2010/10/20 Release

HIGE (オフィシャルサイト)
2003年7月ミニアルバム『LOVE LOVE LOVE』でインディーズデビュー。2005年5月アルバム『Thank you,Beatles』でメジャーデビュー。2010年7月6thアルバム『サンシャイン』をリリース。収録曲『三日月』はヒューマンアカデミーのTV-CMソングにも使われている。

須藤 寿(Vocal&Guitar) 川崎“フィリポ”裕利(Drums&Percussion) 宮川トモユキ(Bass) 斉藤祐樹(Guitar) 佐藤“コテイスイ”康一(Percussion&Drums)



僕らは常に遊んでいるみたいなものですよ。
タイムカードがあるわけじゃないからね。


遊び心が持ちにくい時代ですよね?

「それでも遊び心をみんなで共有しながら、
仕事ができたらいいと思う。もっと自由にね」



ロックバンド、HIGE。
自分たちがやりたい音楽を自由に奏でることが、
ミュージシャンである彼らの生活です。
自分の好きなことをひたすら続けていく、
ひょっとしたらそれこそが「天職」の意味なのかもしれません。
「ライブは常にとちっているんだと思う」と言うHIGEは、
失敗の中にある輝きを求めてロックしています。


編集部 須藤さんは浮遊感があって、シニカルで、
どこか心のひだを突いてくる
独創的な歌詞の世界観をお持ちだと思いますが、
作詞するときにどんなことを考えていますか?
須 藤 僕ね、なんにも考えてないんですよ。
歌詞は片手間で書いています。
思いついたことを思いついたまんま歌詞にする。
自意識の深い海の中に入って歌詞を書こうとか、
そういうタイプではないですね。
何年か前に書いた自分の歌詞を耳にすると、
新たな発見があったりもします。
韻を踏みながら、
言葉の連想ゲームでつないでいく感覚です。

バンドに入れてもらったときに、
歌詞を書くって意外と誰もしたことのない作業だったので、
自然にまわってきた役目という感じでしたね。
まあ、歌なわけですからね。
スポークスマンであり、アジテーターであり、
ボーカリストである自分が書くのがいいのかなと。
そう思って書き始めたんですね。
自然に言葉をつむいでみたら、
ラッキーなことにつむげるタイプの人間だった。
そういうことなのかもしれません。
編集部 ヒューマンアカデミーのCMソングにも使われている
『三日月』は、どのフレーズが最初に出てきましたか。
須 藤 「僕らは三日月 少し欠けた月」です。
そこが出たら、あとの歌詞はだいたい全部出てくるんですよ。
はじめに出たフレーズの世界に、
言葉の連想ゲームによって近づいていく。
もちろん現実に経験していないことは書けないだろうから、
連想ゲームの中には
これまでの経験も多分に含まれているとは思いますけどね。
編集部 「僕らは三日月 少し欠けた月」。
はじめに伝わってくるのは、
言葉の意味ではないような気がします。
そのフレーズを聴くと、
いきなり見える景色が変わるという感じがして。
須 藤 そうですねぇ、うん。意味じゃない気が、僕もします。
バンドを見てわかる通り、
自分も含めて、欠けている人間としか付き合っていないので、
そういう言葉が出やすいのかもしれない。
僕らはすごく大事な部分が欠けていますよね。
少しどころか、だいぶ欠けてる。
編集部 だいぶ欠けた月〜♪
須 藤 それじゃあ、詩的じゃないなと思って(笑)。
編集部 続きまして、「遊び」についてのお話をひとつ。
須 藤 遊ぶのは大好きですね。
さんざんスタジオで遊んだあとに、
みんなで一晩中踊っちゃったりします。
よく遊び、よく飲みます。
まあ、僕らは常に遊んでいるみたいなものですよ。
誰に求められるでもなく、自分で曲を書いて、
スタジオでアレンジしてね。
コテイスイ タイムカードがあるわけじゃないからね。
須 藤 ほんとに自由にやらせてもらって。
だから言ってしまえば、ずっと遊んでいます。
編集部 反面で遊んでいないと、
仕事ってうまくいかないみたいですね。
斉 藤 実は遊べるタイミングっていうのは、
自分の身を割いて行くくらいじゃないと、
どんどん逃れていっちゃうんですよね。
僕も遊べるタイミングのときには、
「よしっ!」と言ってダッシュですよ。
はあはあ言いながら、お酒飲んでる。
須 藤 仕事をしている中にも、遊びを見つけていく。
そういう感じも必要なんじゃないかな。
子どものころの創造性を持ったままやっていけたら、
ほんとうに自由になれるだろうし、
そういう感覚を忘れたくないとも思う。
わからないけど就職活動とかでも、
遊び心ってすごく大事なんじゃないかな。
編集部 今は、遊び心が持ちにくい時代ではあるんですよね。
須 藤 すべてが与えられたゲームになってしまっているしね。
ただ、それでも遊び心をみんなで共有しながら、
仕事ができたらいいんじゃないかなと思うんですけどね。
もっと自由にね。
フィリポ なるほどね。そんな気はしますよね。
仕事するにしても、
いい意味でのトランス状態に入れたら楽しいだろうし。
「つまんないな」と思ってやるのか、
「面白いな」と思ってやるのか。
それが気の持ちようで変わるんだったら、
きっと遊び心を持って仕事したほうがいいですよね。
編集部 これまで生きてきて、
「失敗したなぁ」と思うことはありますか?
須 藤 ライブって常にとちっているんだなと思うんですね。
ライブの中でとちった瞬間がものすごい輝きを放ったり、
間違えたところが逆にすごくよかったりして。
CDとは違う現場の魅力というものは、確実にあります。
だから基本的に、僕らは失敗しながら生きていると言える。
実はなにひとつうまくいっていない気もするし。

ほんとうに「なにをやっているんだろう?」
と日々思いますもんね。
生きながら、ほぼ全部すべっている。
そういうところもすべてさらけ出して、
みんなに見てもらいながら、
その中にある輝きを自分たちで探しているのかもしれません。
音楽やって生きているなんてね、
ローリングストーンとはよく言ったもので、
転がっていますよ、間違いなく。
そう思います。ほぼ成功していませんよ。
編集部 つまり失敗を成功とイコールにできる
表現だということですね。
では、「ハッピー」を感じるのはどんなときですか?
宮 川 すごく面白い映画を観たときに、
むちゃくちゃハッピーになります。
僕はマニアックに映画を観るタイプではないですけど、
面白い映画を見つけるとハッピーになりますね。
最近は今さらですけど
アニメ映画『イエロー・サブマリン』を観て
ハッピーになりました。
ああいった感じの作品が大好きです。
斉 藤 今こうして、インタビューで
ヒューマンアカデミーの方たちと関わっていられることが、
僕にとっては素晴らしくハッピーなことです。
編集部 それは光栄です。ありがとうございます。
斉 藤 僕は「どうも、どうも〜」と調子よくは話せないけど、
心の中では小さな自分が、
「今日ははじめて会う人と仲良くできるよ」って
喜んでいる感じです。
僕がずっとぼーっとしている人間だったら、
きっとこういう機会にもめぐりあえないわけで。
お互いにやりたいことがあって、
そのために人と人が出会えるというのは、
世界中に何億人いるのかわからないけれど、
すごく小さな確率じゃないですか。
そのことにハッピーを感じています。

坂本龍馬がなぜあんなに走りまわったのか、
今ごろになって「あ、そういうことだったんだ」と
わかった気がするんです。
人と出会って話をすることが、ものごとを大きく動かすし、
それが人間として生きていることの幸せのひとつじゃないか。
変な話、どれだけの人と恋愛できるのか、笑い合えるのか、
その幸せを実感していきたいですね。
今日もうれしくてね、スキップしながら来たんですよ。
須 藤 それ、嘘でしょ?
斉 藤 もちろん心の中で、ですよ。
ほんとにスキップしていたら
「細長いやつがスキップしているぞ」って
騒ぎになっちゃうよ(笑)。

これから世の中に出てくる
タケノコかヒヨコかわからないけれど、
今がんばっている若者たちと、
僕も気持ちはいっしょだと思います。
みんな人との出会いを求めて就職を考えたり、
会社の面接を受けたりしていると思うけど、
出会いはこれからもずっと続いていくし、
そのひとつひとつを大事にしたいと思っています。
編集部 うん、すごくよくわかりますよ。
それからね、彼の良心がバンドを支えているんじゃないかと。
須 藤 いや、ほんとそうですよ。ものすごくそれは感じますね。
編集部 世界中の迷える女性に、
ひとつだけ言葉を投げかけるとしたら、
どんな言葉を投げかけますか?
フィリポ 「いけばわかるさ」じゃないですか。
編集部 (笑)。アントニオ猪木さん的な。
須 藤 僕たちも迷っていますからね。
みんな迷って生きているので、なにが言えるかな‥‥。

楽しいことがありますよね、世の中は。
たとえば日曜日の午後に「つまんないなぁ」と思って、
ひとりでぼーっとしていると、
なんだかそれが自分の人生のすべてで、
退屈だけが自分の全部だと思えてしまうときがある。
だけど5日後の金曜日には、
みんなと遊んで楽しいときもあったりして。
5日後なのか10年後なのかわからないけれど、
世の中には楽しいときが必ずありますよね。

だから投げかける言葉としては、
「次にやって来る、楽しいときを目指して生きよう」かな。

迷っているときは迷ってしまったほうがいいと思うし、
ほんとうに迷っている人には、
今、僕が言っていることも戯言に聞こえると思うけど。
人生が楽しいことだけだとは、もちろん思いませんが、
退屈に凝り固まっているのも、いかがなものかと思います。
もっと気楽にかまえてみたらいいんじゃないかな。
編集部 最後の質問です。
好きな色、食べ物、ミュージシャンを教えてください。
フィリポ 青。ファストフード。ザ・ブルーハーツ、ニルヴァーナ。
須 藤 黄色。醤油をかけないで食べる豆腐。
奥田民生さん、土屋昌巳さん、會田“アイゴン”茂一さん。
コテイスイ 赤。お米。ミッチ・ミッチェル。
斉 藤 緑色。鰹のたたき。マイケル・ジャクソン。
宮 川 ショッキングピンク。焼き肉。ユニコーン。
編集部 もちろん偶然だと思いますが‥‥ミラクルです。
好きな色、ゴレンジャーになりました!
一同 えっ?‥‥ ほんとだー! すげー! おもしろーい!
コテイスイ 黒は? 黒がないよ。
フィリポ クロレンジャーなんていないよ!
付録:HIGEからの一言メッセージ

意識的なのか、無意識なのか、HIGEの音楽は、
人と人とのめぐりあいをハッピーへと昇華させようとする
とても人間的な力から生まれてくるような気がします。
キープ・オン・ロックンロール。続けることの美しさを感じました。


次回は日本初プロバスケリーグ「bjリーグ」を立ち上げた
河内敏光さんを予定しています。お楽しみに!
                                 おわり


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