タイといえば、温暖な気候と治安の良さから、人気の旅行先としても知られています。料理や観光スポットなどの知識はあっても、タイの歴史や王朝、日本との関係などについてはよくわからない、という方も多いのではないでしょうか。近年、技能実習生として日本へ働きに来るタイ人も増えてきています。ここでは、親日国ともいわれるタイの概要や歴史、5大王朝や偉人など、タイについての情報をまとめてご紹介しています。
タイ王国ってどんな国なの?
まずは、現在のタイの概要について見ていきましょう。
タイの正式な国名は「タイ王国」、英語表記は”Kingdom of Thailand”で、首都はバンコクです。東南アジアに位置する国で、日本からは4,000kmほど離れています。国土面積はおよそ51万4,000平方キロメートルと、日本の約1.4倍の広さを持ち、6,500万人ほどの人口を有する国です(2015年)。
タイ湾とアンダマン海に面しており、大きな貿易拠点を持つ一方で、マレーシアやミャンマー、カンボジア、ラオスなどとも地続きになっています。「王国」と名がつく通り王室を持ち、代々続く王朝が抱える数々の遺跡は、観光スポットとしても賑わっています。
国民の9割以上が仏教徒で、多くの寺院があり、近代的なビル群と広大で豪華な寺院とのコントラストが特徴的な国でもあります。
タイ王国の歴史と重要な5大王朝
次に、タイ王国の要である5大王朝を中心に、タイの歴史をわかりやすく紐解いてみましょう。
タイの歴史を支えた5大王朝
タイ王朝の歴史は、13世紀頃に誕生した初代王朝「スコータイ王朝」からはじまります。それまでは、現在のカンボジアにあたるクメール王朝の支配を受けていたタイですが、スコータイ王によって独立を成し遂げることができました。
スコータイはタイ北部を統治していた「ラーンナー王朝」とも同盟を結び、その勢力を強めていきます。しかし、北部から台頭してきたアユタヤ王朝によって滅ぼされ、200年にわたる一大王朝は終わりを告げることとなるのです。
以後、アユタヤ王朝は貿易を中心に栄え、約400年の長きにわたり統治を続けていましたが、隣国であるビルマとの戦争に敗れ、戦地となったアユタヤからビルマ軍を撃退したタークシン王による「トンブリー王朝」へと引き継がれることになります。トンブリー王朝時代は戦争が絶えず、タークシン王の処刑によってわずか15年で幕を閉じることとなりました。
タークシン王亡き後に即位したラーマ1世は内乱を鎮め、「チャクリー王朝」として、現在もその歴史を紡ぎ続けています。
王朝を支えたタイの偉人たち
タイ王朝を支えた国民的な偉人として知られる「タイの3大国王」についてもご紹介しましょう。
ラムカムヘーン:スコータイ王朝の3代目国王です。統治期間は20年ほどですが、その間に諸外国との貿易で経済を潤し、タイ文字の制定や寺院の建立など、現在あるタイの礎をほぼ築いたといっても過言ではない人物です。
ナレースワン:アユタヤ王朝の21代目国王です。ビルマとの長きにわたる戦争で幾度も勝利し、兵士の教育にも尽力した「軍神」としてその名を轟かせました。ムエタイの考案者であるともいわれており、アユタヤの記念堂には今も馬に乗ったナレースワンの立派な銅像が設置されています。
ラーマ5世:チャクリー王朝の5代目国王です。即位中に数々の改革を成功させ、タイの近代化を推し進めた名君として、今も国民から絶大な人気を誇る偉人でもあります。毎年10月におこなわれる記念祭には、国中から数千人の人々が集まり、ラーマ5世の功績を讃えています。
タイが親日国といわれている理由とは
タイは日本と友好な関係を維持している、親日国としても知られています。その理由についても見てみましょう。
タイ王室と日本皇室が親密なため
国に王室を持つタイは、日本の皇室とも親密な関係を築いています。タイの人々の王室に対する敬意は非常に篤く、王室が親密にしている皇室に対しても、好ましいイメージを持っているのです。上皇が何度もタイを訪れていたことも、タイの国民が親しみを感じる理由となっているでしょう。
タイで流行っている映画やテレビの影響があるから
タイ国内では、日本の映画やアニメ、テレビ番組などが盛んに放映されています。バンコク市内の屋台や雑貨店などでは、日本のキャラクターや芸能人のグッズが売られている光景を目にすることも珍しくありません。特に日本のアニメはタイ国内でも流行っており、日本で人気の出たマンガのほとんどは、タイ語に翻訳されて流通しています。
アニメやマンガで感じたワクワク感や憧れが、そのまま舞台となっている日本への好印象にもつながっているといえるでしょう。
まとめ
東南アジアの貿易と経済を支える大国であり、8世紀にわたる長い歴史を持つ王朝と文化が特徴のタイ。皇室とのつながりやアニメの影響から、日本に親しみを感じてくれている親日国でもあります。近年技能実習生として来日するタイ人も多いため、観光情報だけではないタイの歴史を知ることで、タイの人々との交流を豊かにするきっかけにできるでしょう。