2010/9/01 Release

Learning for best life アノヒトに聞きました

猪子寿之(いのこ・としゆき) (オフィシャルサイト)
徳島県徳島市出身。1年間の渡米を経て、2001年東京大学工学部計数工学科卒業と同時にチーム★ラボ創業、代表取締役に就任。2004年、東京大学大学院情報学環中退。大学では、確率・統計モデルを、大学院では、自然言語処理とアートを研究。産経デジタル取締役を兼任。

足りない部分を補ってくれる人が、
自分の好きな人だったら、幸せだよね。


子どものころ公園で遊んで楽しかった。
そういうことの延長線上に、チーム★ラボの仕事があるのでしょうか?

「高校の文化祭で、お化け屋敷を創ったんですよ。
 みんなで企画して制作する、
 プロセスそのものがすごく楽しかった。」


猪子さん

2001年に東京で活動を始めたチーム★ラボは、
テクノロジー、アート、デザインの境界線をあいまいにしながら、
独自のテクノロジーの開発、WEBのプロデュースから
インスタレーション、ビデオアート、ロボットなど、
メディアを超えて活動しています。
代表取締役社長の猪子寿之さんに、
「社会の未来にコミットする仕事」について語ってもらいました。

編集部 チーム★ラボのロゴに「★」がついていますね。
猪 子 マリオの星。
スーパーマリオが好きだったので。
編集部 ファミコンでコンピュータ関係に意識が向かっていって、
やがて今の仕事に至るという感じなのでしょうか。
猪 子 いやいや、そういうことじゃなくて。
インターネットと出会ってから、変わりました。
やりたいことがあって今の仕事を選んだわけではなくて、
友だちと一緒にいたかったんだよね。
編集部 えっ? あー、はい。
猪 子 自分の好きな人と一緒に働きたかったから、
それで起業したんです。

1996年に大学に入って、
ちょうどそのころインターネットに触れて
すごく時代が変わるような気がしたから、
新しい社会で生きていったほうがいいなと思った。

それから、自分が生きている社会の未来に
コミットしなければいけないという、
強迫観念のようなものがずっとあって。
そういう仕事をしようとも思ったんです。

新しい社会で仕事をした方がわくわくするしね。
新しい社会が好きとか、新しいことが好きとか、
社会全体で何が大事なのかとか、
社会の未来に貢献しなくちゃという
変な義務感みたいなものも続いていて、
そういう複雑な思いの中で起業したという感じです。
別に悩んでいたわけではなくてね。

まあ、あんな感じかな。
そう‥‥『週刊少年ジャンプ』のワンピースみたいな感じ。
僕はワンピースが大好きなんだけど、
あれもよくわかんないよね。
なんで海賊王になりたいのか、わかんない。
teamLab

編集部 社会の未来にコミットしようという気持ちは、
今も続いているのでしょうか。
猪 子 そうですね。
自分たちのできる範囲で、「こういう社会になったらいいのに」
ということはやっています。
明確な理想郷があって、
ゴールに向かって進んでいるというのではなくて、
「今よりもこうなったらいいのに」という感じです。
今、自分たちがここにいて、社会がこういう状況で、
もうちょっとこっちに行ったらいいのに、とか。
編集部 仕事に取り組んでいるとき、自分が夢中になっていると感じますか。
猪 子 自分が夢中かどうかわからないけど。
自分たちの創ったものがショボイと思われたくないし、
ショボイと思われたら仕事が来なくなっちゃうかも、と思うと、
夢中というより必死‥‥そう、必死でやらなくちゃならないから。

チーム★ラボがなくなれば、自分の居場所もなくなる。
僕はひとりで仕事をやり終えるということができないので、
チーム★ラボがなくなると仕事もできなくなっちゃう。
ひとりだと仕事ができなくても、みんなと協力し合ったら、
自分がすごく得意なところだけでバリューを出せばいいから、
最終的に「仕事できる人っぽい」みたいになるじゃないですか(笑)。
編集部 (笑)。できる人っぽいじゃなくて、できる人じゃないですか。
猪 子 まあ、なにか考えたりするのが好きなんじゃないかな。
なにか問題があって、自分は問題を解決することが、たぶん好き。
そのために、なにかを創ったり、なにかを表現したり、
なにかを発明したりしているのかもしれない。

自分がオモロイと思っている分野で、なんとなく好きな人たちと
同じようにオモロイと思って仕事ができたらいいでしょう?
自分が足りない部分を、自分の好きな人が補ってくれたりするとね、
幸せだよね。
編集部 確かにルフィ(ワンピースの主人公)ひとりじゃ、
なにもできないですからね。
猪 子 ねぇ。補ってくれるのが、自分の好きな人だったら、
すごく幸せじゃない?

結局、男の子は仕事くらいしか「遊び道具」がないよね。
それで、もっとオモロイ人と、
もっとオモロイことを一緒にできたら、もっとオモロイから。
チーム★ラボがもっとオモロイことをできるようになれば、
もっといっぱい、いろんなことができるようになるじゃないかなと。
編集部 子どものころ、公園で遊んでむちゃくちゃ楽しかった。
そういうことの延長線上に、チーム★ラボがあるのでしょうか。
猪 子 高校の文化祭のとき、クラスでお化け屋敷を創ったんですよ。
文化祭のお化け屋敷だし、極めてコミットしない人もいたけど、
自分の仲のいい人たちはけっこうコミットしていて。
まあ企画して、木材とか買ってきて、具体的に施工して創るわけです。

文化祭が始まって入場した人に受けるとすごくうれしいけど、
究極的には「すげー評判になったらいいな」と思いながら、
みんなで企画して制作していく「プロセスそのもの」が
すごく楽しかった。
そういう楽しさが一生続けばいいなというのがあって、
そこにたまたまインターネットが出てきたんですね。
猪子さん
編集部 9月14日(火)〜17日(金)の4日間、
東京・南青山で開催されるアートイベント「2010年の渦巻」
(主催:一般社団法人デザイナーズスキル認証機構)
について、どういうものを見せていきたいか教えてください。

デザイナーの浅葉克己さん、
フラワーアーティストのMASSA NAKAGAWAさん、
そしてウルトラテクノロジスト集団、
チーム★ラボのコラボレーションということで、
とても期待しています。
猪 子 「TEAMLAB BALL(チームラボボール)」という、
256色出せるインタラクティブな光るボールを使った
現実感のない、ちょっと幻想的な空間を創るつもりです。
編集部 「TEAMLAB BALL」は、
触ることがきっかけで色が変わるんですよね。
猪 子 そう。
触るとボールの色が変わったりするし、1個1個が通信もできる。
たとえば1個のボールの色が変わると、
他のボールの色も変わるとか、相互に通信し合える。
たとえば青を触るとすべてのボールが青になるとか、
触って赤になると全部が赤になるとか、そういうことができます。

それから質量をほぼゼロにできるから、
直径1.5mもある巨大なボールを浮遊させることができる。
「TEAMLAB BALL」を使った空間で、
今までとは違った体験をしてもらえると思っています。
編集部 コラボレーションについてはいかがですか。
猪 子 今回、いい意味で変な組み合わせだと思っていて。
浅葉さんとMASSAさんとチーム★ラボで
1個の空間を創るというのはすごく楽しみにしています。
ちょっと現実感のないような、
でもどこか日本の伝統の延長にあるような空間だったらいいな、
と思っているんです。
編集部 今までやってきたお仕事で、
もっとも達成感のあったお仕事はなんですか?
猪 子 いや、そういうことは考えないから、わからない。
今やっていることが楽しいけどね。
だけど同時に、より新しいものを創ったり、
考えたりできる環境を維持したいとなると、
ビジネスにもしていかなければならない。

なにか考えて創るということと、
それをビジネスとしてちゃんと維持していくということが、
ぐじゃぐじゃになっている感じでやっていますね。
チームラボボールを使ったイベント

猪子さんの思考はチーム★ラボと同じように、
テクノロジー、アート、デザインのあいまいな境界線を
行ったり来たりしている感じがします。
ウルトラテクノロジストの語りは後編へ。
話題はなぜか阿波踊りへ!

                                 つづく


●お知らせ
9月に開催された浅葉克己×チーム★ラボ×MASSA NAKAGAWA コラボレーションイベント
「2010年の渦巻」の動画をYoutubeにて配信中!
動画をみる
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