セミナー概要

今、ネイリストから絶大な人気を誇る望月美沙さんと青木かおるさん。
11月開講の「ネイルサロンアート講座」に先駆けたオンラインセミナー第3回では、「予約がとれないネイルサロン」となったおふたりの意外な軌跡を、皆さんからのご質問とともにお話いただきました。

青木かおる
Introduce

青木

「ネイルサロンベーシックコース」では、筆の構えからサロンで起こるトラブルや接客方法まで網羅したスーパー基礎と応用を学びます。
「クリエイティブアートコース」では、アートのおこし方から配色、トータルバランスを理論からひもとき、実践に結びつけられるカリキュラムです。
通常、「5年の修行が必要」と言われる技術のポイントを要約し、短期間でプロ中のプロを育てます。

望月美沙
Introduce

望月

ニュアンスアートが苦手な方から、より深く学びたいという方に向け、色の組み合わせや独特な奥行き感の出し方などをお伝えする「ニュアンスアートコース」。つい感覚でやってしまいがちなニュアンスアートですが、アートには配置のルールやバランスの法則があります。
サロンでの時短ワークから、これから求められるニュアンスデザインの応用力まで身につけ、よりサロンワークが楽しくなる講座内容です。

【対談】
〜トップネイリストに
なるまでの軌跡〜
望月×青木 history

青木かおるの原点、
それはアムラー

青木

私は、昔むかし福島のあるところのネイルスクールに入ったのが始まりです。当時はまだスクール自体が少なく、ハワイやカリフォルニアの州ライセンスをお持ちの先生がいらっしゃると聞き、ハワイに行きたいという気持ちで入ったんですが、道具も高くて輸入品しかないような時代。スクールでは思っていたことと違う⁉️ということも多々ありましたが、短大に通いながらなんとか学べることだけは学んで卒業しました。

望月

短大では、どんな勉強を?

青木

美術系で、陶芸などが学べたのですが、就職できるスキルまでにはならない……という学校で。私、アムラー時代のコギャル世代なんですよ。安室ちゃんが写真集でフレンチスカルプチャーをしているのを見て、付け爪に憧れて。それと絵やデザインが好き。その全部合わせた世界がネイルかもしれないと。

望月

映画「SUNNY 強い気持ち・強い愛」の時代ですね。

青木

そう。あの頃ってサロンでネイルしてもらうのに入会金が必要だったんですよ。入会金2万円のスカルプチャーで2万円。

望月

高いっ!

青木

自分で学んでやれば、これが永久にタダだとも思いました(笑)。

望月美沙はクルマ屋さんで
働きながら猛特訓

望月

私も高校時代からネイリストに憧れていたんですが、人見知りだし、ネイリストとして仕事ができるか自信がなくて。メイクやファッション、カラーコディネイトなどまとめて学べる短大に入ったんですよ。そこでネイルが一番楽しく、一番成績も良く卒業できたのが自信につながりました。
卒業後は、クルマ屋さんで事務をしながら、ネイルスクールに1年半通い1級を取得しました。週末や平日の夜は、友達の手をひたすら借りて練習。自分のキューティクルからも血を流しながら特訓していましたね。

青木

スクール時代はまわりの人も、犠牲になりますよね。私も認定講師を受ける時は、当時付き合っていた彼氏にフレンチスカルプチャーをしたり、母や父の手も借りてました(笑)。
十九、二十歳の頃は私も望月先生同様、人見知りをこじらせていて、先生から「かおるちゃん、技術がどんなに上手になっても、お客様に選ばれるのは技術だけじゃないんだよ」と言われ、とても悔しかった。
そんな時、たまたま町で声をかけられ、地元の百貨店の販売員になったんです。接客を学ぶうちに、こじらせていた人見知りが次第にほぐれてきました。

まわりのやる気に
挫けそう…時代

青木

最初に入ったスクールは、ネイリスト協会の理事の先生が経営する一番大きなスクールだったんですが、皆、やる気満々で良い意味での負けん気があって、自分だけなぜできないんだ?と焦ることもありました。

望月

私もスクールに入った時にやる気のある方がとても多くて、ついていけるか不安に(笑)。でもいざ始まるとすごく楽しく、まわりについてこうとがむしゃらに取り組んでいたのを、今も思い出します。

青木

時間を忘れられるほど夢中になれることが、他にはなかったよね。

望月

本当にそう。私は凝り性の飽き性なんですが、ネイルだけはどんどんどんどんのめりこんでいく。終わりがない技術職で一生飽きないと思います。

あきないとは…?

青木

商いは、飽きないこと(笑)と、開業する時に、おやじギャグみたいなこと言われたんですが、自分の商売が飽きてしまうことだったらダメだった。

望月

そうですよね。スクールに通うことにも、サロンをオープンするのにもお金と勇気が必要だけど、それも気にしないほど、よしやるぞというワクワク感のほうが私も強かったです。

青木

ネイルとは関係のない仕事をしていた時、「このままネイルをやらなかったら、ずっと後悔しそう」と思ってて。そんな気持ちのせいか、上京し、2つ目のスクールに4月に入学すると10月には1級取得、就職したその1年半後には、認定講師1級も取りました(*認定講師は実務経験3年以上が必須条件だが地元でのアルバイト経験でクリア)。「あとでやろう」は、絶対に後悔する。落ちてもいいからやってみようと。

望月

資格があると自信にもなりますし、お客様も安心してくれますよね。

青木

ネイリストは国家資格じゃないから、何者かを証明してくれるのが資格。少しずつ“認定証”を宝物みたいに集めていました。

望月

私はサロンで働いた経験がなかったのでお店をオープンした時は、正直苦労しました。資格を心の支えにしながら、わからないことは、恥ずかしがらずまわりのネイリストさんにどんどん聞き、成功している人のまねをしたりしながらなんとかここまでやってきました(笑)。

あの先生に出会えたからこそ

青木

私もサロンに長期では勤めたことはないんですが、貴重な経験でした。東京で最初働いたのは、読者モデルの子とかが来る池袋のサロン。スカルプチャー全盛期で3Dアート10本、それを1日3〜4人やっていました。

望月

なかなかのハード……。

青木

そこで知り合ったのが、松田ようこ先生。

望月

なんと今、有名な!

青木

松田先生とは、帰り道に一緒に愚痴を言い合ったりしていましたね(笑)。次に勤めたのは、南青山でお客様1回4万円という高級サロン。六本木ヒルズに住んでいる人、初めて見た!みたいな。でも、どちらでも私は即戦力にはなれず、オーナーにはクソミソに怒られてました。毎日「遅い、ヘタクソ、早くしろ」と。今日は何を怒られるんだろうと。今思うと、早くする必要性や上手に仕上げなきゃいけない必然性がちゃんとある。今は言う側だから、親になって親の心を知りました。振り返ると感謝しかないです。

望月

私もスクールの先生が厳しくて、「やる気あるの?」「このままだと検定に落ちるよ?」と言われながら通っていたんですが、あの時で厳しくしてもらえたから今の私があるのかなと思います。

青木

愛、だったんですね。

望月

愛……に毎日震えてましたが(笑)。

セミナー参加者の
ライブアンケート

1*自分のジェルワンカラーに問題ないと思うか?

青木

皆さん、謙虚ですね。ただワンカラーはごまかしがきかないので、一番技術力を見られるところです。お客様は無意識につめを触るので、表面にゆがみがあればすぐわかってしまいます。サロンでは基本メニューのワンカラーからデビューする方が多いと思うのでぜひクリアしましょう。

2*自分のワンカラー技術はこのくらいの単価を取れる価値がある。

青木

都内はやはり激戦区。「ホットペッパー」調べだと平均単価が5000円くらいだそうですが、もっともらいたいよね(笑)。
マクロレンズで撮っても、ぴたりとしたキューティクルラインのジェルを塗られるような技術力の高い先生だと、ワンカラー1万5000円が相場です。もしかしたら、ネイリストさん自身が必要以上に値段を下げているのかもしれません。
自信がないから3000円にした場合、お客様は3000円でこの程度のレベルか……と思うのか、逆にこんなにきれいにやってもらえて3000円!と思うのかでは、まったく違います。
お金の話で言うと、スクールに通っている子あるあるだと思いますが、友達にやってあげた時、材料代とか交通費はどうしたら良いかと相談受けます。私は、やっぱり自信がまだ持てない、練習台になってもらった場合は、お金をいただけないとも思っています。

3*もちのいいベースジェルが知りたい。

青木

やっぱりみんな、知りたいよね。メーカーによってそれぞれの理論があり、私もさまざまなジェルを買います。でも、結局同じものを使っているんです。そうなると、ものなのか?自分なのか?
私は(密着度が高いと言われる)強酸タイプのベースジェルを好んで使いませんが、「爪が傷む」という考え方をご理解いただけるとクレームにはなりません。「もち」にこだわるあまり、道具に振り回されてはいけないと思うんです。
また、もちがいいということは、プロネイリストにとってお客様が来店する周期を逃してしまうこと。ジェルは「永久」や「絶対」を約束するのはものではなく、お客様と自分の信頼関係でカバーしていくもの。コンディションに応じベストを目指しましょう。

Question & Answer

Q

サイドラインやキューティクルラインが、施術後2日目から白っぽく目立ちます。お客様の問題? 施術の問題?

青木

両方かもしれません。事務職の方は乾燥がひどいなど職業的なことも。またキューティクルオイルで塗る前に、肌に浸透しやすいもの入れてカバーする。あとは必要に応じマシンで削る。ただし、手動のメタルプッシャーとニッパーが使えてない段階の方にはおすすめしません。

Q

爪の形やサイズに合わせて筆は変える?

青木

特に変えません。好みもありますが、基本的にベーシックコースでは、フラットブラシを使います。「キューティクル側を塗るのが苦手な場合、オーバルブラシが良いですか?」と聞かれますが、たとえばポリッシュ、結構角がありますよね。でもポリッシュにはオーバルブラシとかありません。ブラシに頼りすぎるとお金なくなっちゃうよ、ということもあります。

Q

つめ先にジェルが溜まってしまう原因は?

青木

ずばりストロークです。筆の正しい抜き方があります。お作法じゃないけど、その構え方や筆の持ち方を正すだけで、全然変わってきます。

Q

ワンカラーの平均時間は?

青木

フォルムにこだわり2時間で8000円なら良いかと思います。私は塗るよりもケアに時間かけますが、ケアを含めた時間と料金が比例してれば良いんじゃないかな。

Q

サロンワークを経験せずに自宅でサロンを始めたいが、出血した場合や、予約の重複、顧客管理などの講座はある?

青木

「ネイルサロンベーシックコース」では価格設定や出血の場合等の対処法もお伝えできればと思います。

Q

個人経営では流行にアンテナを張らなくては、と不安があります。

青木

ネイルの流行の周期は早いので、新作を提案できるのが理想的。どんな人を呼びたいかをまず考えることかもしれません。

望月

インスタグラムで色んな人のアートを参考にしたり、空き時間に自分の専門ではないデザインの練習をして幅を広げることができると思います。

Q

田舎の自宅で個人サロン営業は厳しい?

青木

好奇心があればどこにいても勉強はできると思います。今、もし他のお仕事をされているなら、それが強みになるかもしれません。ネイルでどこを目指すのか? オーナーになるということは、自分を戒め奮い立たせること。そういうマインドがあれば、きっと大丈夫!

望月

私も静岡でここまでやってきました。場所がどこでもサロンワークがより充実するお手伝いをできればと思っています。

今回のデモンストレーションでは、
青木先生によるネイルケアとワンカラーの貴重なテクニックを披露していただきました!
ご参加いただきました皆さま、誠にありがとうございました。