セミナー概要

今秋10月にスタートする「ネイルサロンアート講座」に先駆けて、7月20日に行われた旅するネイリスト望月美沙先生と青木かおる先生による
オンラインセミナー第1回目。中東をテーマにしたニュアンスアートのデモンストレーションとあわせ、ネイリストを目指す方々に伝えたいサロンワークや、旅や日常で得たインスピレーションをデザインに落とし込むヒントまでお話いただきました。

旅のひらめきをデザインに

青木

望月先生は、旅ではどんなところにインスピレーションを感じますか?

望月

大自然やホテルの入り口のタイルや壁紙、また現地のファッションやメイクからもインスピレーションを得ます。とくに中東のヨルダンは町の雰囲気も素敵で、いろんな遺跡が一気に見られるのも魅力的です。印象に残ったものは写真におさめ、帰ってから自分なりのアレンジを加えデザインに落とし込むというのをやっています。

青木

中東の旅って、ちょっと上級者向けですよね。

望月

でもなぜか行くと落ち着くんですよ。もしかして私、前世は中東の人だったかも? って思うくらい(笑)。

青木

それなら私は韓国かも。食べ物も美味しいし、向こうでは韓国語で話しかけられます。DNAが海を渡ってきたのかもしれません。

望月

青木先生は、どんな時にインスピレーションを受けます?

青木

私はアクセサリーを作っている時かな。もともとジュエリーアドバイザーとして働いていたのですが、毎日、石をじーっと見ながら勉強をしていたんです。やっぱり宝石はときめきます。私が好きなのは、黒い点々が中に混じっている原石のようなもの。望月先生がおっしゃっている「爪先をアクセサリーに」、本当にそうですよね。

中東の
イマジネーションネイル

望月

今回は、ヨルダンの死海の波打ち際をイメージしたデザインです。白い部分が死海のお塩。5分も入っていられないほど塩分濃度が高いんですよ。また、砂漠のごつごつした岩の立体感を、イクステンションジェルで作ります。そして砂がキラキラ反射するサンセットを再現したくて作ったグリッターが「デザートサンドグリッター」です。ヨルダンの砂漠で向こう側に沈む太陽を見た時、あまりの美しさに写真を撮るのも忘れてしまったんです。

青木

望月先生のニュアンスアートは、凹凸(おうとつ)の作り方が独特で、本当にオリジナリティに溢れていますよね。私は波模様から中東のペトラ遺跡の色をイメージした地層アートを作ります。

感覚に頼らない
ニュアンスアートの秘儀

青木

ニュアンスアートは、色合わせが難しいですよね。

望月

インパクトのある色を持ってくるとデザインが死んでしまったり、色使いやテクスチャーで仕上がった時の質感も変わります。

青木

やめるタイミングも難しい。いつ止めるか(笑)。

望月

永遠に触ってられますから、つい多くを取り入れたくなっちゃいますが、メインを何にするかを決め、そこを引き立たせるよう私は心がけています。

青木

洋服のコーディネイトと同じで、ポイントを置くのはトップスなのかボトムスなのか。アクセサリーはどれぐらいのボリュームがいいのか、プラスとマイナスのバランスがとれていると、派手ではなく華やかになります。

望月

そうですよね。今、ニュアンスのデザインは普及していますが、「ニュアンスアート」の講座では、感覚だけではなく、ブラシワークの細かな角度や使い方、日常で得たインスピレーションをデザインに昇華する方法までお伝えできたらと思います。また、実際に私が行っている時短の方法もご提案できたらと思います。

自分だけの
オンリーワン・デザインを

青木

今回私が担当する「クリエイティブアート」は、デザインの起こし方からトレンドアートやカラーを取り入れた、自分だけのオンリーワンのアートを生み出す方法を学ぶ講座です。縦と横の美しい比率や、天然石の濃い部分をどこに置くか、そこにある石をネイルに落とし込むなら「何番と何番がそれに近いか?」など、具体的にアウトプットできるマニアックな技をお伝えできればと思います。

青木

また、よく言われることですが『息をとめて描く』というのは、サロンワークではちょっと大変。どれだけ早く、価値あるものを完成させられるかが、ネイリストの課題。
道具も進化していくのでツールも大事ですが、基本になる感性の部分から、息の長いネイリストさんになるために必要なノウハウをお伝えしたいです。

そのトラブルの
解決策、あります

青木

私は認定講師で試験官を担当させていただいたり、生徒さんの指導する立場から考えるのですが、検定の合格を目指すゴールと、サロンワーカーさんとしてお客様を満足させるゴールはぜんぜん違うんですよね。生徒さんがサロンワーカーとして、本当に知りたい技術とは何か。「ネイルサロンベーシック」は、例えば、ねじれがあったりくせのある爪と出会った時、「誰か教えて助けて!」という時のトラブルQ&Aをきゅっとつめこんだ講座です。見た目は一緒でも、料理なら出汁がちゃんととってあるからプロの味になる。アートをほどこさないワンカラーでも究極に美しい、そんなサロンワークを目指します。

そしておよそ15分で完成したニュアンスアートデザインがこちらです。

そしておよそ15分で完成したニュアンスアートデザインがこちらです。
対談しながらあっという間に素敵なアートが完成しました。

対談しながらあっという間に素敵なアートが完成しました。

セミナー参加者からのQ&A

参加者

違うカラーでも、同じ筆を使っていますか?

青木

同系色の場合は、軽くぬぐいながら同じ筆を使っています。結構、ルーズな感じでも大丈夫。

参加者

今日、使ったカラーは?

望月

「STORYJEL365」の「202S」のグレージュのシアーカラー。ホワイトは、テクスチャーが固めの「302 M」。グリッターはミキシングジェルを、立体のところはイクステンションを使用しました。

参加者

青木先生のおすすめカラーは?

青木

中東カラーですと、「STORYJEL365」の「202」と「131」です。

参加者

ネイルのオフにはどれくらいかかりますか?

望月

25分ぐらいです。凝って見えますがカラー2色の時短デザインなので、普段からケアとオフを含めても平均1時間45分で終えています。

青木

私もトータルで2時間程度。なかなか取れない「オフ」や「プレパレーション」など、どうしてもデザイン以外に時間はかかりがちです。ただメイクもちゃんとスキンケアをしてからするほうが良いように、ネイルも(土台を整える)基礎の技術が大切。スムーズに進められる方法がちゃんとあります。

参加者

望月先生はスクールの後、独学されたそうですが?

望月

もともと好きな系統のデザインがニュアンスカラーだったので、最初はインスタグラムの画像を見て、まねていました。そこからアレンジするようになり、日常生活でもお皿の柄や壁の模様などにアンテナを張るように。技術に関しては、じつは私はサロンワークをしたことがないので、ネイリストの先輩にわからないことを恥ずかしいと思わずどんどん聞くことを心がけていました。

参加者

色を混ぜることはありますか?

望月

今はほとんどありませんが、グリッターをミキシングしたり、お客様のお肌のカラーを見ながらの調節はいたします。

参加者

フィルイン(伸びた爪との段差を修復すること)はしますか?

望月

フィルインは「STORYJEL365」が推奨していないので、オフすることが多いです。オフする場合は、極力爪が傷まないよう心がけています。

参加者

アート筆のおすすめは?

青木

「STORYJEL365」の「ショートライナー」。講座の教材にも入っていますが、極細線が描け、イベントでも品切れする人気アイテムです。

望月

私は、「マルチラウンドブラシ」。コシがあり程よく太く毛先があるので、爪の上でシアーカラーを混ぜる際も使いやすいです。

旅からインスパイアされた
デザインの興味深いお話や
デモンストレーションなど
盛り沢山のセミナーとなりました。
ご参加いただきました皆さま、
誠にありがとうございました。