や期間の目安も併せてご説明するので、これからカウンセラー関連資格を取得しようと考えている方はぜひ参考にしてください。
カウンセラー関連資格には多くの種類がある
そもそも人々のメンタルケアを行うカウンセラーになるために、必要な資格はありません。多くのカウンセラーは大学で心理学や臨床心理学などを専攻したり、カウンセラーの養成学校を修了したりして人々の心やケア方法について学んでいますが、学んでいなかったとしてもカウンセラーになることは可能です。
しかし何の経験もない、資格もないカウンセラーでありながら信頼を得るのはとても難しいもの。カウンセラー自体の資格はないものの関連資格は数多く用意されているため、多くのカウンセラーはカウンセラーとしての知識量や技術力を証明するために、カウンセラー関連資格を取得しています。
また、既にカウンセラーとして活躍している人のスキルアップのためだけでなく、就職のためにもカウンセラー関連資格は多く取得されています。大学で心理学などを専攻していなかった方や、就職を有利に進めたい方は取得すると良いでしょう。
カウンセラー関連の国家資格
実は、カウンセラー関連の国家資格が整備され始めたのはここ最近。そのため、カウンセラー関連の国家資格は基本的に以下の4つしかありません。ここでは資格の内容と、取得にかかる費用と期間の目安をご紹介します。それぞれどんな資格なのかを知ることで、どの資格を取得するかの参考にしてください。
公認心理師
公認心理師は、心理学に関する初めての国家資格。2017年に施行された「公認心理師法」に基づいてできた資格で、「医療・保健、福祉、教育、司法・犯罪、産業・労働などの分野」の専門的な知識や技術が必要になります。
大学や大学院で専門的に学ぶことが受験資格の1つに含まれている公認心理師の難易度は高いため、合格に必要な勉強時間の目安は400~500時間。費用は、大学費用などを含めると600万円以上かかるケースもあります。かなり高額になるので、実務経験でカバーするなどの工夫をすると良いでしょう。
キャリアコンサルタント
キャリアコンサルタントとは、仕事に対する意欲や将来への展望などの「キャリア」の観点から、人々のより良い人生を実現する手助けをする職業。2016年に国家資格となり、自己理解や適正を深めて適した場所で実力を発揮する指導ができると、企業や大学、人材派遣会社などの場所で注目されています。
資格試験は学科試験と実技試験の2つに分かれており、年4回実施されます。合格するためには厚生労働大臣が認可している「キャリアコンサルタント養成講座」を受講するのが一般的で、その期間は3ヶ月強。試験の4~5ヶ月前から対策をし始めると良いでしょう。
スクールによっても異なりますが、キャリアコンサルタント養成講座に通うためには約30万円かかります。資格取得のためには、受験料や手数料などを含めて40万円程度費用がかかると考えておきましょう。
精神保健福祉士
「精神科ソーシャルワーカー」として就業するために必要なのが、精神保健福祉士の資格。ストレス社会の昨今、精神的な問題を抱える人は増加しているため、専門的な知識を持って支援ができる精神保健福祉士は医療機関以外でも注目を集めています。
16科目から計163題出題され、出題範囲が広いのが特徴。ただし合格率は60%を超えるなど、とても低いわけではありません。スクールで行われる対策講座は140時間ほどなので、集中すれば2~3ヶ月で合格が可能でしょう。
出題範囲の広さから10万円以上かかってしまう対策講座も多いですが、自分の苦手な科目だけ受講するなどの工夫をすれば価格を抑えることもできます。まずは自分で対策を行い、苦手科目を探してみると良いでしょう。
社会福祉士
高齢者や障害者のケアを行う社会福祉士は、精神保健福祉士と試験内容や仕事内容がとても似ている資格。実際に、社会福祉士と精神保健福祉士を同時に受験する方も多くいます。
合格率は約27%とかなり低いので、専用の対策講座などを利用するのがおすすめですが、10万円程度の費用がかかってしまうので、300時間を目安に独学で勉強して対策を行うのも良いでしょう。
カウンセラー関連の民間資格
国家資格ではなく、民間資格であっても社会的な信頼性の高い資格は数多くあります。ここでは、そのなかでも代表的な資格を4つご紹介。前の章でご紹介した国家資格よりも取得しやすい資格もあるので、資格取得の第一歩として選ぶのもおすすめです。
臨床心理士
臨床心理士とは、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会が実施している資格。1988年から実施されており、2017年に公認心理師法が施行されるまではカウンセラーのなかで最もポピュラーな資格でした。
民間資格と言っても難易度はとても高く、必要な勉強時間は1500時間以上とも言われています。受験資格の1つに大学・大学院の卒業があるので、かかる費用も高額になりがち。大学の他に予備校に通うと数十万かかってしまうこともあるので、どんなルートで合格を目指すかを考えておきましょう。
認定心理士
公益社団法人日本心理学会が実施している認定心理士は、資格試験がないのが特徴。4年生大学において一定数以上の心理学の単位を履修すれば、取得することができます。かかる期間は4年、費用も500万円ほどと高額ですが、心理学を専攻している大学生にとっては、とてもハードルの低い資格だと言えるでしょう。
特に試験がなかったとしても、カウンセラーとしての知識や技能を証明する最低限の資格にはなるので、取得がおすすめです。
産業カウンセラー
産業カウンセラーは、一般社団法人の日本産業カウンセラー協会が実施している資格。「働く人の援助をする」資格なので、企業や人材派遣会社などで重宝されています。
そんな産業カウンセラーは、200時間程度の勉強時間で合格が目指せる資格。専用の対策講座を利用すると30万円程度の費用がかかりますが、独学でも合格を目指すことは可能です。過去問などを購入して学習しましょう。
NLPプラクティショナー
NLPとは、「Neuro Linguistic Programing(神経言語プログラミング)」の頭文字を取った言葉で、日本NLP協会などが実施している資格です。コミュニケーションについてのスキルが身に付く資格で、認知度はあまり高くありませんが、世界的に注目されている資格でもあります。
資格取得の難易度はそれほど高くなく、全10回のコースを受講すれば資格取得が可能。ただし1回6時間と長いので、取得までには360時間かかります。必要な費用は受講料と入学金を合わせた約40万円。安くはないですが、必ず資格が取得できることを考えればそれほど高いとは感じられないでしょう。
まとめ
人々の心をケアして、より良い人生を歩むための手助けをするカウンセラー。職業や生き方が増えるにつれ、的確なケアをするために必要な知識量や技能レベルは高くなってきています。本記事でご紹介したカウンセラー関連資格を取得し、より幅広い人に対応できるカウンセラーを目指しましょう。
「国家資格の方が良いのでは?」と思うかもしれませんが、民間資格には国家資格ではカバーできないより専門性の高い知識も含まれています。自分がどんなカウンセラーになりたいかをイメージして、どの資格を取得するか決めましょう。
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