今回は、先日ヒューマンアカデミーで行われた、『 【ゼロから学ぶAIの今】AIを用いたイノベーション& 最新活用事例 』 セミナーをレポートいたします。
スタディサプリ 教育AI研究所 所長の 小宮山 利恵子 さん を ヒューマンアカデミー新宿校にお招きして、最新のAIの事例をお話しいただきました。
また、新宿校だけでなく全国のヒューマンアカデミー校舎そしてWebでのライブ配信もされました。
AIの共通認識はまだない
はじまりはAIとは、と言うところから。実は各識者においても、認識の差があるのが現状です。セミナーの中では、松尾 豊 さん著「 人工知能は人間を超えるか 」が紹介されています。
今、AIにできること
それでは、今現在のAIですでに実現されていることは何があるのでしょうか。
今回お話しいただいた実例をいくつかここでも紹介しますね。
・ もしかすると私の方が運転荒い? 自動運転自動車の実例
ラスベガスで開催される 電子機器の見本市 CES で2019年から展示されていた『 自動運転自動車 』。
小宮山さんは実際に乗られたらしいのですが、「 車線変更が非常に滑らか。これより運転荒い人いるよね 」 と思ったそう。私ももしかしたらそうかも…。
なお、完全自動化は2030年ごろになるのではないかと予測されています。
・ 最適なタイミングで24時間いつでも収穫 農業×AIの実例
agri のAIを用いた農業。
画像認識で収穫時期を判定して、24時間自動収穫できるシステム。これにより、農家は収穫以外のことに時間を使えるようになります。
副業や新しい品種開発に力を注げますね。
・ 電話予約をAIが代行 google duplex
これは、音声AIが自分の代わりにレストランに予約電話をしてくれるというもの。
受け答えはかなりリアルで、予約を受けたレストラン側は「 完璧に人間だと思った。 」 と感想を漏らしたのだとか。Web 予約ができない店などで良いですね。
ただし、この手の 「 OK、google~ 」 モノは、アメリカではかなり浸透しているようですが、もともと口頭指示の習慣がない日本ではあまりなじまないのでは、とのこと。納得。
その他、
・ ARゴーグルをつけて、うどんの画像をみながらラーメン食べると味覚は…と言う実験
・ がんの未知なる特徴をAIが発見
・ マクドナルドのドライブスルーのAI化( 音声認識・音声AI )
などなど
AIは先生になれるのか
この中で、私が最も気になったのは、アメリカの学校において Alexa が教室に1つ導入された例。
子どもたちに、「 先生に質問する前にAlexaに訊くように 」 と言うとどうなるでしょう。
Alexa は生徒たちの質問に律義に答えます。
120年前の今日何があったとか、ちょっとした単語の綴りとか。こどもたちは新しいものもテクノロジーも大好きだし、人間の先生には恥ずかしかったり、そんなこともわからないのかと怒られるかもしれないことも訊けるから、学びの意欲が増す。答えはもちろん正確です。
ここで、勘違いすべきではないのは、
Alexaの方がはるかに訊きやすくかつ正確な答えを出せるなら、先生はいらないのではないかと言う事。
これは、先生の仕事が
「 単純な質問に答えることや、答えの決まっていることの採点や評価をすること 」
と思っているから起こることなのです。
きっと、先生の仕事は
「 生徒自身、その人そのものを受け止めて、良いところを見つけて伸ばすこと。また、興味のあることにもっと目が向けられるように手伝うこと 」
つまり 伴走者 になること。
今回のセミナーや他の講演会で小宮山さんがよく質問されることに
「AIに仕事を奪われる中でわれわれがやっておくべきことは?」
「最後まで残る職業は何?」
といったものがあって、でもそれは、「 答えはない 」 というのが答え。
よく 「 答えがない社会でどう生きていくか 」 なんて、言葉尻では使うけれど、まだまだどうしても 「 答え 」 があるという意識が染みついている ことを痛感します。
AIに仕事を奪われるかもしれないから、これをやらなければならないっていうのは、AIは何ができて、何ができないっていう答えがあるという幻想の上に成り立っている証拠。
でも、結局いきつくのはAIにどんな仕事を任せるかはだれにもわからない。
だったら、自分にもこどもにも興味の幅を広げて、すきなものをやるのがいいよね
と言うことでした。
人間にできて、AIにできないこと
お話を聴いて、はっと気づいたことがひとつ。人間にできて、AIにできないこと、それがなんなのかと言うこと。
それは、 人は好き嫌いができる と言うこと。
たくさんの知識を詰め込むこと、その中から法則性を見つけること、それらをもとに、芸術作品を作る事さえ、AIにはできます。でも、好き嫌いはできません。好きを突きつめて、突き抜けることができるのは人なんです。
だから、好きなことをやることこそが、人間がやるべきことなのだ と気付きました。
さあ、AIと戦うのはやめましょう。
AIは予想外のアウトプットをしてくれる面白い道具です。
まずは、道具を使ってみる機会を作ってみてはいかがでしょうか。