2010/10/6 Release

HIGE (オフィシャルサイト)
2003年7月ミニアルバム『LOVE LOVE LOVE』でインディーズデビュー。2005年5月アルバム『Thank you,Beatles』でメジャーデビュー。2010年7月6thアルバム『サンシャイン』をリリース。収録曲『三日月』はヒューマンアカデミーのTV-CMソングにも使われている。

須藤 寿(Vocal&Guitar) 川崎“フィリポ”裕利(Drums&Percussion) 宮川トモユキ(Bass) 斉藤祐樹(Guitar) 佐藤“コテイスイ”康一(Percussion&Drums)



自分たちの音楽が誰かの支えになれるのなら、
もう、ばっちりじゃないですか。


自分の好きなことを突きつめてきた結果として、
今の生活があるという感じでしょうか?

「人と人とのめぐりあわせとか、
そのタイミングで自分たちがどこにいたか。
『ラッキーだった』としか言いようのない
場面もあります」



ロックバンド、HIGE。
自分たちがやりたい音楽を自由に奏でることが、
ミュージシャンである彼らの生活です。
自分の好きなことをひたすら続けていく、
ひょっとしたらそれこそが「天職」の意味なのかもしれません。
「どこかの誰かの気持ちを後押ししてあげられる音楽」
30代を迎えて、生まれてくる歌詞の方向性が変わってきたそうです。

編集部 インタビューの大きなテーマは「天職」です。
そこでまず、HIGEのみなさんが
「音楽で飯を食っていく」と決意した瞬間があったのか、
教えてほしいと思います。
須 藤 個人的にはなかったです。
ゆるりとこうなったというか、ずっと続けてきたらこうなった。
もちろん「このまま仕事にできたらいいな」という感覚は、
ぼんやりとはありましたけど。
ミュージシャンだから曲を書いて、ライブで演奏する。
活動を続けていたら次第に動員が増えていって、
その延長線上に今の生活があるという気がします。
フィリポ 僕の場合は、このバンドに入ったことがでかかったと思います。
めぐりあわせというか、そこが一番の転機というか。
やっぱり大きなきっかけですね。
コテイスイ いまだに「仕事をやっている」という感覚ではないので、
「音楽で飯を食っている」という実感は、あまりありません。
「楽しいことをやっていたい」ということだけで。
斉 藤 まったく理由はなかったんですけど、
中学生のとき、「あ、俺ギターやろう」と思いついて。
それからずっと、ギター以外の選択肢を考えることなく
たまたま来てしまって今があるという感じです。
疑うこともなかったですね。
「駄目かもしれない」と思い始めたらやめると思うし、
そういうことを考える頭がなかったのかもしれないけど。
とにかく「好きだ」という気持ちだけがありました。
宮 川 僕は高校生のときにはじめてバンドを組んだときから、
「音楽をやっていこう」と思いました。
そのままずっと続けてきて、今ここにいるという感じです。
仕事としての意識を持って活動してきたわけではないですね。
編集部 みなさん、自分の好きなことを突きつめてきた。
それが「天職」という意味なのかもしれないな、とも思います。
須 藤 素晴らしいバンドがたくさんある中で、
どうして僕たちは続けることができたのか。
そう考えると、人と人とのめぐりあわせとか、
そのタイミングで自分たちがどこにいたか。
「ラッキーだった」としか言いようのない場面もあります。
編集部 須藤さんは楽曲もつくっているから、
孤独な作業もあったりしますよね。
須 藤 これも「ラッキーだな」としか思えないのですが、
僕は曲を書くのに悩んだことがないんですよ。すっといける。
新曲をつくらなければならないときに
ノーアイデアでスタジオに行っても、
メンバーといっしょにいると出てきちゃう。
このメンバーでバンドをやっているから、
そこに導かれるように書けるのかもしれません。
すごくありがたいと思っています。
斉 藤 「このメンバーといるからこうなっている」というのもあるし、
「俺がいるからこうなっている」という感覚もある。
その相互関係がちょっと面白い感じがするんです。
そんなにかっこいいものではないですけど、
人間的にも音楽的にもウマが合うというか。
ちょうどいい塩梅なのかなというのはあります。
編集部 「自分には向いていないだろうな」と思う仕事と、
その理由を教えてください。
須 藤 ほんとうにほかの仕事を考えたことがないんですよね。
就職活動もしたことないし。
うーんと、なんだろうなぁ‥‥。
自分で考える余地を与えてもらえないと、たぶん嫌になるだろうな。
自分が取り組むことに一つもアイデンティティがないような感じだと、
たぶんトンズラでしょうね。
コテイスイ 向いていない仕事は、警察官ですね。
団体行動とか、敬礼をばしっと決めるとかね。
僕、実は野球部にいたんですけど、ちょっとね、駄目だな。
フィリポ 僕は緻密な作業が絶対に無理だと思います。
コンピュータとかね、そういうのは無理ですね。
接客だったらいけるような気がするんだけどな。
一同 それは無理でしょう!
フィリポ そうかなぁ。割と好きなんだけどね。
飲食店でバイトしたこともありますよ。
編集部 お客さんの受けはどうだったんですか?
フィリポ ん? いや別に、可もなく不可もなく。
一同 (笑)。
斉 藤 確実に相撲部屋には入れないと思います。
(編集部註:斉藤さんはとってもスリムな体型です)
がんばって食べて太るということが、
たぶん絶対駄目だと思うんです。
食ってもなかなか太れないから。
宮 川 うーんとね、電話で営業する仕事。
あれは向いてないですね。
実は友だちに雇ってもらったことがあるんですけど、
3日で「もう、ちょっといいんじゃないか?」と言われたので。
‥‥友だちからクビを言い渡されちゃった(笑)。
傍から見ていると、にこにこして電話しているか、
すごく不機嫌になって電話しているか、
どっちかしかないらしくて。駄目ですね。
編集部 最新アルバム『サンシャイン』について、
お話を聞かせてください。
須 藤 2005年にファーストアルバムをつくってから、
ほんとうにいろいろな人に出会う機会があって、
その中で時間が経つうちに、
「いろんな人にもっともっと会いたいな」
と思うようになってきました。
だから今回のアルバムは、
たくさんのミュージシャンやプロデューサーと組んだ形で
つくっていこうと思ったんです。

歌詞の内容もそうですね。
僕らも30代に入って、
20代のころとは思うところが変化してきました。
自分たちの曲で他人のことを
バックアップしてあげられるような歌詞は、
20代のころは素直に書けなかったと思うんですね。
そういう気分でもなかったし。

だけど30代に入ったら、
自分たちの音楽で
どこかの誰かの気持ちを後押ししてあげられるのなら、
それはそれでひとつ、いいことなんじゃないかなと思って。
『青空』や『虹』といった曲に見られるように、
そういう心の移ろいが
『サンシャイン』には含まれているのかもしれません。
とくに歌詞面の話ですけど、自分ではそう感じています。
編集部 以前の作品は、「絶望感」から出発して、
抗ったり、突っ込んだりして、勢いそのもので表現している。
そんなふうに受け取れる歌詞が多いのかなと、個人的には感じました。
『サンシャイン』に入っているいくつかの曲の歌詞は、
それとは少し立ち位置が変わっていて、
癒されたり、励まされたりする印象も同時に受けました。

メンバーのみなさんは、須藤さんが書く歌詞の変化について
感じることはありますか。
フィリポ 「ここからがアルバムの曲」という感じで
始めたわけではないので、だんだんとですね。
歌詞を読ませてもらって、一緒に曲づくりをしていく中で、
変わってきているのはわかりました。
ただ、その変化はすごく自然なことだと思いますけどね。
編集部 『サンシャイン』に収録された一曲、
『三日月』がヒューマンアカデミーのCMソングに使われています。
女性が主人公のフィルムになっていて、
人生の転機を迎えたひとりの女性が、
お母さんのひと言で新しい一歩を踏み出すというストーリーです。
その中で『三日月』が持つ曲全体の印象が、
フィルムを支えていると感じました。
CMを見て励まされる女性も多いと思う。
須 藤 もしそうだったらうれしいですね。
ほんとうに最近はそういう気分なんです。
自分たちの音楽が誰かの支えになれるのなら、
もう、ばっちりじゃないですか。
CMで『三日月』に触れた人たちにもライブに来てもらって、
同じ気持ちを共有できたらうれしいし、
つながっていけたらいいなと思います。
編集部 『サンシャイン』にはプロデューサーとして、
奥田民生さん、土屋昌巳さんも参加していますね。
須 藤 ほんとにもう、すっごくナイスな人たちでした。
年を取るなら、あの人たちのように取ったほうがいいなと思う。
とてもシンプルな生き方をされているような
気がするんですよね。
一切の邪念なく、ただ自然にそこにいて、
ひたすら音楽をやっているという雰囲気。
逆にすごみを感じましたね。
フィリポ 自然でシンプルというのは確かにあるけど、
やっぱりみなさん、個性が強いですよね。
ほんとうになにを考えているのか、
ちょっとわからないところもあって。
ものすごい個性だなと思いました。
編集部 ところでみなさん、「野望」はありますか?
宮 川 いろいろな意味で、のんびり生きていきたい。
だらだらするという意味ではなくて、
のんびり生きていきたい。それが野望です。
フィリポ 野望じゃないですけど、希望というか、
今の仕事をずっと続けていきたいな。
野望とは言わないですけど、
希望としてこの仕事をずっとやっていきたいと思います。
斉 藤 もう少し人とていねいに話せるようになりたいですね。
人と話すことってすごく大事だなって、
ここ1、2年、ほんとうに思うようになってきて。
僕という人間を素直に見せられるようになることが、
すごく大事なんだなと感じます。
でもそれって、難しくないですか?

今までは「別にいいや」と思っていたんです。
「俺のことが伝わらなくてもいいし、
そんなに無理することないよ」と。
でも今は、こういう時代だからこそ大事な気がしていて。
人と話をするという根本的なところを
もっとていねいにやれたらいいですね。
たとえ僕の言うことに誰も反応してくれなかったとしても、
次の前進をやめるべきではないと思っています。
須 藤 野望と言われるとないですね。
じゃあ、なにがしたいかと言うと、
みんなが笑える場所にいられたら、それが一番いい。
手段は音楽でなくても、なんでもいいんですけど、
みんながとにかく笑っているところにいたい。
そんな気がします。
コテイスイ すごく小さなことでも、やり過ごさないようにしています。
大きなことばかりを見ている人は、
たいてい小さいことを見ていないことが多い。
細かいところをないがしろにするのはよくないですよ。
玄関で靴を揃えるか、揃えないか。
そこを揃えることによって、ひとつ正したわけじゃないですか。
須 藤 それって、「野望がない」ってことなんでしょ!
コテイスイ いや、細かいところでおかしいなと思うところを正していけば、
その結果として自分が思う野望につながるんですよ。
編集部 その野望がなんなのかをお聞きしたいのですが‥‥
コテイスイ 野望ですか?
誰にも迷惑をかけない幸せな暮らしです。
一同 (爆笑)。

好きな音楽を続けられることの喜びを、
素直に、そして真剣に語ってくれるHIGEのみなさん。
ときに笑いありの素敵な時間が過ぎていきます。
次回、後編はミラクルな結末が! どうぞお楽しみに。


                            つづく


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