2011/3/16 Release

アノヒトに聞きました

平岡さなえ(ひらおか・さなえ)
広島県出身。2006年1月「整理収納アドバイザー1級・認定講師」の資格を取得。同年6月収納アドバイザーとしてSanae's reDesign株式会社設立。セミナー、講座を各地で開催、各家庭に出向く「収納サービス」を実践。2007年9月社名をSanae's Design株式会社に変更、空間プロデュースなどにも仕事の幅を広げる。
Sanae's Design公式ホームページ
日本収納プランナー協会ホームページ


ものや空間を通じて抱えているものを
軽くしてあげられたらいいな、と思います。


女性たちへ、今の時代を生き抜くためのアドバイスを。

「やりたいことに向かって、
少しずつだけど前を向いて進んでいく。
私、反省はするけど、後悔はしないんです。」


平岡さん

平岡さなえさんが手がける収納プランナーのお仕事は、
片付けが上手くできない人たちの「心」にも触れていきます。
暮らしの空間には、住む人が抱える問題が反映される――。
経験から学んだその傾向を実証するため、
平岡さんは心理学の先生ともコンタクトを取り始めました。
「片付け」には、とっても深い世界が広がっているようです。


編集部 前編の最後におっしゃっていた、
「片付けは、心の問題」とは
どういう意味なのでしょうか。
平岡 「片付けができない」というご相談を受けた収納プランナーは、
まず、その家庭に出向いて「収納セラピー」を行います。
ヒアリングを通じて片付けられない原因を
心理面から探っていくのです。
お客さまが抱えている問題を
解きほぐすようにアドバイスします。

夫婦の問題、子育ての問題など、
ヒアリングしてみると家族間のさまざまな問題が出てきます。
もちろんすべてのケースがそうだというわけではありませんが、
片付けができない原因として、
そうした問題が影響している場合が多いのです。
家族の状態が空間に反映されるのでしょう。
とくに家にいる時間が長い奥さまの心が、
その空間に現われていると言っていいと思います。
これは私が仕事を続けてきた中でわかってきたことです。

奥さまかご主人のどちらかが片付けが好きではない、
あるいはお二人とも好きではない場合、
きっと片付けが原因でけんかになったりするでしょう。
そのイライラが、空間にもあふれてしまうのかもしれません。

家にうかがってみてお話をさせていただくと、
「この人は心に何かを抱えている」ということがわかります。
たとえはじめの収納セラピーで聞き出せなかったとしても、
その後の収納アシストの段階で、
実際に片付けをしながら、ぽつぽつと話をしてくれたりします。
ものを見ながら「これってね、あのころ子どもが‥‥」とか。
それによって気持ちも整理されていくんです。
編集部 人の心理について、専門的に勉強したことはありますか。
平岡 私たちはあくまでも収納のプランナーですから、
心の問題に真正面から向き合うことはできません。
ただ、お客さまにとって、
ものや空間を通じて抱えているものを
とても軽くしてさしあげられたらいいな、と思っているのです。
実は今、大学の心理学の先生方と
一つの取り組みを進めているところなんですよ。
編集部 どのような取り組みなのでしょうか。
平岡 ある大学から片付けのご依頼があったのをきっかけに、
偶然にも心理学の先生方とめぐり合うことになりました。
空間の片付けが人の心理にどのような変化をもたらすのか、
そういった研究結果について
心理学の先生方に質問してみたんです。
もちろん空間心理学という分野はあるのですが、
それはたとえば
「心がこういう状態だと、部屋の隅に居続ける」
といった方向性の研究なんですね。
編集部 その内容だと、平岡さんが求める研究とは違いますね。
平岡 私が考える心理学の研究発表は
どうやらこれまでにされていないようだ、
ということがわかりました。
私の現場経験では、空間が変われば人も変わる。
部屋が明るくなれば、気持ちも明るくなります。
片付けって、身体が疲れていたらできません。
心が疲れていても片付けはできません。
片付けはとても前向きな行動ですからね。

そして逆の視点から考えてみると、
片付けをすることで身体も心も前向きになれるんです。
でも、残念ながらそれは、
私の経験から言えることでしかありません。
なんらかの方法でエビデンスを取らなければ立証できないのです。

そういう話をしていたところ、
心理学の先生も興味を持ってくださって。
片付けによって空間がきれいになる前後で検査をして、
心にどのような変化があるのかを見てみよう
ということになったんです。
検査に関わることができるように、
私自身、心理学の講習を受けました。
これからデータを取っていって、
どういった変化があるのかについて
心理学の先生とコンタクトを取りながら、
自分の手で論文を書いてみようと思っています。
平岡さん
編集部 人との出会いもあって、
お仕事の世界がどんどん深く広がっていきますね。
平岡 家や空間というものは、
家族が休まる場所でなければなりません。
そのための空間が片付いていなくて、沈んだ雰囲気だったら、
絶対に幸せにはなれないので。
編集部 大きなテーマである「天職」についてうかがいます。
これまで自分の力で突き進んでこられた、
その原動力はどこにあったと思いますか。
平岡 主婦業ってすごく大変なんですけど、
そこにスポットが当たっていないという思いが
根底に強くあったと思います。
20年近く、私は主婦でしたから。
主婦として自分が困っていたことを
少しでも改善できたらいいな、と思ってこれまでやってきました。

今でも「暮らしの現実ってこうなんです」という部分を
なかなか伝えにくい状況にありますが、
それでも家に一番長くいる女性の視点から
伝えつづけていかなければならないと思っています。
女性の視点を家づくりに反映してほしい。
それを実現していかない限り、
いい家づくり、いい空間づくりはできないと信じているからです。
編集部 女性たちに、今の時代を生き抜くためのアドバイスをお願いします。
平岡 よく人から「どうしてこんなにパワーがあるの?」と質問されます。
私は「やり抜きたいから」と答えています。
最初から「女性が笑う家」をつくることに対して、
私ができることのすべてに
チャレンジしていこうと決めていました。
大変なことはたくさんありましたが、
ここでやめてしまったら、それでおしまい。
自分がほんとうにやりたいことに向かって、
少しずつだけど前を向いて進んでいく。

だから私、後悔はしないんですよ。
反省はするけれども、後悔はしません。
うれしいこともつらいこともいっぱいありますが、
「自分は絶対にここまでやるんだ」という目標を定めて
仕事に取り組んでいます。
平岡さん
編集部 ヒューマンアカデミーで収納プランナーを
目指そうとする人たちに、呼びかけをお願いします。
平岡 収納プランナーは、女性が活躍できる仕事だと思います。
これから先、ものがなくなるかと言えばなくなりません。
片付けに困っている人が少なくなることもないでしょう。
仕事の需要は今後も増えていくと思います。
まさにこれからの仕事だと思うので、
資格を取って、いきいきと仕事をしていただきたいと思います。

単に片付けるというのではなく、
深くお客さまと接することができるので、
やりがいはすごくあると思います。
仕事ですから実際にはきつい部分もあったりしますが、
最終的に、お客さまから笑顔で「ありがとう」と言っていただける。
お子さまに「わーっ、夢みたい!」と喜ばれたりすると、
心からうれしく感じます。
みなさんもきっと、
その笑顔を活力にしながら仕事ができると思います。
編集部 ところで、そもそも収納プランナーになるためには、
「片付け好き」でなければならないのでしょうか。
平岡 そんなことはありません。
実際、片付けが嫌いだった人でも、収納プランナーになっています。
「嫌いだけど、なんとかしなきゃ」と思って講座を受けてみたら、
「こんなに簡単なことだったんだ!」と気づいたりして。
みなさんも少しでも興味を持ったら、
「住空間収納プランナー」の講座を受けてみてください。
編集部 ひと言で「片付け」と言っても、
とても奥深い世界があると知ることができました。
どうもありがとうございました。
付録:平岡さんからの一言メッセージ

「やり抜きたい」と思うから、自然とパワーがあふれてくる。
「実現したい」と思うことに向かっていくためなら、
自分ができることのすべてにチャレンジする。
強く、美しく生きていくための意志を感じました。


次回は、アートディレクターの浅葉克己さんが登場します。
お楽しみに! 
                                おわり


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