2011/2/02 Release

アノヒトに聞きました

高橋知大(たかはし・ともひろ)
米国NLP(TM)協会認定NLPトレーナー。H.L.アソシエイツ株式会社 代表取締役。株式会社廣済堂やパナソニック株式会社など企業の講演会やセミナーを行う他、ヒューマンアカデミーでは講師養成講座の開発やNLP資格認定講座を行う実績を持つ。コンサルティング会社等の営業研修プログラム開発や自身が手がけるF・S・Cコミュニケーションセミナーやメタ・プレゼンテーションセミナー、その他、NLP、交流分析、リュッシャー・カラー・ダイアグノスティック、ヒプノセラピーなどを活かしたカウンセリングや人材育成トレーニングといった活動も行っており、現在は、「子供が育つ未来、子供が育てる未来」を探求し、新しい幼児教育プログラムの開発に取り組んでいる。


「3分間で、 “あ、これをやろう”と思いました。」


衝動はあったけれど、
進んでいる方向が正しいかどうかはわからなかった?

「単純に変わりたかった。
根本を探っていくと、
自分のことが好きではなかったんですね。」


高橋知大さん

問題解決やコミュニケーション、目標設定などの
スキル向上にも応用できるNLPは、
1970年代に米国で開発された実践で使える心理学です。
NLPトレーナーとして活躍する高橋知大さんが、
どん底の日々、そして努力の大切さを語ってくれました。
人が変わるとき、なにが起こるのでしょう?


編集部 NLPという心理学は、どういうものなのでしょうか?
高橋 NLP(Neuro-Linguistic Programming)は、
日本語で言うと「神経言語プログラム」となります。
さまざまな使い方があるので、カウンセリングはもちろん、
ビジネスシーンや日常のコミュニケーションにおいても
NLPを使う人が増えてきています。
身近なところから学んでいける
「実践で使える心理学」、それがNLPだと思います。
僕も人間同士の関わりとしての心理学を、
NLPによって伝えていきたいと思っています。

成果を上げている人、成功している人たちを研究し、
そのエッセンスを体系化していくことでNLPは完成しました。
成功している人たちが、なぜそこで成功しているのか。
どんな成功の仕方をしているのか。
その部分を分析し始めたんですね。
たくさんの人を分析して体系化したので、とても多様性がありますし、
そのぶん、かなり深い心理学だと私は考えています。
編集部 どんなふうにして、
NLPと出会ったのですか。
高橋 僕は航空会社で働いていて、クレーム処理を担当していました。
仕事柄、対人関係やコミュニケーションに相当悩んでいましたね。
ただ、心理学を学ぼうといった気持ちはまったくありませんでした。
航空会社を退職後、幼児教育の企業に入社しました。
その会社の研修で観たコーチングのビデオが、
心理学の道を歩み始める大きなターニングポイントとなったんです。

ビデオを観始めて3分間ほどで、「あ、これをやろう」と思いました。
コーチングの何たるかもよくわかっていなかったのですが、
とにかくビデオを観たときに衝撃だけがあった。
「やりたい」というよりも、「これをやるべきだ」という感じでした。

今でもそのときの感触は憶えているのですが、
どうしてもうまく説明できないんですよね。
自分の中ですごく特別な感覚であることは確かで、
子どものようにわくわくしたという感じでしょうか。
編集部 言葉では説明できない衝動に突き動かされたのですね。
高橋 そこからコーチングを学ぼうと思いました。
ただ、当時はコーチングもNLPも世間的な認知度は低く、
自分が望む先生にもめぐり会うことができず。
会社も辞めていて、かなり行きづまった状況でしたね。
そんなとき知り合いのコーチの方から、
「多くの人がNLPをやっている」ということを聞いたんです。
切羽つまっていたので早速NLPの会社を検索して、
NLPの講座を探しました。
そしてほとんど話も聞かないうちに、
一つ目の会社で「やります」と言っていました。

そのとき、25歳の自分が思っていたのは、
「人に何かを伝えたい」ということでした。
伝えるために、指導する立場に立ちたいと思った。
若さゆえなのか、
ただ自分の思いだけで突き進んでいったという気持ちが
今でもすごくあるんですね。

ただ、当時の自分が「ぶれていたのかな」と
思うところもあります。
NLPを学びながらも、
どういう形でNLPを伝えていきたいのか。
どんなふうにNLPを活かしていきたいのか。
そもそも「伝える」という仕事を、
この先も自分が好きであり続けられるのか。
そんなことを悩んでいました。
編集部 3分間で受けた衝撃で道を選んだけれど、
自分の進んでいる方向が正しいのかがわからなかった、と。
高橋 NLPを始めるにあたって、
両親、友人、周りの人たち全員に反対されました。
賛成してくれる人はゼロ。
その反対を押し切って始めたことだったので、
「みんなの言っていたことは正しかったのではないか」と、
ものすごく大きな葛藤を抱えていました。
飽きるほど時間はあったので、
余計にそのことばかりを考えてしまったんです。

そこで考え抜いたことで、
自分がNLPをやりたいと思ったほんとうの理由が
ようやくわかりました。
単純に「変わりたかった」のですね。
根本を探っていくと、
そのときの自分が好きではなかった。
1年後、2年後を考えるのも嫌だったんですね。

実はNLPの講座の中で私は問題児で、
いつも反抗的な態度を取っていました。
でも、「変わりたい」というほんとうの理由を見つけてからは
はじめて本気で取り組み始めるようになりました。
すでにコースの1/3が終わっていて、
「はじめからもっと真剣に勉強しておけばよかった」と
ちょっとだけ後悔しましたね。
高橋さん
編集部 講座が終了する前に、気づきがあってよかったですね。
高橋 よかったです。
NLPを始めたころのことは、今でもふと思い出します。
バイトをしながら、それこそ交通費にも困りながらNLPを勉強して、
食パンを丸めて食べて3日間過ごした日々のことを。

心理学の本を見ると、
「幸せになる方法」「成功する方法」が書いてあります。
それなのに、どうして自分はその逆の状況になっているのだろう。
心理学をやって、僕は不幸になりました。
人生の中で、どん底の時期です。
編集部 どん底の生活はどれくらい続いたのですか。
高橋 5年ほど続きました。
友だちは離れていく。
一人でもんもんと考えている時間が多くなる。
だんだん自分が暗い人間に思えてくる。
ほんとうにマイナス要因ばかりが増えていきました。

今振り返ると、自分にかかってきた不幸は、
自分のためでもあったと思えるんですね。
人が変わるときって必ずそうなんですけど、
リスクが伴うと思います。
人、会社、政治‥‥なにかが変わるときには、
必ず膿のようなものが出てくるのだと思います。

僕が変わるときもまったくその通りで、
自分自身の中の膿を出し始めた気がしました。
そしてそれは、自分の積み上げのために起こっていることなんだ、と。
編集部 どん底から抜け出して、今に至るターニングポイントは、
どこにあったと思いますか。
高橋 「転機はいつですか?」とよく質問されるのですが、
それは今でもわからないんです。
ただ一つ言えることは、
がむしゃらに、飽きることなくNLPを続けてきた、
そのことだけです。
そして「努力は絶対にしてきた」と、
みんなに向かって言うことができます。

「努力」ってとても当たり前に聞こえる言葉だと思います。
でも、僕にとっては何にも代えがたい言葉です。
努力ってすごく泥臭いし、時間を要するものでしょう。
ほんとうの意味で僕が努力できたものって、
それほどないのではないか。
そう考えると、NLPは「努力しました」と
胸を張って言える数少ないものなんですね。

何年前に自分が変われたのかはわからないけれど、
自分が変わったのは努力の結果だと思います。
編集部 高橋さんの天職は、NLPでしょうか。
高橋 僕は天職について、ずっと前から考えていました。
「がむしゃらにできる」「夢中になれる」「時間を忘れる」、
天職について聞かれたとき、
たぶんそういった回答が多いのだと思います。

僕の考える天職には、
さらにもう一つ違った部分があります。
仕事をはじめ、自分がこれからずっと続けていくことは、
いいところばかりでは絶対にないはずです。
どんなことであっても、表と裏、陰と陽があるのだと思います。

「嫌な部分をほんとうに愛せる」、それが僕の考える天職です。
自分がやっていく中で、ほんとうに嫌な部分、つらい部分、
すべてひっくるめて愛していけるものが天職だと思っています。
だからこそ天職に就いた人は、何があってもぶれることなく、
情熱を持って継続していけるのだと思います。
高橋さん

【高橋知大さんから、2つの問いかけ】

@今の自分が絶対に変わらずに、これから1年歩んでいきます。
  1年後の未来を想像したとき、自分の姿が好きですか? 嫌いですか?

A夢にあって現実にないもの。現実にあって夢にないもの。
  それは何か?

あなたも後編までに、自分の答を考えておいてくださいね!


「心理学をやって、僕は不幸になりました」。
それでもあきらめず、努力を続けた高橋さん。
ほんとうに愛することのできるものとの出会いの先には、
険しいけれど、自分だけの道があるのです。
後編もお楽しみに!


                                  つづく


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