- 1. プログラミングの資格を取る前に知っておきたいこと
- 1. 未経験からの就職を目指すなら資格取得よりもスキルが重要
- 2. 難易度の高い資格を取得すると多少は就職の際に有利になる
- 3. 資格取得でプログラミングに関しての理解を深めることができる
- 2. プログラミング初心者におすすめの資格
- 1. Ruby技術者認定試験
- 2. C言語プログラミング能力認定試験
- 3. PHP技術者認定初級試験
- 4. MASTER Bronze Oracle Database 12c
- 5. Javaプログラミング能力認定試験
- 3. 転職やキャリアアップを目指す時に使えるプログラミングの資格
- 1. 情報処理技術者試験
- 2. 基本情報技術者試験
- 3. 応用情報技術者試験
- 4. システムアーキテクト試験
- 4. プログラミングの資格が役に立たないケース
- 1. 応募先の企業で活かせない場合
- 2. 資格ではなく実務経験を重視している場合
- 3. プログラマーとして就職したいだけの場合
- 4. プログラミングの講師になりたい場合
- 5. プログラミングは資格だけでなくスキルも身に付けよう
基本情報技術者試験やJavaプログラミング能力認定試験など、IT系の資格にはそれぞれ特徴があります。
難易度や試験合格のためのポイントや、資格が役に立たないケースや勉強する時の注意点についても解説します。
プログラミングの資格を取る前に知っておきたいこと
キャリアアップにおいて資格を取ることは重要なのか、そして難易度の高い資格は就職において有利になるのか、定性的に自分のスキルを表すことができる資格に関する疑問は様々です。
ここでは資格を取ることで、キャリアにどんな影響があるのかを解説していきます。
未経験からの就職を目指すなら資格取得よりもスキルが重要
企業がプログラマーに求めているのは資格ではなく実務スキルです。それを踏まえた上でどの資格が必要なのか考えることになります。
企業がプログラマーに求めているものは、実際の現場で動ける人材であり、何かしらのシステムを作り上げた経験の方が重要視されることが多いです。また、システム作りのどの工程に関わったかが重要になるので、そうした企業では資格のような全般的な知識の有無は優先度が下がってしまいます。
ただ、その人がスキルを持っているかどうかは実務経験だけでは把握しづらく、企業も採用の際に判断ができないことがあります。その際に資格があれば、スキルの有無を明確に示すことができるので選考を有利に運ぶことができます。
難易度の高い資格を取得すると多少は就職の際に有利になる
資格を取ることで、自分のプログラミングの知識やスキルレベルを客観的に証明することができるというメリットがあります。特にプログラミングの資格のような専門性の高い資格は、就職活動や転職活動における自らのアピール材料として活用することができます。
必ずしもプログラマーになるために資格は必要ではありませんが、難易度の高い資格を取得することのメリットはあります。基本的に企業は資格よりも実務スキルを求めるので、資格の有無に関して評価されませんが、取得難易度の高い資格となると話は変わってきます。難易度の高い資格を取得しておくと、高度なプログラミングスキルを有することの証明になります。
もちろん、難易度の高い資格ほど有効です。プログラミングは仕事しながら覚えていくものではなく、あらかじめ知識がないとできません。調べながらでも仕事はできますが、所要時間が長くなり効率は低下します。実務経験の短さを補うには、資格で得た知識は不可欠です。
資格取得でプログラミングに関しての理解を深めることができる
資格取得のための学習を通じて、プログラミングの理解を深めることができます。独学でプログラミングの勉強をすると、今すぐに使用する知識だけを学んでしまうなど、偏りが出てしまう可能性があります。
一方で、多くのプログラミングの資格試験では、プログラミングの知識を幅広く問われるので、試験対策の勉強をしていく過程で体系的に知識を身に付けることになります。その結果、様々な知識を備えていることによって、自信を持って開発業務に取り組めるようになります。
断片的な知識を習得するのではなく、関連する技術をつながりとして理解することで、応用範囲が広がります。また一つ一つのプログラムの存在理由が明確になり、忘れづらくなります。さらには資格取得のために勉強をすることでプログラミングの応用力の幅が広範囲に広がり、日々のモチベーションアップにもつながります。
日々進化するプログラミングの知識をアップデートし、より難易度の高い資格の取得にチャレンジする動機付けになります。
プログラミング初心者におすすめの資格
プログラミングには様々な資格があります。初心者にとっておすすめの資格は何でしょうか?特に人気のある資格ついて解説していきます。
また、それぞれの資格の難易度と合格するためのポイントも紹介します。
Ruby技術者認定試験
Ruby技術者認定試験とは、プログラミング言語Rubyの普及と発展のための組織である、Rubyアソシエーションが実施する認定試験です。Ruby技術者としてのスキルが評価され、Rubyベースの仕事をする方にオススメの資格です。
Ruby技術者認定試験に合格すると、Ruby技術者としての技術力があることを公正に評価され、Rubyによる高水準のシステム開発能力を有することを認定されます。対象者は、Rubyベースのシステムの設計と開発、運用を行うエンジニアや、Rubyでシステム提案を手がけるコンサルタント、Rubyを生徒に教える講師などです。Rubyを勉強中の学生も受験することができます。
難易度とポイント
Ruby技術者認定試験制度は現在、「Silver」と「Gold」の2種類が用意されています。
Goldの方が難易度は高く、プログラミング初心者や、他の言語は知っているけどRubyは初めてという方は「Silver」をおすすめします。Silverを取得できると、Rubyの背景、Rubyの文法の知識、Rubyのクラスとオブジェクト、標準ライブラリの知識について、基本的な技術レベルを持つことを認定されます。
プログラミング中級者や、日常的にRubyを扱っている方は「Gold」に挑戦してみましょう。Goldは、Silverで求められる範囲をさらに深堀した内容になります。
C言語プログラミング能力認定試験
C言語プログラミング能力認定試験は、仕様変更に対してコーディングやコンパイル、デバッグを行える能力と、C言語でプログラムを完成させる能力を有することを認定される試験です。
3段階の認定基準を設けており、自分のレベルに応じて難易度を選べます。最も難易度が低い3級であれば、初学者でも受験することが可能です。IT業界ではこの資格を高く評価しており、1級や2級を取得しておくと就職が有利になります。
難易度とポイント
60点が合格ラインなのですが、合格率を見てみると約68%となっているので、ある程度は難易度が高い問題が出題されるようです。
初心者が3級に合格するための学習時間の目安が110時間、1級は2級取得者が70時間の学習後が合格の目安である、と公開されています。
PHP技術者認定初級試験
PHP技術者認定初級試験はPHP言語の基礎的知識が問われる試験です。対象レベルは初級者ですが出題範囲が広範に及んでいるため、試験に合格するには幅広い分野を学習しておくことが必要です。
この資格を取得しておくと、WEBサービスやWEBアプリ開発の仕事に携われる可能性が高まり、WEBプログラマーとして活躍できます。初級試験と上級試験の2種類があります。
難易度とポイント
初級の合格率は70%であり、他のプログラミング資格と比較すると難易度は高く無いように思えます。ただ、実際にはPHPの経験者が多く受験するので、未経験者にとってはもう少し難易度は高く感じるかもしれません。上級の合格率は10%なので実務経験者でも合格が難しい難易度になっているようです。
勉強の際は、まず「PHP公式資格教科書 PHP5技術者認定初級試験 合格教本」を読んで理解しておきましょう。試験に受かるためには、この本の9割以上の理解が必要と言われています。またこの過程では、本を読むだけでなくコードを自分で書くことも重要です。
次に「徹底攻略 PHP5技術者認定[初級]試験 公式問題集(黒本)」で問題を解きつつ、理解が浅いところはネットで検索しながら勉強することも大事です。試験に受かるためには、この本の問題は8~9割正解出来るようになる必要があります。
MASTER Bronze Oracle Database 12c
MASTER Bronze Oracle Database 12c は、Oracle Databaseを活用して、ITシステムを実現するために必要となる知識とスキルを有していることを認定する資格です。
認定レベルは4段階あり、データベース管理者として必要な基礎知識を有していれば、最も難易度が低いBronzeだと合格できる可能性はあります。この資格を取得すると、オラクルのデータベースを扱うことができるスキルの持ち主であることを対外的にアピールすることができます。
難易度とポイント
合格率は発表されていませんが、データベースを構築やSQLの実行をした実務経験がない場合、参考書を読む程度の学習では難しいようです。未経験から環境なしだと、取得まで半年以上かかる場合もあります。
データベース管理の実務経験がある方なら、参考書を1冊通して読む程度で合格できる場合が多いようです。1日に取れる勉強時間など個人差はありますが、1か月程度が目安になります。
Javaプログラミング能力認定試験
Javaプログラミング能力認定試験とは、Javaに関する基本知識があり、オブジェクト指向に基づいたアプレットやアプリケーションプログラムを作成できるスキルを有することを対外的に証明できる資格です。
認定基準は1級から3級まであり、3級であればオブジェクト指向の基本的な概念を理解していて、Javaで簡単なプログラムが書ければ合格できます。この資格を取得すると、Javaをきちんと使えるエンジニアであることを対外的に証明することができ、エンジニアとしての評価が高まります。
難易度とポイント
業界未経験者でもチャレンジしやすいのは3級で、基本的な知識があれば合格できます。2級からは少し内容も難しくなりますが、実務経験のある場合には比較的難易度は低いです。1級からはプログラムの仕様変更などを実際に行う実技が加わり、求められるスキルは高いです。また、求められる知識は2級と3級に比べるとかなり実務的です。
受験できる機会も3級が年3回ありますが、1級のみは年1回となり、チャンスも少なくなります。過去問題集が存在しないので、公式サイトからサンプル問題をダウンロードするなどして、勉強方法を工夫する必要もあります。
転職やキャリアアップを目指す時に使えるプログラミングの資格
高技能なプログラミング資格は転職やキャリアアップに役立ちます。難易度は高くなりますが、取得しているとスキルの高さを証明できる資格を紹介します。
情報処理技術者試験
情報処理技術者試験は、経済産業省が情報処理技術者としての「知識・技能」が一定水準以上であることを認定する国家試験です。
初学者向けでスキルレベルが1とされる「IP(ITパスポート試験)」は土台の知識が無くても勉強に取り組みやすい試験であり、ITの基本知識が問われます。レベル2の「FE(基本情報処理技術者試験)」と「SG(情報セキュリティマネジメント試験)」、レベル3の「AP(応用情報技術者試験)」からは情報処理の幅広い分野から出題されます。
レベル4の高度試験と呼ばれる試験群では、データベース・ネットワーク等に分野が絞られ、合格には専門性の高い知識が必要となります。
難易度とポイント
初学者向けの試験であるITパスポート試験で、平成28年度の合格率は48.3%です。高度レベルIT人材の証明となるレベル2の基本情報処理技術者試験で同年度の合格率は26.6%、レベル3の応用情報技術者試験では21.0%となっています。
レベル4の高度試験では全ての区分の合格率が10%台となっており、合格には専門的な知識や応用力が必要であると言えます。
基本情報技術者試験
基本情報技術者試験は、エンジニアとしてキャリアを積みたいなら取得しておきたい資格です。ITエンジニアになるための登竜門的な資格であり、高度なITエンジニアとなるために必要となる基本的な知識と技能を有し、実践的な活用能力を身につけている方が対象になります。
とても人気の資格なので、この資格を履歴書に書いているエンジニアは多いです。試験勉強を通してシステムに関する、広範囲な基知識を習得できるのもメリットの1つです。
難易度とポイント
基本情報技術者試験の合格率は 20%~30%です。難易度が高いのでしっかりとしたIT知識が必要になります。
他の試験区分に比べてバラつきが大きくなっています。午前も午後も60点以上で合格となります。午前の試験は過去問をチェックすることで対策することが可能です。午後の試験は難易度が高く、より実務寄りで専門的な知識が問われます。
応用情報技術者試験
応用情報技術者試験は、基本情報技術者試験の上位に位置する資格です。
ITエンジニアの登竜門といわれる基本情報技術者試験と違い、応用情報技術者試験はITエンジニアとしてワンランク上を目指したい人のための資格になっています。統計資料には応用情報技術者試験を受験した人の平均年齢は20代後半とあるので、大体の人が社会人として数年キャリアを積んでから試験に臨んでいるということが分かります。
この資格を持っていれば、社内での評価、提案の説得力は増すでしょう。また、この資格の難易度を知っている相手からの信頼度はぐんと上がります。メリットについては後述しますが、スペシャリスト系の試験の一部免除、会社によっては手当の対象になることもあります。
ITエンジニアとしてキャリアを積み、この先ワンランク上のエンジニアになりたいと考えているなら資格取得に挑戦することをオススメします。
難易度とポイント
合格率は基本情報技術者試験と同じですが、受かりやすさは全く異なります。数年キャリアを積んだエンジニアですら4人に1人の合格率です。
合格率の低さの理由は、午後の「記述式の問題」であることが挙げられます。基本情報技術者試験では4択問題しかありませんでしたが、応用情報技術者試験からは記述式の問題が出題されます。
応募者数と受験者数の差が2万人と大きいのも特徴で、応募したけど何らかの理由で受験しなかった人が2万人ほどいます。その中には途中で挫折したという人も含まれ、それだけ難しい内容の試験であるということがわかります。
システムアーキテクト試験
システムアーキテクト試験はシステム開発に必要となる要件を定義し、要件を実現するためのアーキテクチャを設計する能力を認定する資格です。試験は毎年10月に実施されており、申し込み期限は7月初旬から8月中旬までとなっています。
システムアーキテクトは高度なレベルを持つIT技術者です。システム開発において、上流工程を主導する役割を担います。IT業界では、プログラマーやエンジニアの上級職と認識されています。
システムアーキテクトが行う仕事は一人だけで行うことは不可能です。他の技術者や顧客とともに分析・設計などを行います。そのため、純粋に技術力が高いだけではなく、コミュニケーション能力やプレゼンテーション能力も求められます。
難易度とポイント
システムアーキテクトの試験の例年の平均合格率は15%程度と言われています。IPA(情報処理推進機構)が設定する資格難度を示すスキルレベルは1〜4までありますが、システムアーキテクトはスキルレベル4に設定され、難易度は高い試験であるといえます。
システムアーキテクトの試験に合格するためには、幅広い知識や経験を求められます。日常の仕事での業務知識や経験を蓄積しておくことが必要でしょう。
プログラミングの資格が役に立たないケース
苦労して取得したプログラミングの資格が有効に働かない場合があります。せっかくの資格の勉強に費やした労力が無駄になってしまいます。どんな場合に資格が役に立たないのかを紹介します。
応募先の企業で活かせない場合
応募したい企業の仕事と関係がない資格を持っていたとしても、採用では有利にはなりません。資格を取得していることが高いモチベーションの証明になるとも捉えられますが、基本的には実務経験の方が優先されます。
部署異動や業務内容の変更の際に、資格が判断基準になる場合があるかもしれませんが、まずは入社するために必要な資格を取得するべきでしょう。しっかりと応募する企業の業務内容を把握して、資格取得の要否を判断しましょう。
資格ではなく実務経験を重視している場合
資格よりもプログラミングの実務経験を優先している企業は多く、即戦力が欲しい企業は資格の有無よりも経験のある人を採用します。そのような企業の場合、資格があっても実務経験がなければ、いくら詳しい知識があっても採用にはなりません。また、年齢が高くなるにつれて実務経験を重要視される傾向が強いです。
プログラマーとして就職したいだけの場合
資格がなくてもプログラマーになることは可能です。資格を持っていると、ある程度の知識を持っている事の証明にはなりますが、スキルが身に付いているという証明にはなりません。企業がプログラマーに求めているものは、実際の現場で動ける人材であり、肩書を持っている人材ではありません。
実際の業務でプログラマーは、参考書に載っていない多くの問題にぶつかります。また、クライアントの要件に合わせたシステムの設計や予期せぬエラーの解消など、乗り越えなければならない障害がたくさん出てきます。その為、何かしらのシステムを作り上げた経験のほうが重要視されます。またシステムのどの工程に関わったかが重要になるので、全般的な知識はそこまで必要はありません。
プログラミングの講師になりたい場合
プログラミング講師になるために、必須となる資格はありません。資格よりもコミュニケーションスキルや指導経験などが重視されます。
雇用形態や指導レベルにもよりますが、無資格でプログラミング講師として働いている人は多いです。よって、プログラミング講師に資格や経験は必要ないと言えるでしょう。ただ、プログラミングの知識や実務経験を持っているのは講師としてアピールできるポイントです。知識や経験を客観的に伝えることが難しい部分が多いですが、資格があるとスキルを伝えるのに役立ちます。
プログラミングは資格だけでなくスキルも身に付けよう
プログラマーとして働く際は即戦力性が求められます。資格を持っているが実務経験はない人よりも、資格を持っていないが実務経験豊富な人材のほうが高いニーズがあります。資格を取ることだけでは無く、実務経験を通してスキルを身に付けることも意識しましょう。